中小企業の収益力改善に向けて
2023年9月28日に「九州経済産業局」と「九州各県中小企業活性化協議会」主催の
第1回『経営改善・事業再生セミナー』が開催されました。
主な内容を示します。
1 中小企業の現状と支援の必要性
2 「中小企業活性化協議会」の役割内容
3 経営改善計画の事例紹介 *メイン
・税理士の立場から
・中小企業診断士の立場から
2022年3月に、
中小企業の「収益力改善」「事業再生」「再チャレンジ」
の支援を総合的に行う
「中小企業活性化パッケージ」が公表されました。
その推進の機関として、「中小企業活性化協議会」が2022年4月に発足し、1年半が経過し、徐々に動きが見られるようになってきました。
*中小企業活性化協議会:従来の「経営改善支援センター」と「再生支援協議会」が統合して発足
今回のセミナーの主要テーマである「経営改善」の計画策定と支援について当社の活動内容を紹介します。
当社の「経営改善」の計画策定と実行支援
当社の一般的な「経営改善」の進め方(計画策定、実行支援)について紹介します
経営改善支援の対象
主に次の場合が支援の対象になります。
(1)2期以上連続赤字で、進行期も赤字が想定される場合
(2)債務超過に陥っている場合
(3)6ヶ月以内に資金ショートに陥る可能性がある場合
(4)金融機関からの借入れができない場合
対応方法
上記の(1)~(4)の場合、早期に、金融機関への元金の返済を止める。(リスケジュール:リスケ)
通常の金融機関が貸さないので、高金利の借入れに走るのは最悪の方法。
リスケの方法
(1)金融機関に、直近の「決算書」「試算表」「資金繰り表」を持参し、現状を説明する。
*資金繰り表を使って、現状の返済を続けると●ヶ月で、資金がショートすることを示す。一方、元金の返済(全額)を止めると、資金ショートが起きないことを示す。
(2)上記を説明し、まずは、3ヶ月間、「元金の返済を止める」ことを依頼する。
・メインバンク(借入額が最も多いところ)の了解を得て、その後他の金融機関と調整する。
・その際に、専門家(認定支援機関等)と相談し、3ヶ月以内に経営改善計画の策定を行い、その内容に合意頂ければ、リスケをお願いしたい旨を説明する。
*経営改善計画の策定:専門家への委託費用:「約200万円」、2/3は補助金が利用できる
(3)各金融機関から「3ヶ月の元金返済停止」を得たら、経営改善計画を策定する。
<経営改善計画の記載事項>
・現状説明:財務の分析、事業の分析(ビジネスモデル図)、外部環境分析
・現状課題の明確化とその対応(アクションプラン)
・改善実施による収益改善 ・黒字化 ・債務超過解消 ・返済期間
(4)各金融機関から、経営改善計画の承認を得たら、リスケを開始。
(5)各金融機関に定期的(1年ないし半年)に進捗状況を報告する(モニタリング)
経営改善策定の進め方
★計画検討:2ヶ月、金融機関調整:1ヶ月で進める。
(1)現状分析
・会社全体:組織図(部署、役職、氏名)
・財務・税務関係:直近5期分の税務申告書(決算書含む)
*実態貸借対照表、実質純資産額、正常収益力を算出
・部門別の収支関係、顧客関係の資料を分析
※資料と経営者等とのヒヤリングで進める
(2)課題の明確化
・上記の現状分析から経営が悪化した窮境原因を特定する
(3)対策の検討
・状況に応じて、「資産売却」「事業譲渡」等の対応検討も行う
(4)対策の効果を反映した5年間の収支計画を立案
・経常黒字化:3年
・実質債務超過解消:5年
・債務償還年数:債務超過解消後から10年
(5)各金融機関毎の返済計画
リスケが必要な状態まで経営が悪化したら、この先どうしたらよいかわからない状況に陥ると思います。
今回紹介した「経営改善計画」による経営改善については、国が活用を勧めている制度であり、金融機関も認識しています。「認定支援機関(当社も該当)」の計画策定に関しては補助金を使うことができます。
経営に不安がありましたら、ぜひ、お問い合わせ下さい。
今回示したのは、ごく一部の方法であり、各企業の状況に応じて、適用する方法は異なります。
前後の記事
- 前の記事
- 中小M&Aガイドライン(第2版)の公表
- 次の記事
- 士業・コンサルの今後の有望テーマ