M&Aにおけるセカンドオピニオンの活用
最近のM&Aに関するトラブルを受けて、政府はトラブル防止のために「セカンドオピニオン」の活用を推奨しています。今回は、このセカンドオピニオンについて役割や実施内容について紹介します。
セカンドオピニオンの必要性・実施内容
必要性
(1)バイアスの排除
M&Aプロジェクトの進行中、関係者はプロジェクトの成功を強く願うため、バイアスがかかりがちです。セカンドオピニオンを取得することで、客観的な視点を取り入れることができます。
(2)リスクの確認
M&Aには多くのリスクが伴います。セカンドオピニオンを通じて、潜在的なリスクや見逃しがちな問題点を洗い出し、適切な対策を講じることができます。
(3)最適な条件の確保
M&Aの条件交渉において、専門家の意見を複数取り入れることで、より有利な条件を引き出す可能性が高まります。
実施内容
(1)資料のレビュー
対象企業の財務諸表、事業計画、契約書、デューデリジェンスレポートなどの資料を精査し、問題点やリスクを洗い出します。
(2)リスク評価
財務リスク、法務リスク、ビジネスリスクなどを評価し、M&Aの影響を総合的に分析します。
(3)代替案の提案
現行のM&Aプランに対する代替案や、より適切なアプローチを提案することがあります。
(4)アドバイスの提供
交渉戦略や契約条件の見直し、ポストM&Aの統合計画に関するアドバイスを提供します。
セカンドオピニオンはM&Aの成功確率を高めるための重要なステップであり、適切な費用をかける価値があります。
具体的な実施内容や費用は当社にお問い合せ下さい。
M&Aにおけるバイアス
上記の役割に示した「M&Aにおけるバイアス」とは、意思決定や評価に影響を及ぼす無意識の偏りや思い込みを指します。これが発生する具体的な状況や種類について詳しく説明します。
バイアスの具体例
(1)過剰な楽観主義
プロジェクトに関わる経営陣や担当者が成功を強く望むため、リスクを過小評価し、成功確率を過大評価する傾向があります。これにより、実際には高リスクな取引が適切に認識されないことがあります。
(2)グループシンク(集団思考)
特に経営陣やプロジェクトチーム内で同意が得られている場合、異なる意見や批判的な視点が抑制されがちです。これにより、全体として一つの方向に偏った意思決定がなされることがあります。
(3)確証バイアス
自分たちの予測や仮定を裏付ける情報のみを重視し、反証する情報を無視する傾向です。これにより、取引のリスクや問題点が見逃される可能性があります。
(4)サンクコストバイアス
すでに投入されたコスト(時間、労力、資金)を無駄にしたくないという心理が働き、不利な状況でもプロジェクトを継続する決断が下されることがあります。
(5)利益相反
M&Aに関与する外部アドバイザーや内部スタッフが、自身の利益やキャリアを優先して行動することがあります。これにより、客観的でない判断やアドバイスが提供されるリスクがあります。
セカンドオピニオンによるバイアス排除の方法
(1)独立した視点の導入
セカンドオピニオンを提供する専門家は、取引に直接関与していないため、客観的かつ中立的な視点で評価を行うことができます。
(2)データに基づく分析
主観的な意見や感情に左右されず、事実やデータに基づいてリスク評価や戦略の見直しを行います。
(3)異なる視点の提供
異なる業界の知識や経験を持つ専門家による意見を取り入れることで、見落とされがちなリスクや機会を発見することができます。
(4)クリティカルレビュー
既存の計画やアプローチに対して批判的なレビューを行い、潜在的な問題点を浮き彫りにします。
(5)多角的な検討
財務面、法務面、事業面など、多角的な視点から総合的に評価を行い、バランスの取れた意思決定を支援します。
これにより、M&Aにおけるバイアスを最小限に抑え、より健全でリスクに対応した意思決定が可能となります。
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