M&Aトラブル(1)経営者保証の扱い
「M&A後も経営者保証が残る?」
売手が注意すべきリスクと対策とは
M&Aによる事業承継が一般的になりつつある中で、売却後も元経営者に「経営者保証」が残ってしまうというトラブルが発生しています。これは、売手にとって大きな精神的・経済的負担となり、せっかくのM&Aが“負の遺産”になってしまうリスクにもなります。
私たちは、売手企業のアドバイザーとして、こうした保証リスクの見落としを防ぎ、トラブルのないM&Aを実現することを常に意識しています。
■ なぜ、売却後も保証が残るのか?
中小企業では、金融機関からの融資の多くに経営者の個人保証が付いています。そしてこの保証は、M&Aによって経営権が移っても、自動的に解除されることはありません。
つまり、会社を売ったつもりが、「借金の保証人として責任だけが残る」というケースが実際に起こっているのです。
■ よくあるトラブル事例
・買い手企業が経営者保証の引継ぎに消極的
・金融機関が保証解除を認めない
・保証人としての責任が残り、退職後の生活に不安が残る
このようなリスクは、M&Aの早い段階で方針を明確にしなければ、契約締結後に発覚し、トラブルに発展することがあります。
■ トラブルを防ぐためのポイント
当社が売手アドバイザーとしてご支援する際、以下の点に特に注意を払っています。
(1)初期段階で保証解除の意向を明示
交渉前の段階から「経営者保証の解除」がM&A条件の一つであることを買い手や関係者に伝えることが大切です。
(2)買い手・売り手・金融機関の三者協議
買い手が保証人になる、または別の担保を提供することで、元経営者の保証解除を金融機関に交渉します。
(3)「経営者保証に関するガイドライン」の活用
中小企業庁が定めるガイドラインに沿って、一定の条件を満たせば保証解除も可能です。専門知識をもとに申請をサポートします。
■ 売手アドバイザーの役割とは
M&Aの成否は、金額や契約条件だけではなく、売手経営者の「安心」までサポートできるかどうかにかかっています。
経営者保証の解除は、その中でも非常に重要な要素です。当社では、売手の立場に立ち、将来のリスクまで見据えたM&A支援を行っています。
「会社は譲っても、個人としての保証責任は終わりにしたい」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。