事業再生(2)再生できる会社・できない会社の違い
― 分岐点はどこにあるのか ―
前回は、「事業再生はなぜ失敗するのか」というテーマで、再生がうまくいかない典型的なパターンを整理しました。
その中でお伝えした通り、再生は単なる計画ではなく、構造改革そのものです。
では、その構造改革はすべての企業で可能なのでしょうか。
実務の現場では、同じように赤字や借入の問題を抱えていても、再生できる企業と難しい企業が明確に分かれます。
今回は、その違いを整理します。
再生の可否はどこで分かれるのか
経営者の多くは、「まだ再生できるのか」「もう難しいのか」という問いを持っています。
しかし、この問いに対しては、
・赤字の大きさ
・借入の金額
といった単純な指標では判断できません。
重要なのは、事業構造・財務構造・意思決定の3つがどの状態にあるかです。
再生できる会社の特徴
まず、再生可能な企業の特徴を整理します。
(1)本業に競争力が残っている
再生の前提は、本業の価値です。
・顧客からの継続的な需要がある
・価格競争だけに依存していない
・一定の粗利が確保できている
このような状態であれば、改善の余地があります。
逆に、主力事業そのものが市場で評価されていない場合、再生は極めて難しくなります。
(2)粗利率が維持されている
再生の現場では、売上よりも粗利率を重視します。
売上が減少していても、
・粗利率が維持されている
・一定の利益が出せる構造がある
場合は、固定費の見直しで改善可能です。
一方で、
・粗利率が継続的に低下している
・利益が出ない価格構造になっている
場合は、事業モデルの見直しが必要になります。
(3)問題の所在が特定できている
再生できる企業は、問題が具体的です。
・特定の事業が赤字
・特定の顧客が不採算
・特定のコストが過大
このように原因が明確であれば、対策も明確になります。
逆に、「全体的に厳しい」という状態では、再生の方向性が定まりません。
(4)資金繰りに時間的余裕がある
再生には時間が必要です。
・12か月程度の資金繰りが見通せる
・金融機関との対話余地がある
このような状態であれば、再生のプロセスを実行できます。
資金が尽きる直前では、再生ではなく緊急対応になります。
(5)経営者が現実を直視できる
最後にして最も重要なのが、経営者の姿勢です。
再生には、
・不採算事業の撤退
・固定費の削減
・組織の見直し
といった決断が必要です。
これを受け入れられるかどうかが、再生の成否を分けます。
再生が難しい会社の特徴
次に、再生が難しい企業の特徴です。
(1)主力事業が競争力を失っている
市場そのものが縮小している、または競争に敗れている場合、再生は困難になります。
この場合は、
・事業転換
・M&A
・撤退
といった別の選択肢を検討する必要があります。
(2)赤字が構造化している
一時的な赤字ではなく、
・どの事業をやっても利益が出ない
・固定費が過大で改善できない
といった状態では、再生の難易度は高くなります。
(3)資金繰りが限界に近い
再生には時間が必要ですが、
・資金ショートが目前
・支払いの遅延が発生している
といった状態では、選択肢は大きく制限されます。
(4)問題の所在が曖昧
「売上が足りない」「コストが高い」といった抽象的な認識では、再生は進みません。
具体的な分析ができていない企業は、対策も打てません。
(5)意思決定が遅い
再生が難しい企業の多くは、
・判断を先送りする
・結論を出さない
という共通点があります。
再生において最も危険なのは、何も決めないことです。
再生の分岐点は「タイミング」
再生の可否を分ける最大の要因は、タイミングです。
同じ企業でも、
・1年前であれば再生可能
・現在では難しい
というケースは珍しくありません。
多くの企業は、
・資金繰りが厳しくなってから
・金融機関に指摘されてから
動き始めます。
しかし、その時点では選択肢は大きく減っています。
再生だけを前提にしない
ここで重要なのは、再生だけを前提に考えないことです。
企業の状況によっては、
・M&Aの方が合理的
・廃業の方が負担を軽減できる
場合もあります。
したがって、
再生・M&A・廃業を同時に比較することが必要です。
最後に
再生できる会社とできない会社の違いは、単純な数字ではなく、
・事業構造
・財務構造
・意思決定
の組み合わせによって決まります。
そして、その分岐点は静かに近づいてきます。
重要なのは、
まだ選択肢が残っている段階で整理することです。
次回は、「事業再生はどのように進めるのか」
をテーマに、実務的なプロセスについて解説します。
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