人手不足倒産が過去最多に - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

人手不足倒産が過去最多に

「人がいない」を経営危機にしないための対策

人手不足倒産は、採用だけでは解決できない

帝国データバンクが2026年10月7日に公表した調査によると、2026年度上半期(4~9月)の人手不足倒産は225件で、前年同期の214件を上回り、年度上半期として4年連続で過去最多を更新しました。業種別では建設業が70件、サービス業が63件となっています。

この調査は、従業員の退職、採用難、人件費高騰などを要因とする、負債1,000万円以上・法的整理による倒産を対象としています。人手不足による休廃業などをすべて含む数字ではありません。

「注文はあるのに仕事を受けられない」「社員が辞めたら現場が回らない」。こうした状態は、売上減少や資金繰り悪化につながります。人手不足は採用担当者だけの問題ではなく、事業を続けるために経営者が取り組むべき課題です。

人手不足から倒産に至る原因

特定の社員に仕事や資格が集中している

中小企業では、現場管理、顧客対応、専門技術などを一人の社員に頼っている場合があります。その社員の退職や病気によって、受注や納品を続けられなくなるおそれがあります。

「人数は足りている」だけでは安心できません。誰が何を担い、その人が不在になったときに誰が代わるかまで確認する必要があります。

欠員が残った社員の離職を招く

欠員を既存社員の残業や休日出勤で埋め続けると、疲労や不満が蓄積します。教育の時間も取れず、新入社員が十分な指導を受けられないまま辞めてしまう場合もあります。

人が足りない、負担が増える、さらに人が辞める。この悪循環に入ると、採用しても定着せず、募集費用と現場の負担だけが増えます。採用と同時に、辞める原因を改善することが欠かせません。

人件費の上昇を価格に反映できない

採用や定着のための賃上げは必要でも、受注単価が据え置かれれば利益は減少します。給与だけでなく、会社負担の社会保険料、採用費、教育費も発生します。

人件費を抑えるために欠員を放置すれば、受注機会を失います。一方、採算を確認せず採用すれば、資金繰りを圧迫します。人材確保と利益確保を一緒に考える必要があります。

人材育成と事業の見直しが遅れる

目先の仕事に追われ、育成や業務改善を後回しにすると、技術や顧客ニーズの変化に対応できなくなります。「経験者を採れば解決する」と考えても、必要な人材がすぐに採れるとは限りません。

人手不足を補う借入をしても、収益構造が変わらなければ返済負担が残ります。資金の確保だけでなく、限られた人数で利益を生む事業へ見直すことが重要です。

すでに現場が回らないときの対応

最初に、続けられる仕事量を把握する

まず、在籍人数、勤務可能時間、必要資格、受注残、納期を整理します。現在の体制で、安全と品質を守って対応できる仕事量を確認しましょう。

無理に受注を増やすと、納期遅延や事故、品質低下を招き、信用を失うおそれがあります。状況に応じて、受注量、営業時間、提供サービスを絞り、顧客と納期や条件を調整する判断も必要です。

その際は、売上だけでなく利益と資金繰りへの影響を試算します。「どの仕事を残せば事業を維持できるか」を数字で考えましょう。

社員の声を聞き、離職の連鎖を止める

社員との面談で、業務量、上司との関係、休日、評価、将来への不安などを確認します。退職理由を給与だけで決めつけず、仕事を続けにくくしている原因を探ります。

改善策は「検討します」で終わらせず、担当者と実施時期を決めます。まずは負担の偏りや連絡の混乱など、すぐに直せる問題から取り組み、社員に結果を伝えることが大切です。

採用・外注と資金繰りを一体で考える

採用や外注を行う際には、費用、立ち上がりまでの期間、任せられる業務を確認します。採用直後から熟練者と同じ売上を期待する計画では、資金不足を招きかねません。

今後3~6か月の資金繰りを見通し、教育期間中の負担も織り込みます。金融機関に相談する場合は、必要資金だけでなく、人員確保と採算改善によって収益がどう回復するかを説明することが重要です。

人手不足倒産を防ぐ、平時の取り組み

(1) 仕事を分け、特定の人への依存を減らす

業務を一覧にし、「資格や経験が必要な仕事」と「手順を整えれば他の人も担える仕事」を分けます。熟練者が書類整理や入力まで抱えていれば、補助業務を切り出すことで専門業務に集中できます。

これは、仕事を分解して人の強みに合わせて組み直す「ジョブカービング」にもつながります。短時間勤務の人、中高年人材、育児・介護中の人などが担当できる仕事を設計することで、採用対象を広げられます。

あわせて、手順書、技能一覧、引継ぎ記録を整え、複数人で対応できる体制を育てます。ただし、資格や法令上の配置要件がある業務は、その要件を守ることが前提です。

(2) 採用条件と育成の仕組みを見直す

求人票では、仕事内容、勤務時間、給与、休日、入社後の教育を具体的に示します。「即戦力のみ」「何でもできる人」という条件では、応募者が限られます。

未経験者でも育てられる仕事を明確にし、入社後1か月、3か月、6か月で身につける内容を決めましょう。指導担当者には教育時間を確保し、通常業務に追加するだけにしないことが重要です。

外国人材の活用を検討する場合も、在留資格に適合する業務かを確認し、業務説明や日本語面の支援、定着まで含めて設計する必要があります。

(3) 定着状況を経営指標として確認する

離職者数だけでなく、残業時間、有給休暇の取得、欠勤、入社後の定着状況などを継続して確認します。数値に変化があれば、現場で何が起きているかを確かめます。

評価基準や成長の道筋を示すことも大切です。「何を身につければ評価されるのか」「今後どのような役割を担えるのか」が分かる職場は、働き続ける理由をつくりやすくなります。

(4) 省力化と価格改定で、人を確保できる利益をつくる

二重入力、不要な会議、過剰な報告、移動の無駄などを見直します。システムや設備の導入は、削減できる時間、費用、運用担当者を確認し、小さく試して効果を検証しましょう。

さらに、案件別の粗利益だけでなく、作業時間当たりの採算も把握します。手間のかかる低採算業務は、価格や対応範囲、契約条件を見直します。

省力化で生まれた時間を育成に回し、改善した利益を待遇や職場環境に還元する。この循環をつくることが、人材確保と経営改善を両立させます。

再生計画には「誰が実行するか」を入れる

経営改善計画に売上増加を掲げても、それを担う人がいなければ実現できません。必要人員、資格者、採用時期、教育期間、人件費を示し、採用が遅れた場合の対応も準備しましょう。

売上が伸びる場合と伸びない場合を試算し、人数に見合う事業規模と資金繰りを考えます。金融機関との対話でも、数値目標に加え、実行体制を説明することで、計画の具体性が高まります。

人手不足を経営の問題として、一緒に整理します

株式会社事業パートナー九州では、人手不足による受注制約や収益悪化を、業務体制、採算、資金繰りの面から整理します。業務の見直し、経営改善計画の策定、金融機関への説明準備、計画実行を支援し、労務管理や人事制度などの専門分野は社会保険労務士等と連携します。

「募集しても採れない」「社員が辞めて現場が回らない」「賃上げをしたいが利益が足りない」。このような状況は、採用方法だけでなく、仕事の仕組みや事業の採算を見直す機会でもあります。

欠員を経営者や社員の頑張りだけで埋め続ける前に、ぜひご相談ください。人が働き続けられ、利益が残る会社に向けて、今取るべき対応を一緒に検討します。

 

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