経営改善・事業再生 2017年(6) - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

経営改善・事業再生 2017年(6)

本記事は、以前のホームページに記載したものをまとめたものです。

【1】ビジネスの集会で「人脈を形成する」7つのステップ

(20171123)

商工会議所や経営者団体の集会や研修会の後の懇親会、これは「人脈を形成する」絶好の機会です。

現在の私の仕事の骨格は、「懇親会で知り合った方」からの関係から形成されています。

血縁は無く、地縁も少なく、まして前職の人脈も使えない、「開業したばかりの頃」、どうするか?

「行政書士」として、事務所で待っていても、何も起こらない、時間だけが過ぎていく。

「関係しそうな会に出席し、世間を知って、自分の名前を売るしかない」と決め、各種の会、特に懇親会付きの会に週に2~3回は参加していました。

散財、体重増加の副作用はありましたが、大きな財産を得たと思っています。

私が経験したことや反省点をまとめましたのでお読み下さい。

 

「人脈を形成する」7つのステップ

 

1.目的を持って参加する

ビジネスの集会後の懇親会は「ビジネス」です。

ただ、料理とお酒を頂き、楽しむだけではもったいないです。

あらかじめ「会の主旨」を理解し、「どのような方が参加されるか」を調べておいて、接触するターゲットを選定しておきましょう。

会によっては事前に「参加者名簿」がFAXやメールで送られてきますので、事前に確認して、接触の作戦を考えておきましょう。

作戦とは、「誰に」「どんな話題を提供するか」、最も大切なのは「相手がしてほしいこと」を引き出すことです。

2.積極的に交流する

人当りはよく、顔には笑顔を忘れずに、積極的に会話に参加しましょう。

私の最初の頃は、全く知り合いがいない会ばかりで、緊張の連続でした。

それでも、名刺交換をして、何とか会話をつないでいくように努めました。

こういう会に参加される方は、話好きが多いので、お声をかければほとんどの方が好意的に話して頂けると思います。

3.中心人物と接点を持つ

最初に言いましたように、この会は「ビジネス」です。

影響力のある方と知り合うことが後のビジネスに活きることがあります。

面識がなければ普通ではお会いすることができない方(会社の社長さん、銀行の偉い人、市長など)と名刺交換ができることもあります。

4.相手について話す

いくら「ビジネス」と言っても、露骨に「自分を売り込む」ことは逆にマイナスです。

自己紹介が終わったら会話の90%以上は「相手」と「相手の仕事」の話題にしましょう。

相手を理解すること、そして「相手が望むこと(ニーズ)」を掴むことが重要です。

初期の私は余裕がなかったため、「自分の売り込み」が強く反省です。

5.後でもう1回会いに行き、名前でお呼びする

これは相手に印象を強く与えることができます。

特に、名前で呼ばれると嬉しいものです。

6.機会があれば、知り合った人同士を引き合わせる

いわゆる「ビジネスマッチング」の仲介を行うのです。

これにより、両方の方から、存在を認められ、ビジネスの中心に位置することができる可能性があります。

7.アフターフォローが重要

会場で会話をして、名刺をもらってもほとんどの方とはその場限りになることが多いと思います。

私が実施しているのは、次のことです。

① フェイスブックで調べて使用している方には「メッセージを添えて」友達申請を

この方法は有用と思っています。

フェイスブックに投稿する人であれば、その方の投稿内容で、生活(性格も推察)や趣味、場合によっては仕事のこともわかるようになります。

わずかに会っただけの印象と比べ違った一面を発見することができます。

フェイスブックは不思議なもので、会ってもいないのに会った気になり、次に実際に会ったときは、昔からの友人の感覚で接することができます。

② フェイスブックを使ってない方はメールでお礼を

1回のメールではあまり印象は強くありませんが、返信をして下さる方は脈があります。

次の機会に有用と思われる情報を送ったりして、つながりを持つことができます。

③ お礼の「レター(メッセージは自筆)」を送る

これは、相手に対して最も印象づけられると思います。

昔からの方法ですが、実際に実行できている人が少ないのでより効果的です。

私はわかっているのですができていませんので、次のステージの中で取り入れたいと思っています。

 

「使えるプロとの人脈」は財産

どんな事業も一人ではできません、能力には限界があります。

わからない、できないときは、できる人、特にプロに頼むのが最も近道です。

中途半端な方よりも「プロ」に頼むことができる「人脈(ネットワーク)」は財産です。

 

【2】RPAとAIで、ホワイトカラーの仕事が大きく変わる

(20171203)

これまで人が行っていた仕事をロボットが代わりに行う。

製造現場(工場)では当たり前になっていますが、事務職ではあまり実感がないかもしれません。

日本は、世界的にホワイトカラーの生産性が低いと言われていますが、「RPAとAI(人口知能)」により、生産性向上や働き方改革が大きく変わろうとしています。

ロボットにより、職場を奪われた人はどうなるのでしょうか?

ロボットの指示により、人がその指示通りに動くのでしょうか?

自分の未来を考えて、変化に対応して変われるように準備しましょう。

 

RPAとは?

RPA:ロボティック・プロセス・オートメーション

データ処理や判断を高速に行うソフトウェアロボットです。

仮想(人間でない)知的労働者とも言われています。

これまで人が行っていた事務的な入力やまとめの処理、あるいはその先の判断(意思決定)まで行う可能性があります。

第1段階:決められた作業の自動代行

・情報を読み取る、入力作業、確認作業、集計作業

*伝票の仕訳、試算表・決算書作成

第2段階:一部の非定型作業の自動代行

・情報を処理して予測 *判断まではしない

*業績予測を従来よりも多くのデータを処理して算出

第3段階:高度な自律化

・従来経営会議で行っていたような「意志決定」まで行う

*意思決定はビックデータの処理によって導かれる

この意思決定に反論するのは難しい状況になる(正しそうに見える、結果は?)

その結果は?

企業は、生産性向上、業績維持・向上のためには、取り入れていかざるを得ず、これにより余剰になった人員を使いこなすことができなくなり、人員整理への道を進んでいきます。

既に大企業では見られますが、「企業業績はよくなるが、人は?」の時代になっていきます。

 

日本は労働生産性が低い

日本の労働生産性は世界でどれ位かわかりますか?

● 労働生産性は、OECD加盟国(35ヶ国)の中で「22位」

トップのアイルランドの半分以下、3位のアメリカに比べて60%です。

労働生産性は、「働く人1人が稼ぐ利益(お金)」なので、日本は働いている割に実入りが少ないことになります。

それは、「効率が悪い、無駄なことが多い」のが原因です。

特に業種ではサービス業の生産性が低い、中小企業が低いと言われています。

また、労働生産性の伸び率は「28位」と更に低く、他の国に追いつくどころか離されているのが現状です。

原因としては、規制が強い、日本人の気質・習慣、ビジネスモデルが悪い、経営者が悪い、などがありますが、自動化が遅れているのも一因です。

 

金融機関の業務・人員削減

RPA、AIの普及により大きく影響を受ける一つは金融機関でしょう。

各金融機関は生き残りをかけ、RPA、AIの導入による業務効率化(人件費削減:結果的に労働生産性向上)を進めていきます。

新聞の情報では、「みずほ」は2026年までに「1万9000人」の削減を示しています。

「三井住友」は2019年までに「1500人」分、「三菱東京UFJ」は2023年までに「9500人」分業務量の削減を行うと示しています(両行は人の削減数は提示していない)。

当然、地方銀行損保、生保もRPA、AIの導入による業務量の低減を行い、結果的に人員削減が進むと思われます。

 

士業は淘汰される

今後、「行政の効率化」が進展します。

そうなると行政に関わっている「各種の士業」も影響を受けます。

行政書士は、規制緩和により、手続きが簡素化され、仕事は減るでしょう。

税理士は、従来の「仕訳・記帳・試算表・決算書」の業務はほとんど自動化され、企業によっては自分たちで実施し、大きく仕事が減る可能性があります。

他の士業も大きな影響を受けるものと思います。

ではどうするか?

● 士業の垣根を越えて連携してワンストップサービス」ができる体制を築く

お客様が望むのは「問題解決です」。

例えば事業承継で、相続税や贈与税は税理士、土地・建物の登記は司法書士、許認可の変更は行政書士、経営相談は中小企業診断士・・・・、それぞれに依頼しているうちに肝心の「事業承継の本質(後継者育成など)」が疎かになってしまい、目的としたことが得られなくなります。

現状では、各士業の専門分野を侵すことができないので、窓口(責任ある推進者)は1人にして、連携により進めていく必要があります。

「税理士事務所」と「経営コンサルタント」の連携はすばらしい組合せと思います。

税理士事務所の顧問先の企業の課題を、コンサルタントが抽出して、対策を実施していく、これにより企業の業績が向上する。

「士業のプライド」これも大事ですが、不要なプライドは捨てて、顧客様視点で考えて、有効な連携が望まれます。

 

できるかできないのではなくて、やるかやらないか!

中小企業も時代の波を無視することはできません。

逆に、この「第4次産業革命:別の記事で紹介します」を積極的に取り入れて、技術開発、ビジネスモデル開発、業務の効率化を進めていくことにより、未来が開けて行くと思います。

一人で考えるのも必要ですが、プロの専門家の意見を聞くことも必要です。

 

【3】人体×介護×IoTテクノロジー

(20171205)

歳を重ねていき「介護」という文字がチラつくころ、「尿漏れ」「便漏らし」、そして「大人用のオムツ」のお世話になる。

自分はこうなりたくないと思っていても、生を受けていれば避けて通れない現実の問題です。

連携している東京の「(株)事業パートナー」の2017年11月の定例会でお聞きした話をベースに「介護とIoTテクノロジー」を紹介します。

「事業承継」の後継者教育として「1年間」事業パートナーで研修を受けている「後継者候補」の方の研修の一環での発表です。

*毎月、自分でテーマを見つけて、約1時間のプレゼンを実施

なお、「(株)事業パートナー」の松本社長の「事業承継で最も大事なのは後継者教育」との信念で、1年間、後継者を受け入れて教育を行っています。

 

介護の実態は?

介護職員の状況は?

厚生労働省によると、2025年度に必要な介護職員数は、約253万人

対する供給見込み数は、約215万人

約38万人が不足する計算になります。

日本生産性本部による2015年の就業者1時間当たりの実質労働生産性は、介護を含む「保健衛生・社会事業」が「2671円」で、製造業の「5228円」の半分です。

これでは、給料も上げることができなくて、介護職員を増やすことはできません。

介護ロボットを導入して不足分を補えば?

確かに介護分野はこれから最先端のテクノロジーを導入して、人手の負荷を減らすことは多くあります。

実際に、職員1人のリモコン操作でベッドを車いすに変え、1分ほどで寝たきりの方を移動できることもできます。

また、リハビリ記録を一括管理するシステムも取り入れられています。

ならば介護職員を減らすことができるのでは?

これには「介護報酬」という制度面の壁があります。

現行の制度では、人員配置の基準が厳しく、デイサービスだと原則5人の利用者に職員1人が必要です。

よって、ロボットを使って効率的にサービスを提供しても、人手を減らすことができない矛盾が生じます。

なぜ、制度が企業の改善を邪魔するのでしょうか・

元気にさせると介護施設が成り立たない

介護が必要な方に「筋肉トレーニング」で歩行が可能になり、その方の「要介護度が3から2」になると、月の費用は約15万円から10万円程度に減り、介護施設の収入が減ります。

介護職員の方の苦労が報われない本末転倒の話です。

介護の現場で困ることは?

両方にとって、排泄の難しさ

介護される方にとって、「尿を漏らす」「便を漏らす」ことは恥ずかしくて屈辱的なことです。

本人は漏らしたくないのに、どうしようもありません。

まして自分で処理して隠すこともできません。

また、介護する人も「排泄物」の処理は大変です。

一人ではできなくて、2・3人で服を脱がして、汚れたところを拭いて、大変な作業になります。

これが人手が多くいる要因の一つになります。

漏れないようにするには?

出る前にトイレに誘導できれば、防ぐことができます。

定期的にトイレに連れて行っても必ずしもそのタイミングで排泄するとは限りません。

ここでIoTの出番です

尿や便の状態をセンサーで検出して、排泄のタイミングを知ることができたら、漏らしたり、トイレでの空振りを防ぐことができる可能性があります。

私も病院で調べてもらったら、尿の排泄後、通常の方よりも残尿量が多く、そのため夜中のトイレの回数が多くなると言われました。

薬を服用してしばらく経ったら、夜中に起きることがなくなり、朝までぐっすりと眠ることができています。

病院で行った尿の量の測定を、簡単にできれば、排泄のタイミングがわかる可能性があります。

これを製品化しようとしている企業があります。

ベンチャー企業の

「トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社」です。

上の写真の小さい部分が検出部で下腹部に装着し、超音波により膀胱の尿の残存状態を測定し、大きい部分がその情報を処理して無線でスマートフォンなどに送って排尿のタイミングを職員に知らせます。

この情報を受け取った職員がトイレに誘導し、漏らす前に排泄させることができます。

この機器は、国内外から注目されていて、様々なファンドなどから「15億円」の資金を調達して実用化の開発を進めています。

言われれば当たり前のような気がしますが、最初に思いついてそれを行動に移すこと、その情熱は素晴らしいものがあります。

これからこのような身近なことに、最先端技術が使われていき、中小企業でも、発想によっては、大きなビジネスチャンスが生まれてくる可能性があると思います。

 

【4】税理士:92.5%、中小企業診断士:0.2%

(20171215)

この数字は何でしょうか?

10~20年後に「AI(人口知能:コンピュータ)」によって自動化できる業務の割合を示したものです。

*野村総研と英オックスフォード大との共同研究によるもの

税理士業務の「92.5%」は「AI」が実施するということです。

一方、中小企業診断士の業務は、0.2%しか減らないということです。

ちなみに他の士業の数値は?

・行政書士:93.1%

・税理士:92.5%

・弁理士:92.1%

・公認会計士:85.9%

・社会保険労務士:79.7%

・司法書士:78.0%

・弁護士:1.4%

・中小企業診断士:0.2%

弁護士と中小企業診断士を除いては、他の士業はほぼ職業として消滅することになります。

 

各士業は何をする人なの?

士業の種類が多く、ほとんどの方が各士業が何をしているかわからないと思いますので簡単に紹介します。

行政書士:官公署に提出する書類の作成、例えば、建設業の許可申請、飲食店の開業申請、最近は外国人の在留資格(ビザ)取得の申請が増えています

税理士:各種の伝票の整理、毎月の経営状況の集計(試算表)、年間のまとめ(決算書)、税務署への提出書類の作成

弁理士:特許などの出願・登録手続き、細かい特許出願の明細書を書きます

公認会計士:企業の財務書類の監査・証明*主に大企業が向け

社会保険労務士:労務関係(賃金、社内の各種規程)、年金などの社会保険に関する書類の作成、各種の人に関する助成金の申請もしています

司法書士:土地や会社の登記や供託に関する手続き

弁護士:訴訟代理などの法律業務

中小企業診断士:中小企業の経営コンサルティング

各士業しかできない業務もありますが、逆に多くの士業ができるものもあります。

例えば、相続関係の業務(相続、遺言、信託、後見)は、行政書士、税理士、司法書士、弁護士などがそれぞれの得意分野を軸として行っています。

「ものづくり補助金」などの支援は、行政書士、税理士、中小企業診断士、技術士などが行っています。

 

AIに侵食されやすいのは?

数字関係を主に行っています「税理士、公認会計士」の業務は大きく変わると思います。

伝票も人が入力するのではなく、スキャナーでバーコードを読み取って、そのデータを自動的に集計し、また、銀行を介しての取引も銀行とのオンラインで自動的に集計します。

日本は手続きが面倒くさい、簡素化

日本は、国際的に見て「ビジネスがしにくい国」に位置付けられていて、その原因の一つとして規制が多い手続きが煩雑なことが挙げられます。

規制緩和の推進によって、この規制や手続きは大幅に緩和されていくと思われます。

また定型的な申請については、「AI」が整備されたデータベースから自動的にデータを持ってきて、「可否判断」まで行っていくと思われます。

これにより、国や自治体の機関へ各種の手続きを行っている「行政書士」「税理士」「司法書士」「社会保険労務士」などの業務は大幅に減少すると思われます。

決して衰えないコンサルニーズ

弁護士、中小企業診断士がAIによって業務が減らないとなっているのは、会社や人を支援する「コンサル」業務を主体に行っているからだと思います。

20年後は経営者が実施している多くのことは、「AI」が実施していくと思われます。

例えば、今後の経営予測は、莫大なデータベース(ビッグデータ)の解析により導かれて、経営会議の重要な資料になるでしょう。

見方を変えると、現在経営者が行っている「自分がやらなくても良い業務」を「AI」が代替して実施して、経営者は本来の業務に専念できるとも言えます。

経営者の本来の業務とは、「将来の会社の姿」を描いて、その実現に向けた戦略を立案し、推進していくことです。

今よりも多くの時間を使えることになり、「経営コンサルタント」と連携してより高い次元の戦略を構築していくことができます。

 

「経営ドクター九州」プロジェクトの真髄

当社では、「中小企業様の経営支援」の具体化として、「経営ドクター九州」プロジェクトを推進しています。

このプロジェクトは、「税理士事務所」に「経営コンサルタント」を派遣して、税理士事務所の顧問先の企業の経営改善(課題解決)を行うものです。

「経営コンサルタント」は、(株)事業パートナー九州(2018年1月設立予定)が主催する「200時間研修」を受講して能力的に問題がないと判定された者がなります。

税理士と経営コンサルタントが協力して、「AI」がまだまだできない、お客様にとってより価値が高い「戦略立案」「仕組み作り」を提供することができます。

 

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