経営改善・事業再生 2021年(1)
本記事は、以前のホームページに記載したものを整理したものです。
【1】2021年から3年間の経営戦略
(20210123)
本年(2021年・令和3年)はどんな年か
本年は、『十干(じっかん)』と『十二支(じゅうにし)』の組合わせでは、「辛と丑(かのととうし)」に当たります。この組合わせは、60年に一度になります。
「辛」(かのと)の意味すること
『十干』は、生命のサイクルを「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」の10段階で示します。
「辛」は季節でいえば秋の終わり頃、植物なら枯れた状態にあたります。
「思い悩みながら、ゆっくりと衰退していくこと、痛みを伴う幕引き」を意味するとのことです。
「丑」(うし)の意味すること
『十二支』は、生命のサイクルを「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)」の12段階で表します。
「丑」は、発芽直前の曲がった芽が種子の硬い殻を破ろうとしている状態。種の中に今にもはち切れそうなくらい生命エネルギーが充満している状況(命の息吹)を示します。
「辛」と「丑」の意味すること
「緩やかな衰退、痛みを伴う幕引き」と「新たな命の息吹」が、互いを生かし合い強め合うことを意味します。
⇒ 辛いことが多いだけ、大きな希望が芽生える年になることを指し示しています。
・「辛」で思い悩みながら衰退をしつつ、「丑」で新しい息吹がある
・マイナスが大きければ大きいほどプラスも大きくなる
・大きな希望を手に入れるカギは堅実で強い精神力にある
現在の状況と照らし合わすと
少子高齢化・人口減少による経済成長の鈍化「穏やかな衰退」、これに加え「新型コロナウィルス感染拡大による「痛みを伴う幕引き」、「緊急事態宣言の発令」などで、経済や個人の活動に制限がかかっています。上記の「辛(かのと)」の意味と同じ状況になっています。
一方、新しい生活様式、デジタル化の推進、働き方改革など「新たな息吹」が芽生えつつある状況でもあります。これは、上記の「丑(うし)」の意味と同じ状況になっています。
本年は、コロナ禍などの影響で、先が読みづらい混沌とした状況が続く中で、個人、企業の中には「新たな息吹(新商品・新サービス、事業の変革)」に取り組むところが出てくることが期待されています。
「リベンジ景気」に向けて2021年から2023年の経営戦略
まずは資金繰り
コロナ禍は2023年末までは終息しない、言い換えれば2023年末には終息すると言われています。その理由は、コロナの有効な治療薬が完成(十分ではないが)すると思われるからです。ワクチンと治療薬はその効用が異なります。人は病気になっても治る薬があれば怖くなくなります。
2023年末まで資金が繋げて会社がもてば、2024年からのリベンジ景気(消費)の恩恵に与れます。
そのためには、売上よりも利益よりも「資金繰り」ということになります。そうは言っても利益が赤字では資金不足の原因となってしまいます。
一般的に利益を上げる基本的な考え方は2つです。
(1)売上を上げて利益を増やす
(2)支出を減らして利益を増やす
(1)の売上を上げるのは2023年末までは市場が縮小しているので簡単ではありません。また(2)も効果は認められますが、目標とする利益を確保するのは限界があり簡単ではありません。
正解は、生産性を上げて利益を創出するという方法です。まずは、経営者をはじめ全社員が一丸となって知恵を出して、一歩踏み出すことです。
例えば、「仕事の流れ」で、朝に出勤してから退社するまでの自分の動きを図解(可視化)してみます。その中で「時間を短縮できないか?」「順番を変えられないか?」「これとこれを一緒にできないか?」「簡素化できないか?」等をしっかりと考えれば、一時間分の作業を減らせるはずです。
人は「できますか?」と言われれば「難しいです」と答えますが、「どうしてもやらなければならない!」となれば知恵が出てくるものです。
こうして全社員が一丸となって知恵を出せば何とかできるものです。先ずは難しいと言わないで「やってみる」から始めてみませんか。ご褒美は社員のボーナスと会社の利益です。
3年計画でリベンジ景気に備える
先に示した2014年の「リベンジ景気(消費)」に向けて、商品・製品やサービスの開発を行う必要があります。景気が良くなっても、これまでの商品・製品やサービスが売れるとは限りません。
2021年:調査・分析から方向性を決める
市場(取引先・消費者)が求めているものが何かを徹底的に調査・分析を行います。
この結果として、「誰に」「何を」売るのかを決定します。
2022年:どうやって実現するかを検討
上記で決めた「誰に・何を」をどうやって実現するかを検討します。
「どこから調達するのか?」「どうやって製造するのか?」「どうやって売るのか?」などを具体化します。この際は、自社単独で考えるのではなく、どこと連携するかも検討します。自社の能力(資源:ヒト・モノ・カネ、技術力、商品開発力など)には限りがあります。
2023年:商品・サービスの完成
2年間検討を行った「誰に」「何を」「どのように」を実施できる体制を完成させ、2024年のリベンジ景気に対応できるように備えます。
2024年をターゲットにして、3年計画で「商品(製品)サービスの開発」「連携先を含めた推進体制の整備」「人材育成」などを計画的に進めることが会社の将来にとって重要になります。
【2】生きるための計画の考え方
(20210123)
経営計画はなぜ必要なのか?
夢の達成? 目標の達成? 会社資産増加? 個人資産増加? 事業承継?
経営計画とは、自社が将来あるべき姿に到達するための道筋を示したものです。将来を正しく予想することは不可能ですが、可能性の高い状況を把握して、それに合わせた施策を考えておくことによって、計画と実績が異なった場合でもスムーズに対応することができます。
計画どおりいかなくても計画は必要
計画どおりに事がいかない場合に、二つの考え方があります。
(1)だから計画をたててもダメだ!
(2)計画どおりいかないのはなぜか、どうしたら計画どおりいくか?
(1)は「障害があるからできない」という消極主義者であり、
(2)は「障害をつぶすにはどうしたらいいか」という積極主義者 です。
このどちらかを選ぶかで、行動は180度違ってきて、結果は大きく異なります。
世の中に障害がない仕事はありません。数々の障害を克服して達成するところに生きがいがあり、向上があります。たとえ計画どおりにいかなくても、計画を放棄したらダメです。あくまでもこれにかじりつき、やり抜く執念が大切です。
会社を存続させる(生きるため)の計画の考え方
伝説の経営コンサルタントと言われる「市倉定」先生の著書、
『マネジメントへの挑戦(復刻版)』を読んでいて、
「計画(目標設定)に対する考え方」を変えなければならないと感じました。
下に2つの考え方を示します(上記の著書からの抜粋)。
私は、サラリーマン時代、目標管理制度の中の計画策定では、上記の「世に言われている計画(目標設定)」の考え方で行っていました。
現在、経営状態が厳しい(赤字、債務超過、借入金の返済不能など)企業の経営改善・事業再生を行っていると、この従来の考え方では再建が難しいのではないかと感じています。
金融機関に対しては「ムリのない計画」を示すことが多いですが、一度沈んだ、傾いた企業には、実現不可能に見え、ムリがあり、納得いかない計画が必要ではないでしょうか。
ただし、この計画を導く出すには、生半可な調査・分析、対策検討ではなく、必死の取組みが必要です。
さらに、計画策定後、その計画を推進するには、「経営者(トップ)の意思」と計画に携わった経営コンサルタント等の「支援者の厳しいバックアップ」が必要になることは言うまでもありません。
このコロナ禍の中で、経営不振により「事業構造の再構築」「財務体質の見直し(リスケなど)」場合によっては「事業譲渡」「廃業」を考えなければならない企業が増えてくることが予測されます。
その中で、現状を的確に分析して経営計画を策定することが必須であり、その計画策定の考え方が将来を左右します。
【3】企業経営は「儲ける・儲け続ける」が最優先
(20210208)
5年ほど交流のある、関東の行政書士の「上山雅子」さんから、新年の挨拶とともに、出版した著書を頂きました。
年商1000万円をめざす「ひとり行政書士」の開業・集客・受任ガイド
士業の場合、売上を明言する方は少ないと思います。彼女の素晴らしいところは、目標を明確にして、その目標を達成するにはどうしたら良いかを徹底的に検討し、それを実行に移すことです。
行政書士だけでなく、他の士業の方も参考になりますので、ご購読をお勧めします。
企業経営はまず「儲かる」ことをやる
これは、私の師匠の一人である「(株)事業パートナーの松本社長」が、「何の事業を行うかを検討する際の考え方」を示した図です。
「儲かること」が最優先ということに抵抗を感じる方が多いと思います。「儲けるためには、倫理に反するどんな手段を使ってでも」と捉える方もいるかと思いますが、「儲ける・儲け続ける」には、高い倫理観を持ち、理にかなって、考えに考えた末のことを、誠実に実行しなければ行う事はできません。
法律に違反したり、倫理に反することで儲けても、いずれ破綻し、儲け続けることはできません。当たり前ですね。
儲けることができれば、「従業員に高い給料を払える」「新しい設備が購入できる」「新規事業ができる」「会社を買収することができる」「経営者の生活にゆとりがでる」「社会貢献もできる(時間・お金)」、儲けなければしたくてもできません。
第2番目の「好きなこと」は、継続するためには必要です。
第3番目の「得意なこと(できること)」は、状況によっては、他の人や会社の力を借りることでも実施することは可能なので、優先順位は下がっています。
「儲ける」には何が必要か?
1 市場・顧客を見る
経営者は、常に「市場・顧客」に目を向けることです。市場・顧客ニーズをいち早く捉え、満足する商品(製品)を供給することが儲かる第一歩です。
儲かるためには、顧客から利益を多くもらわなければなりません。当然、相手も購入する物・サービスに関しては熟知しています。そのため、顧客の期待している以上のモノや価格で提供しなければなりません。
ある食品製造会社がコストダウンのために、安い材料に変更しました。値段を安くしたにもかかわらず急に売れなくなりました。倒産寸前の土壇場で良い材料を使い徹底的に味を追求したものを商品化したら、かなり高価にもかかわらず、連日、売り切れになりました。
大企業は「良いモノを安く」売る戦略がとれます。それは1個の利益が少なくても、多くの量を売るので利益額は確保できるからです。
中小企業は、多く作ることも、多く売ることも難しいです。そのため、「特別良いモノを、少ない量、高く売る」戦略が必要になります。例えとして、吉野家の横に、一食が「2,000円」の「牛丼」を販売して売り切れるかです。
2 根本から価格を設定する
販売価格から、仕入れコスト・製造コストが決まります。商品・製品の価格を最終的に決めるのはお客様です。お客様はあくまでも自分の必要性から価格を決めます。
販売価格から、まず必要な利益を引き、残りがコストになります。このコストでできなければ消え去るより道はありません。
引き合うためには、「どのような設計にするのか?」「どのような加工法をとるのか?」「人件費や経費をいくらであげなければならないのか?」を根本から考えるしかありません。
「儲け続ける」には何が必要か?
1 「未来事業費」を考える
*未来事業費:「一倉定」著、「マネジメントへの挑戦(復刻版)」から
現在の利益、経費だけでなく、未来のために必要な経費(未来事業費)を捻出することが必要です。
企業は、先の飯の種を仕込んでいなければ、現在が良くても数年後には赤字に転落する可能性があります。
未来事業費としては、「人材育成費」「研究開発費」「生産性向上対策費(合理化、能率化)」「(連携先確保のための)接待費」などです。この予算を確保して有効に使うことにより、「儲け続ける」ことが可能になります。
2 継続する仕組みを造る
社内がバラバラでは、良いモノができないし、長続きしません。設計の指針や製造での手順、材料の購入方法、検査方法などを明文化してこれを実行することが継続への一歩です。
「5S活動」というと、「整理・整頓・清掃・清潔・躾」ですが、これを徹底して進めることも企業体質を強くする手段になります。
3 もっと良い生き方をしたいという思いを強く持つ
経営者が前向きな気持ちにならないと儲け続けることはできません。今よりも更に良い生き方ができるように思いを強く持つことは重要です。
・事業を通じて何をやりたいのか?
・自分の人生を通じて何をやりたいのか?
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