【特集02】あなたの会社に5S活動は必要?
あなたの会社に5S活動は必要?
どの会社でも「5S活動」を取り入れているかと思います。
ここでは、製造会社勤務の際に感じたことも含めて、5S活動の必要性に関して、全体的に感じていることを紹介します。
*本記事は2015年9月に、以前のホームページに掲載した内容を一部修正しています。
5S活動とは?
「5S活動」については、皆さん、十分理解されていると思いますので、ここでは定義だけを示します。
「5S」とは、次の日本語の頭文字をとったものです。
整理(Seiri):いらないものといるものを分けて、いらないものを捨てること
整頓(Seiton):必要なモノが、いつでもすぐに取り出せるようにすること
清掃(Seisou):職場をきれいな状態にして、いつでもすぐに仕事ができるようにすること
清潔(Seiketsu):整理、整頓、清掃(3S)を維持すること
しつけ(Shitsuke):決められたルールをきっちり守るよう習慣化すること
5S活動で会社は儲かる?
結論は、「真の(徹底的な)5S活動」をしている会社は儲かっていると思います。
読んだ本からですが、「日本電産」がM&Aで、「三協精機製作所(現・日本電産サンキョー)」の経営権を獲得した際の話を紹介します。
日本電産が経営権を獲得したときの三協精機は、売上低下、経常損益は赤字、「最終損益は100億円以上の赤字」の状態でした。
このような状況の下で、「人員削減はしない」「三協ブランドは残す」「あくまでも自主再建(役員の派遣は1~2名程度)」という条件で経営の立て直しを行いました。
その結果、1年半後の決算では、「当期利益を170億円以上(前年は280億円以上の赤字)」を達成し、その後の経営も順調に推移しています。
日本電産の「永守社長」が大切にされている考え方の1つに「3Q6S」があるとのことです。
「3Q」は、「Quality Worker(良い社員)」「Quality Company(良い会社)」「Quality Products(良い製品)」を意味し、この「3S」を実現するために、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の「5S」に加え「作法」を実行するという考え方が込められています。
日本電産サンキョーでは、「3Q5S」を徹底的に行いました。ここでは、その内容は紹介しませんが、その徹底度にはすごいものがあります。
この活動により、社員の意識が変わり、「みんなで取り組むことによる成果を体験した」効果は極めて大きいものだと思います。
当然、「5S(6S)活動」だけでは、業績の改善はできません。「5S活動」は、業績を上げるための、「個人」「組織」の「レベル(力)」を上げる役割を果たすと思います。
「個人」「組織」のレベルが上がらないと、絶対、業績は上がりません。
ただし、「真の(徹底的な)5S活動」でなく、中途半端や表向き(真心が入っていない)な活動では、逆効果で、会社の業績は向上しないことが多いです。
業績が上がるかどうかは、「5S活動」の中身にあります。
できる人、できる組織(会社)?
できる人なのか、できる組織なのかは、その人の「机(作業場)」、その組織の「部屋(作業所)」を見ればだいたいわかります。
ある管理職の机の上は、「書類の山」、本人は「自分はこんなに仕事をしているんだ」と思っているかもしれないし、周りから見て「忙しいそうだ」と思うかもしれません。
この状態を冷静に考えると「仕事の処理能力が低い」もしくは「仕事のバランスが悪い」ということになると思います。
また、忙しいように部下に感じさせることは、部下からの報告、相談が入りにくく、問題の把握が遅れることになります。
まして、貴重な書類を放置して帰宅して、万が一、悪意の者が、その重要書類を破棄、あるいは外に流出させた場合、社外的な問題になった場合、多大な損失が起きてしまいます。
仕事ができることは「スムーズに流れる」ことです。
スムーズに流れることにより、無駄がなくなり、結果的にロスが少なくなって、会社の業績が上がることになります。
一人の業務の停滞により、流れが悪くなり、ビジネスチャンスが失われる可能性もあります。
一度滞留が生じるとどんどん負のスパイラルになってしまうことは皆さんも感じたことがあると思います。
作業場所が乱れていて、それによる事故が発生する可能性もあります。
重大な事故を発生させた事業所は、たぶん、5Sができていなかったと推察することができます。
別の会社を訪問、あるいは別の営業所を訪問した時に、第一印象として、一瞬に雰囲気がわかることがあると思います。
無意識的に「すばらしい会社(事務所)ですね」と、一声を出す(出してしまう)ような会社は、5Sがしっかりできていると思います。
それは物理的に整理・整頓がされているだけでなく、入った時の警備員や受付の対応、出迎えの態度、会った他の社員の様子も含めて、全てに5Sが行き届いているからだと思います。
お客さんが玄関に入っているのに、誰もしらん顔をしているような、約束時間が過ぎているのに平気で待たせる会社(組織)は、5Sができてなく、業績が悪いあるいは今後悪くなる会社と思ってしまいます。
社内の掲示板に、秋なのに「春の火災予防週間のポスター」が貼ってあったり、「掲示期間の表示が数年前」のものがそのままあるような会社は、取引きの継続を考えてしまうこともありました。
それを掲示した部門だけの問題でなく、会社全体の「無関心」「無気力」を感じてしまいます。
5S活動の主体は?
「5S活動の主体は?」と聞かれたことがありますが、答えとしては「全員」と思います。
ただし、責任は「社長(経営者)」にあります。
「5S活動はトップダウンではなくボトムアップ」との意見がありましたが、確かにある段階からの効果が出る活動は、ボトムアップであることは間違いありません。
この「ボトムアップ活動」を有効にするには、トップの固い意志が重要と思います。
5S活動が「消滅する」あるいは「停滞する」時は、「トップが5S活動に熱意がなくなった時」ではないかと思います。
子供が親を見るように、生徒が先生を見るように、社員は上司を見ています。
経営者(上司)が「5S活動」を阻害するような行動を取ったり、雰囲気を出した時、これまでの活動の成果はあっという間に失われていきます。
32年間の会社生活で、さまざまなことを経験させて頂きました。
その中で、「5S活動」はどの職場でも関わってきました。一構成員の時もありましたし、指導的立場の時もありました。
当然、成功した職場もありましたが、失敗も多く経験しました。
会社経営あるいは現場管理の中で、停滞している原因の中に、「5Sができていない」ことがあるかと思います。
(株)事業パートナー九州では、実際に訪問させて頂いて、現場に入らせて頂いて、経営者の方と共に現状分析を行い、その後の活動で、効果のある「5S活動」ができるようにご協力させて頂きます。
「5S活動」は何の役に立つの?
「5S活動」は、製造現場あるいは販売現場だけでなく、研究開発、営業、経理などの間接部門といえる組織、職場でも有効な考えで、さらに、経営者自身の行動に関しても良い影響を与えると考えています。
先に、「経営・業務の改善」として、「5S活動」の全体的なことを紹介しました。
ここでは。、「5S活動」が経営に与える影響について紹介します。
効果1 業績(利益)が向上する
① 売上が拡大する
ビジネスは、対企業(会社)向けの「B to B」と、対一般消費者向けの「B to C」の両面がありますが、「5S活動」は両面の売上の拡大に効果があります。
「B to B」の場合、お客様が「品質監査による現場立入り」「新製品の試作品の確認」あるいは「共同開発のための人の受け入れ」などが多くあると思います。
その場合、「5S活動」がしっかりできていると、好印象を感じてもらい、「信用力」が向上し、これにより取引きが円滑に進み、それにより売上が拡大します。
競合先と、品質、価格が同等であっても「信用力」により受注をが可能で、場合によっては、多少価格が高くても、品質安定や製品改善の潜在力を認めてもらって注文を得ることも可能になります。
製造現場あるいは販売現場が乱れている会社に大事な取引を頼むことはないと思います。
「B to C」の場合も同様で、「乱雑に展示されている販売店」「汚れた飲食店」には、通常は、「入らない」、「一度は行っても二度とは行かない」と思います。
また、商品を探すときも、店員に言って、探すのに手間取る店やたらい回しにあう店も同様に行かなくなると思います。
② 材料費の減少、修繕費の減少などの変動費が下がる
「5S活動」のレベルが高い組織は、原材料の先入れ先出しができるので、材料が劣化(錆、変色、分離)したり、食品の場合は消費期限が切れたりすることがなく、これにより、廃棄の損失や再購入が少なくなり、材料費が減少します。
また、在庫管理が「5S活動」によりきちんとできていると、欠品がなくなり、それによる生産停止やビジネスチャンスの機会損失を防ぐことができます。
「5S活動」のレベルが上がると、職場や業務の「見える化」が進み、また「観察眼」が養われるので、「異常」を初期段階で発見することができ、問題発生を未然に防ぐ、または炎上しないうちに対処することができます。
このように「5S活動」は現状だけでなく、将来にも目を向けることができます。
③ 生産、営業の本来の業務に回す時間が増え、固定費が下がる(生産性向上)
ある本の記載では「平均的なビジネスマンは、1年間に150時間をモノを探すのに充てている」という調査結果があるとのことです。
1日の労働時間を8時間とすると約19日を、価値を生まない(業績に寄与しない)時間に費やしていることになります。
これは、平均的な数値で「5S活動」のレベルが低い者の場合は無駄な時間を多く使っていることになります。
生産現場で「工具」「材料」などを探すのに時間がかかり、生産性が低下することは理解しやすいと思いますが、他の部門では見えにくいのでより深刻な場合があります。
研究開発、商品開発、企画・調査部門では、資料や書類の整理・整頓が悪い、あるいはパソコン内の格納が系統立ってないため(情報5s)、必要なものを探すのに時間を費やして、それに疲れ、本来の「創造する」ことにエネルギーをかけれない状態になっていることも多いかと思います。
個人の能力を上げる方法の中に、「無駄な時間を減らす」ことは有効だと思います。
「1作業1片付け」と言われますが、並列的に幾つかの業務を抱えている場合(我々の士業はその典型ですが)、途中まで実施した仕事を片付け(整理・整頓)により1区切りを付け、これにより気持ちを切り替え、また次に同じ仕事の続きを実施する場合はスムーズに開始できるように日々実施することにより、業務の効率は飛躍的に上がると思います。
個人、組織が無駄な時間消費を減らすことにより、能力が向上し、他の業務を実施できるようになり、これにより人件費の抑制ができ、会社の業績が向上する好循環を生むことができます。
「ライフワークバランス」ということが数年前から言われていますが、「単に労働時間を減らす」のではなく、「無駄な労働時間を減らす」「個人の能力を上げて労働時間を減らす」必要があります。
これができないと、会社は人を増やさなければ対応できなくなり、業績の悪化につながっていきます。
効果2 個人・組織の能力が上がる:これにより業績向上
「5S活動」の効果は、目に見える効果もありますが、「個人・組織の能力が上がる」目に見えにくい効果が大きいです。
以前の号で「日本電産サンキョー」の話を紹介しましたが、業績向上の基礎として「個人・組織の能力向上」があると思います。
数人の個人の能力向上では限界があり、「組織」としての能力向上が業績向上にはかかせません。
効果のある「5S活動」は社長、経営者をはじめ、管理職、一般社員、あるいは派遣社員を含めた全員参加が重要で、全員参加があとに示す効果を実現することができます。
① 円滑なコミュニケーション、価値観の共有
「5S活動」には、上司と部下の関係はなく、対等な立場で取り組むことができます、あるいはそうしなければなりません。
多くの会社では、「上司と部下の縦のコミュニケーション」「部門間の横の連携」に課題を持っていると思います。
これを打ち破る活動として「5S活動」は非常に有用と思っています。
「5S活動」は全員参加ですので、当然その活動の中で、「対話」が生じます。
最近は電子申請が進んでいて、休暇願いも上司との相談もなく申請、もっとひどい場合は、席が近いのに大事な報告をメールで出して帰宅する、あるいは上司は通達の形でメール連絡のみで直接話をしない状態が見られます。
以前よりも「対話」の機会が減っている、「対話」がし難いようになってきています。
小さな誤解、すれ違いが積み重なると、不信感が高まり、人間関係の悪化、組織の崩壊につながっていきます。
ほとんどの場合は、悪気があってやっているわけではないですが、時には本心でやっている場合もあります。
これを修復するには、「直接の対話」しかありません。ただし、「対話の機会」を持つことは難しいこともあります。
そのため、「対話」が必要な「5S活動」を行うことにより、自然と「対話の機会」が増えて、自然と「本心で話す」ことができるようになります。
ただし、中途半端な、あるいは表面的な「5S活動」は不信感が出て逆効果になることがあります。
「5S活動の中の対話」により、組織内に「価値観が共有」されるようになります。
個人の各々の価値観は尊重しなければなりませんが、ここでは、「対話」によりお互いのことが理解でき、組織として必要な普遍的な価値観である「感謝の気持ち」「思いやりの心」が生じることです。
この価値観の共有がベースになり、様々な活動における基礎が形成されると思います。
② 判断力(決断力)の向上
「整理」とは、「いらないものといるものを分けて、いらないものを捨てる」ことです。
当然、捨てる前には、判断しなければなりません。
この判断の基準は人によって異なります。そこで、組織としての判断基準が必要になってきます。
最初のうちは、判断に迷うことが多いと思いますが、「5S活動」を進めていくと、組織としての判断基準が明確になってきて、その度ごとに協議することなく、各個人が適切な判断を行うことができるようになります。
「5S活動」で養われた「判断力」は、通常の業務においても活かすことができるようになります。
また、「自分で判断してはいけないこと」もわかるので、対外的な問題も発生しにくくなります。
③ 組織の問題解決力の向上
上記で示したように「5S活動」で、組織内のコミュニケーションが深まり、組織の判断能力が高くなると、当然に「組織の問題解決力」が向上します。
「5S活動」の中では、「計画し、それを実行し、その結果を評価して、さらに改善するサイクル(PDCAサイクル)」を回し、それがスパイラル的に回り広がることによって成果がでてきます。
また、計画段階では、「目標(あるべき姿)」を設定し、「現状とのギャップ」を明確にして、それを埋める対策を実施します。
これらの一連の内容は、通常の「業務改善」で行う必要があるもので、全ての会社で、明示的にあるいは暗黙的に行われていることと思います。
「5S活動」で真の問題解決力が個人、組織で高めることができれば、会社の業績向上に寄与できるものと考えています。
基本ができてないと、組織は弱いものです。一つのきっかけによって崩れることがあります。また、問題は組織の中で弱い部分で発生します。
基本は簡単なことですが、これを完全に行うまたは継続して行うことは難しいことです。
以前の号でも述べましたが「5S活動が停止するときは、社長(経営者)が5S活動に熱意がなくなったとき」と述べましたが、極論を言うと、「5S活動を止めるときは、会社の発展をあきらめるとき」ではないでしょうか。
なお、「PDCA」や「業務改善の進め方」については、別ブログで紹介します。
32年間の製造メーカーでの体験を思い起こすと、反省すべき点も多くあります。
ここで「5S活動の重要性」を述べましたが、振り返ると、会社員生活では、その取り組みが不十分であったと言わざるを得ません。
「5S活動」は、地味で、ある一定レベルに達しないと効果が見えてきません。
そのため、「本来の業務優先」となりがちですが、組織としての基礎ができてないと「本来の業務」も無駄が多い遂行になり、不完全な成果あるいは意味のない結果になってしまうことになります。
北九州アシスト事務所では、これまでの製造メーカー勤務で体験した「成果、反省」を中小企業の「経営改善・業務改善」にお役に立てることを願っています。
「経営・業務」を基本的に見直して、更なる発展を目指したい経営者と共に、考えていきたいと思っています。
現状の「経営・業務」で困っていることがありましたら、ぜひ、お問い合わせ下さい。
なぜ「5S活動」がうまくいかないのか?
これまで「経営・業務の改善」として、「5S活動」の必要性、活動実施による効果について紹介してきました。
「5S活動」は会社の発展、特に「会社の基礎体力を強くする」のに有効な手法と思っていますが、この活動を定着させて、有効に使っている会社は少ないと思います。
ここでは、「5S活動」のまとめとして、「なぜ5S活動がうまくいかないのか」について、経験を含めて紹介します。
「5S活動」の本質を経営者が理解していない
上記でも述べましたが、「5S活動」の主体は「全員」ですが、社長をはじめとした「経営者」の影響が大きいです。
「5S活動を実施すること」に対しては、どの経営者も異論はないことだと思います。
「5S活動」により、社内がきれいになることに誰も反対はしないと思います。
ただ、表面上の、形式的な「整理・整頓」ができて満足しただけでは、「5S活動」を実施した意味はありません。
この「5S活動」を「会社の業績向上」、「会社の基礎体力強化」にまで結びつける必要があります。
特に、従業員個人及び組織に
「継続して実施する貫く力」
「当たり前のことを当たり前にできる力」
「対話を基本としたコミュニケーションができる風土」
を構築することが重要です。
これにより、「業績向上」への道が開けていきます。
経営者は、「5S活動」を始める前に、あるいは再度チャレンジする際は、目的明確にして、最終的な「あるべき姿」を描いて活動を開始して下さい。
これがしっかりしていないと途中であきらめてしまうことになると思います。
経営者の「5S活動」に対する熱意がなくなる
「5S活動」が終了する、あるいは停滞する時は「経営者の5Sに対する熱意がなくなった時」です。
上で示したように、「目的」「あるべき姿」を設定しても、さまざまなことで、「5S活動」がうまくいかなくなることがあります。
この時は、「経営者の熱意」が最も重要です。うまくいかない時こそ、経営者が陣頭指揮に立って推進できれば、その熱意で突破できることができると思います。
ただの掛け声や叱咤激励ではなく、自らが実践し、その姿を従業員に示すことができれば、継続は可能と思います。
私の経験上、トップ層が「5S活動に熱意」を持ち、自ら職場を巡回し、従業員と触れ合うことにより、活動が活性化していました。
残念ながら、5S活動にあまり熱意がないトップに交代したとたん、5S活動は急速に後退し、これまで築いてきたものがあっという間に崩れてしまいました。
交代したトップは「5S活動」を否定していたわけではなく、表面上、形式上は推進を唱っていましたが、従業員は正直で、トップに「真の熱意」がないと、それを察して活動に対する取り組みに真がなくなり形式的になってしまいます。
「5S活動」がやらされているという「義務」になってしまいます。
「経営・業務」の中で、その状況に置いて、優先すべき解決すべき課題は多くあります。
当然、その課題に対する施策を実施しなければなりませんが、「5S活動」はその施策のベースになるものです。
「5S活動」により、「基礎体力」を上げた会社は、さまざまな課題に対してもより効率的に、有効に対応できると思います。
全従業員に「5S活動」の本質を浸透することができない
「5S活動の主体は全員」といっても、なかなか全従業員に浸透させることは難しいです。
「製造現場」や「経理部門」などの比較的定期的な業務を行う部門は取り組み易いのですが、研究・開発、営業、企画のように各個人の裁量が大きい部門に浸透させるには苦労すると思います。
基本的な業務の進め方を「5S活動」で習得、あるいは組織としての仕組みができた上に、各個人の能力を発揮することができれば、これらの部門にも強い武器になると思っています。
「整理・整頓」は、業務の効率化、特に時間の無駄を減らして、その分を「生み出す業務」に充てることができます。
経営者は、例外なく、全従業員が「5S活動」に取り組めるように進めることが必要です。
「5S活動」は成果が目に見える、業績に反映されるまでには時間がかかります。
場合によっては、実施しているものが成果に気付かない場合もあります。
その際に、経営者や管理者が的確に状況を把握し、小さな成果に対してもそれを評価し、各メンバーの意欲を継続させていく必要があります。
これには従業員が、「5S活動」の本質を間違えないように「対話」を継続させていく地道な活動が必要です。
やらされ感が先行しやる気がなくなる
「5S活動」の推進の障害として、実施している人、組織に「やらされ感」が漂ってしまって、誰もがイヤイヤやっている状況になることです。
また、ごく一部の人に負荷がかかって、その他の人が無関心になることです。
負荷がかかっている人は、最初はやる気を持っていても、周りの協力が得られないとだんだんとやる気を失っていきます。
そうなると、いつの間にか「5S活動」が停滞し、悪くなると「5S活動」が負担になり、本来の業務に影響したり、組織内の人間関係が悪くなる可能性もあります。
参加者全員が、前向きな意見、提案を出し合って、議論して、決めていく習慣が根付いた組織は、課題が発生した時の対応も速いと思います。
経営者、管理者が、いかに全員が目的を持って取り組めるようにサポートできるかで「5S活動」の成否が決まります。
これまで「経営・業務の改善」の基本的な手法の「5S活動」について紹介してきました。
真の徹底した「5S活動」は会社の基礎体力を築く上で有効な手法と思っていますが、「表面的・形式的で不十分な5S活動」は、意味がなく、組織の力を逆に低下させてしまう可能性を持っています。
32年間の製造会社勤務を通じて、さまざまな改善活動を経験してきた中で「5S活動」は会社の発展には有効な手法と信じています。
当然、成功だけでなく、失敗も多く経験しました。
(株)事業パートナー九州では、これらの経験を、中小企業様の「経営・業務の改善」に役立てたいと願っています。
「5S活動」に限らず、会社発展のための「経営・業務の改善」に関して、ご協力させて頂きたいと思っていますので、ぜひ、お問い合わせをお願いします。