コロナ禍により『ゾンビ企業』が増加
コロナ禍の影響からの脱出
現在(2023年11月)、コロナ禍の影響が少なくなり、海外からの受入れなど制限がほとんど解除され、コロナ禍以前の状況になっています。
コロナ禍の際に、先を見越した取組みをして業績が回復している企業もありますが、未だに業績が回復しなく、場合によっては倒産している企業も多くあります。
倒産に至らなくても、金融支援によって何とか生き延びている『ゾンビ企業』も最近の幾つかの報道等から増えていると思われます。
ゾンビ企業の定義
定期購読(季刊)している「事業再生と債権管理」の181号(2023年夏号)の記載では、『ゾンビ企業』とは、次の2つの条件を満たす企業を指すとのことです。
(1)事業自体に懸念のある企業
(2)(事業再構築が行われることなく)
金融支援によって破綻を免れている企業
★ 事業自体に懸念があるだけでなく、業績が悪いにもかかわらず助けられているのが『ゾンビ企業』という存在になります。
ゾンビ企業の弊害
ゾンビ企業が存在することに対する弊害として、次の2点が指摘されています。
(1)将来性のない企業に資本(金銭的、人的)がとどまり、資本の配分が非効率になる
(2)ゾンビ企業が健全企業と同じ市場で競争することで、健全企業の収益性に悪影響を与え、既存の健全企業の拡大や新規参入を阻害してしまう
コロナ禍とゾンビ企業
コロナ禍では、「雇用調整助成金」「各種の給付金」「公的金融機関の特別融資」「民間金融機関のゼロゼロ融資」など、各種の支援策が実施されました。
「雑誌:事業再生と債権管理」には、これらの支援とゾンビ企業との関係を示しています。
これらの支援策は「結果的にはコロナ禍の前から業績が悪い企業により多く向けられてしまった」と記載されています。
その結果、そもそも事業に問題がありながらもまだゾンビ化していなかった企業が新たにコロナ禍で支援を受けてしましました。
事業再構築補助金に活路を
当社には、経営が悪化して、相談に来る企業や個人事業者には、本業の業績が悪化しているため、他の事業に活路を見いだすために「事業再構築補助金」に応募し、採択された企業が幾つかあります。
いずれも採択されましたが、金融機関からの資金調達ができずに、補助金の事業を断念しています。
「事業再構築補助金」は「思い切った事業再構築」を要件の一つにしていますので、今まで経験のない分野を行う場合もあり、そのため実施したけれど、能力不足でうまくいかなくなり、経営をより悪化させてしまうこともあります。
返済が本格化すると倒産が増える
コロナ禍の施策によって「ゾンビ化」した企業は、資金がないため借入金の返済ができなく、リスケジュール(リスケ)や代位弁済に移行したり、倒産に至る企業が増えてきます。
実際、各種の統計情報では、リスケや代位弁済、そして倒産数も増えてきています。
今後の対応
今後のポストコロナでは「借金が多く経営が悪化している企業」の対応をどうするかが課題の一つになります。
(1)救済すべき企業の救済
救済すべき企業の経営改善・事業再生をいかに適切に行うか
(2)退出すべき企業の整理
市場から退出すべき企業の整理をいかに社会に悪影響を及ぼ実行するか実行するか
誰が行うのか?
上記の企業の「救済」もしくは「整理」を誰が中心になって推進するかについては、次の2者があげられています。
(1)地域金融機関 *メインバンク機能として
(2)信用保証協会
*かつては保証と回収が業務の中心でしたが、現在は経営改善・事業再生の促進、再チャレンジの支援も実施している。
判断基準をどうするのか?
「救済」と「整理」の判断基準として、
「事業の継続価値」と「清算価値」を比較して、
・「事業の継続価値」が大きい場合は「救済」
・逆に小さい場合は「整理」 になります
支援が可能な企業(活性化協議会の視点)
事業性があること:償却前の営業利益がプラス
その上で、次の条件を満たす再生計画(経営改善計画)が策定できること。
(1)3年以内の黒字化
(2)5年以内に実質債務超過を解消
(3)解消時点において有利子負債(金融機関からの借入)を10年以内に返済できること
時間が勝負、早めの行動
経営が悪化した場合、改善策を考える事は重要ですが、並行して「専門家」に相談することをお勧めします。
まずは、付き合いのある税理士や商工会議所等の相談コーナーが思いつくかもしれませんが、切羽詰まった場合は、事業再生を専門としているところに相談することが重要です。
キズが浅い方が助かる可能性が高いです。
・2ヶ月連続赤字で先行きも赤字基調
・資金(現預金)が数ヶ月後にはなくなる
・銀行に借入れを頼んだが断られた
・相談するところがない ・・・ など
これらの場合、当社にお問い合わせ下さい。
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