経営改善・事業再生支援
★ 『経営改善』と『事業再生』の違い
当社の主要業務として、『経営改善』と『事業再生』があります。この両者の違いを紹介します。
最初に『事業ドメイン』とは
各企業では、自社の取り組む事業(生存領域)を決めて活動を行っていると思います。それを「事業ドメイン」と言います。
事業ドメインは、次の3つの要素で定義されます。
何を:提供する製品・商品を決めます
誰に:顧客・市場を決めます
どのように:その製品・商品をどうやって生み出すか?(製造や仕入)
その製品・商品をどうやって売るか?
『経営改善』とは?
経営改善とは、「事業ドメイン」の中の主に「どのように」の部分を改善することを意味していると考えています。
多くの場合は「何を」「誰に」に関しては、変更を行わない場合が多いです。
例えば、次のことが考えられます。
<生産性の向上策>
・生産性が高い設備に入れ替える
・生産性の面でネックの工程を見つけてその生産性を上げる
・注目されている「DX」を取り入れる など
<販売促進>
・小売店での販売以外に「ネット販売」を行う
・店内での飲食だけでなく「テイクアウト」を行う など
<コストの低減>
・材料ロスの低減
・歩留まりの工場
・固定費、役員報酬の減額
・出張費や接待費の節約 など
<財務面の検討>
・リスケジュールにより銀行への返済額を一時的に減らす
・有価証券(株や会員権など)の保有資産の一部売却 など
リスケジュール(リスケ)に関しては次の記事を参照して下さい
『事業再生とは』
『事業再生』の「再生」は、「再び生まれる・生まれ変わる」ということで、『経営改善』よりも大きな変化を意味します。『経営改善』の概念では立ち上がれない状況の場合が多くあります。
例えば、
・赤字が何年も継続している
・財産よりも借金が多い(債務超過)
・このままでは資金が3ヶ月持たない」 などの場合です。
この場合は、先に示した事業ドメインの要素の中で「どのように」だけでなく、「何を」「誰に」の要素も変えることを意味します。いわゆる「ビジネスモデル」や「戦略」の大幅な変更を意味します。
事業再生=「財務の再生」+「事業の再生」
事業再生は、財務の再生と事業の再生を同時に行う必要があります。
財務の再生
経営改善では、銀行への支払いを一時的に止めてもらうか返済額を減らすなどのリスケを行うことがあります。
事業再生では更に踏み込んだ、金融機関の債権放棄や第二会社方式の採用など思い切った策を講じる場合もあります。
事業の再生
財務の再生を行っても一時的にお金の心配が軽減されることはありますが、赤字が続く事業のままでは早い段階で破綻してしまいます。
事業再生が必要な企業は、赤字が続き、その累積で財務状況が悪化して、更に銀行や知人から借金することによってどんどんと財務状況が悪化していきます。
その悪化の元の原因が「既存事業が市場や顧客に受入れられなくなっている」ことによります。いわゆるビジネスモデルが崩壊している状態です。
これを立ち直らせるのは簡単ではありません。先に示した経営改善で行うような施策では解決できないことがほとんどです。
外部の環境、自社の強みを再度見直して、抜本的なビジネスモデルの変革、市場・顧客に受入れられ、収益性を高めることが必要になります。
事業再生は誰に相談するのか?
『経営改善』や『事業再生』が必要になったときは誰に相談しますか?
●税理士ですか?
税理士は税務申告や節税のプロですが、経営に関して知識や経験を持った方は少ないです。
●弁護士ですか?
弁護士も経営に関する知識や経験が少ないため、経験が多い「倒産や破産」の方向に導く可能性が多いです。
●商工会議所などの無料相談を受けますか?
この場合の相談員は責任がないため、一般的なアドバイスしか期待できません。
●では誰に?
ネットや書籍などの情報で幾つかの機関を選定して、何人かの候補者と話をして、経営者(社長)自身の判断で決めるのが最も良いと思います。
『事業再生』は支援者(パートナー)なしで行うのは非常に危険です。
経営計画の策定支援
計画の策定で現状を正しく認識して前向きに経営改善に取り組みましょう
「経営計画」は目的により次に示すように分類されます。
当社の代表は、経済産業大臣から「経営革新等支援機関」として認定を受けています。
業績向上、事業再生に向けて、お客様の実状を把握して、最適な計画のお手伝いをさせて頂きます。
上記の他に、様々な「認定計画」があります。
当社は、企業の状況に応じて最適な「計画」を選定し、その策定を支援します。
主な「計画策定」について示します。
経営改善計画の策定支援
経営の行き詰まりで取引先の銀行から、経営改善計画の策定を要請された場合、「支援機関」としてその策定を責任持って支援させて頂きます。
当事務所では、中小企業大学校での「経営革新等支援認定機関」の認定のための講座を受講し、基礎的な知識だけでなく実務的な手法も習得しています。
計画策定だけでなく、実施段階も支援させて頂きます。
現在、認定支援機関として「約26,000者」が登録されていますが、その中で実際にこの業務を実施しているのは「1割」、さらに計画後の支援(モニタリング)まで確実に実施しているのはその中の「1割」との話もあります。
改善のためには、現状分析が重要です。
財務分析と事業分析の両面から課題を抽出して、最適な改善策を検討します。
また、2017年5月から「早期経営改善計画」の制度がスタートしています。
これは、金融支援(金融機関への返済額の変更、期間の延長・一時停止など)は必要ないが、金融支援に至らないように計画の見直し・策定を行うものです。
これにより、銀行とより密な対話を行うことができ、追加の融資がスムーズに実施されるなどの利点があります。
●経営革新計画の策定支援
新事業や新商品を展開するに当たり、その計画を都道府県知事の認定を受けることにより、資金調達や補助金の申請等にメリットがあります。
計画は策定したけど、実施ができていない企業が多く存在します。
当事務所では、この認定のための「計画策定」の支援だけでなく、認定後の実施(事業面だけでなく資金面も含めて)に関しても継続的に支援させて頂きます。
●経営力向上計画の策定支援
2016年7月に「中小企業経営強化法」が施行されました。
これは、これまで支援の対象でなかった「本業の生産性向上」に目を向けたものです。
国の政策として、「改善意欲のある中小企業は積極的に支援」していく方向にあります。
逆に言えば、向上心のない中小企業は淘汰されていくことを意味しています。
当事務所では、上記の各計画と同様に、「経営力向上計画」策定の支援、およびその後の実施段階の支援を行います。