「人手不足倒産」が急増、中小企業はどう生き残るのか - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

「人手不足倒産」が急増、中小企業はどう生き残るのか

人手不足は経営課題であり、採用だけでは解決しない

2025年度の「人手不足倒産」は441件となり、3年連続で過去最多を更新しました。建設業、運送業、介護・福祉などを中心に深刻化しており、「仕事はあるのに人がいないため受注できない」という状況が全国で発生しています。

帝国データバンクが公表しているレポートから「人手不足倒産推移」を示します。

帝国データバンクの調査によると、2026年4月時点で正社員の人手不足を感じている企業は50.6%と、4年連続で半数を超えています。特に情報サービス、運輸・倉庫、建設業などでは6割以上の企業が人手不足を感じています。これは一時的な景気変動によるものではなく、日本の人口構造の変化による長期的な課題です。

これまで企業経営における最大の課題は「売上の確保」でした。しかし現在は、「受注したくても対応する人材がいない」「退職者の補充ができない」という新しい経営課題に直面しています。

今後、中小企業が生き残るためには、人材採用だけに頼るのではなく、経営そのものを見直していく必要があります。

人手不足の根本原因とは

少子高齢化による生産年齢人口の減少

日本では15歳から64歳までの生産年齢人口が長期的に減少しています。

高度経済成長期を支えた団塊世代は既に引退期を迎え、今後は団塊ジュニア世代も高齢化していきます。一方で若年人口は減少し続けており、労働市場そのものが縮小しています。

つまり、「求人を出せば応募が来る」という時代は終わったのです。

今後10年、20年を考えると、人手不足はさらに深刻になる可能性があります。

求める人材と供給される人材のミスマッチ

人手不足は単純に人数が足りないだけではありません。

企業が必要としている人材と、求職者が希望する職種との間に大きなギャップがあります。

例えば、AIやDXの普及によりIT人材の需要は急増しています。しかし教育機関からの供給が追いついておらず、企業間での人材獲得競争が激しくなっています。

一方、建設業や運送業、介護業界では高齢化が進んでいるにもかかわらず、若年層の入職が少ない状況が続いています。

事務職を希望する人が建設作業員になることは容易ではありません。必要な知識や資格、適性が異なるためです。

このようなミスマッチも人手不足を加速させる要因となっています。

採用だけでは解決できない時代

人手不足対策というと、多くの企業は次のような対応を考えます。

・求人広告を増やす
・給与を上げる
・人材紹介会社を利用する
・採用担当者を増やす

もちろんこれらも重要です。

しかし、中小企業が大企業と同じ土俵で賃金競争を続けることには限界があります。

また、採用できたとしても教育期間が必要です。さらに離職されれば、再び採用活動を行わなければなりません。

これからの時代は、「人を増やして売上を増やす経営」から、「少ない人数でも利益が出る経営」への転換が求められています。

中小企業が今取り組むべき6つの対策

(1)事業構造の見直し

まず取り組むべきは、自社の事業構造の見直しです。

現在行っている事業が本当に市場ニーズに合っているのか、利益を生み出しているのかを検証する必要があります。

人手不足の時代には、限られた人材を最も利益の出る分野に集中させることが重要です。

「昔からやっているから続けている事業」があれば、一度見直してみるべきでしょう。

(2)不採算事業・不採算商品の整理

人材が不足する時代には、「何をやるか」よりも「何をやめるか」が重要になります。

売上はあるものの利益が出ていない事業や商品に人員を投入し続ければ、会社全体の生産性は低下します。

不採算事業の撤退や縮小は勇気のいる決断ですが、人材不足時代の経営では避けて通れません。

経営資源を利益の出る事業へ集中させることが必要です。

(3)DX・AIの導入による効率化

人手不足対策として最も効果的な手段の一つがDXやAIの活用です。

例えば、

・見積書や請求書作成の自動化
・会計処理の効率化
・顧客管理システムの導入
・営業活動のデジタル化
・AIによる文書作成や情報整理

などがあります。

特に生成AIの普及により、これまで人が行っていた事務作業の多くを効率化できるようになりました。

人を増やす前に、現在の業務を効率化できないかを検討することが重要です。

(4)従業員の能力向上と定着

採用以上に重要なのが離職防止です。

せっかく採用した人材が短期間で退職してしまえば、採用コストも教育コストも無駄になります。

そのためには、

・適正な評価制度
・教育制度の整備
・キャリア形成支援
・働きやすい職場環境

が必要です。

また近年注目されているのが「リスキリング」です。

リスキリングとは、企業が必要とする新しいスキルを従業員に学び直してもらう取り組みです。

AIやDXが進展する中、従業員の能力向上は企業の競争力向上にも直結します。

(5)資金繰り管理の徹底

人手不足は収益だけでなく資金繰りにも大きな影響を与えます。

人件費の上昇や採用コストの増加により、利益が圧迫されるケースも少なくありません。

また、人員不足による受注機会の損失も発生します。

そのため、

・月次試算表の確認
・資金繰り表の作成
・借入金返済計画の見直し
・金融機関との定期的な情報共有

を徹底する必要があります。

経営危機は利益の減少よりも先に資金不足として表面化することが多いためです。

(6)外国人材の活用を検討する

今後の人材戦略として、外国人材の活用は重要な選択肢となります。

建設業、製造業、介護、宿泊業、外食産業などでは、既に外国人材が重要な戦力となっています。

また、高度外国人材の活用も有効です。

例えば、

・ITエンジニア
・技術者
・海外営業担当
・貿易業務担当
・研究開発人材

などです。

特に海外展開を目指す企業にとっては、人材確保だけでなく販路拡大にもつながる可能性があります。

ただし、単なる労働力不足の補充として考えるのではなく、日本語教育や定着支援を含めた長期的な人材戦略として取り組むことが重要です。

まとめ

人手不足は今後も続きます。

人口減少という構造的な問題であり、景気回復だけで解決するものではありません。

これからの中小企業経営に求められるのは、「人を増やす経営」ではなく、少ない人数でも利益を出せる経営です。

事業構造の見直し、不採算事業の整理、DX・AIの活用、人材育成、外国人材の活用を組み合わせることで、人手不足時代に対応した強い企業へと変わることができます。

人手不足を理由に成長を諦めるのではなく、人手不足時代に適応した経営体制を構築できる企業こそが、これからの時代を生き残る企業になるのです。

「人手不足は採用の問題ではなく経営の問題です。当社では事業構造の見直し、DX導入支援、外国人材活用支援、事業再生支援を通じて、中小企業の持続的成長を支援しています。」

 

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