事業再生コンサル(1)今、求められている理由 - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

事業再生コンサル(1)今、求められている理由

~倒産を防ぐだけではない、新しい事業再生の役割~

近年、「物価高」「人手不足」「人件費の上昇」「金利の上昇」など、中小企業を取り巻く経営環境は急速に厳しさを増しています。

帝国データバンクや東京商工リサーチが公表する倒産件数を見ても、企業倒産は増加傾向にあり、「黒字であっても資金繰りが続かず倒産する企業」や、「後継者不足から廃業を選択する企業」も少なくありません。

このような状況の中で、企業が求める支援も大きく変わり始めています。

これまでのように、税務・法務・補助金など個別の専門知識だけでは対応できない経営課題が増え、「会社をどう立て直すか」「どう事業を継続するか」「どう円滑に次世代へ引き継ぐか」といった、経営全体を見据えた支援が必要になっています。

その中心となるのが、「事業再生コンサルタント」です。

このシリーズ掲載の目的

私はこれまで、経営改善・事業再生・M&A・廃業支援など、多くの企業の「出口戦略」に携わってきました。

その中で強く感じていることがあります。

それは、「事業再生」と聞くと、多くの方が「資金繰りの改善」「銀行との交渉」「赤字会社の立て直し」といったイメージを持たれる一方で、実際の現場では、それだけでは決して解決できないということです。

事業再生とは、会社のお金を立て直す仕事ではありません。

会社そのものを立て直す仕事です。

そのためには、財務・会計だけでなく、営業、人事、組織、マーケティング、DX、人材育成、金融機関対応など、幅広い知識と経験が求められます。

さらに、経営者の悩みに寄り添い、ともに将来を考える姿勢も欠かせません。

今回のシリーズでは、「事業再生コンサルタントとはどのような専門職なのか」「どのような能力が求められるのか」を、実際の支援現場での経験も交えながら、全5回にわたりご紹介します。

事業再生を目指す専門家だけでなく、税理士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士など、中小企業支援に携わるすべての士業・コンサルタントの皆様に参考となれば幸いです。

「事業再生」は倒産企業だけのものではない

「事業再生」という言葉を聞くと、「経営が破綻寸前の会社を立て直す仕事」と思われる方が少なくありません。

もちろん、そのようなケースもあります。

しかし、現在の事業再生は、それだけではありません。

例えば、

  • 利益は出ているが資金繰りが苦しい会社
  • 売上は伸びているが利益が残らない会社
  • 人手不足で成長できない会社
  • 後継者問題を抱える会社
  • 新しい市場への転換を迫られている会社

こうした企業も、広い意味では事業再生の対象になります。

つまり、「会社が苦しくなってから支援する」のではなく、「会社が苦しくならないように経営を改善する」ことも、重要な事業再生なのです。

近年では、「経営改善」という言葉よりも、「企業価値の向上」という考え方が重視されるようになってきました。

企業の未来をつくる支援こそ、これからの事業再生の役割と言えるでしょう。

本当に再生すべきものは「会社」ではなく「経営」

事業再生の相談では、多くの経営者が「資金繰りが厳しい」「銀行への返済が難しい」と話されます。

しかし、実際に詳しく話を伺うと、その原因は資金繰りではありません。

・売上構成の変化
・利益率の低下
・採算の悪い事業
・人材不足
・営業力の低下
・価格転嫁ができない体質
・設備の老朽化
・組織の問題

これらが複雑に絡み合った結果として、資金繰りが悪化しています。

つまり、資金繰りは「結果」であって、「原因」ではありません。

そのため、銀行から返済を猶予してもらうだけでは、本当の意味での再生にはつながりません。

経営そのものを改善しなければ、数年後には再び同じ問題に直面することになります。

事業再生コンサルタントは、資金繰りだけを見るのではなく、会社全体を診断し、根本原因を見つけ出し、経営の仕組みそのものを改善することが求められるのです。

今後さらに必要となる「出口戦略」の視点

私は近年、「出口戦略コンサルティング」という考え方を大切にしています。

事業再生というと、「会社を存続させること」が目的と思われがちですが、それだけが正解ではありません。

企業によっては、

  • M&Aによる事業承継
  • 第二会社方式
  • 一部事業の売却
  • 自主廃業
  • 事業の縮小

などが、経営者や従業員にとって最善の選択となる場合もあります。

重要なのは、「会社を残すこと」ではなく、「経営者・従業員・取引先にとって最も良い未来を選択すること」です。

その意味でも、これからの事業再生コンサルタントには、「再建」だけでなく、「出口」まで見据えた提案力が求められる時代になっています。

これからの事業再生コンサルタントに期待されること

事業再生は、一人の専門家だけで完結する仕事ではありません。

税理士、弁護士、社会保険労務士、行政書士、中小企業診断士、金融機関、M&Aアドバイザーなど、多くの専門家が連携しながら企業を支えることが不可欠です。

そして、その中心で経営者と向き合い、全体をまとめる役割を担うのが、事業再生コンサルタントです。

専門知識だけではなく、経営者との信頼関係を築く力、関係者との調整力、将来を描く構想力など、多面的な能力が求められます。

だからこそ、事業再生は「総合力」が問われる仕事であり、中小企業支援の中でも最もやりがいのある分野の一つだと私は考えています。

次回予告

次回は、「事業再生は財務だけでは成功しない ― 本当に必要なのは経営全体を見る力 ―」をテーマに、財務分析だけでは企業は再生できない理由と、事業再生コンサルタントに求められる幅広い視点について解説します。

企業の未来を支えるためには、どのような「経営を見る目」が必要なのか。実際の支援現場での考え方も交えながら、ご紹介したいと思います。

お知らせ

当社、(株)事業パートナー九州では、いっしょに事業再生等に取り組んで頂く、各士業の方々、経営コンサルタントを集めています。「事業再生の連携」にご興味がある方はご連絡ください。

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