【特集10】預金と借金の適正額・自宅の守り方 - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

【特集10】預金と借金の適正額・自宅の守り方

当社((株)事業パートナー九州)が連携しています、数多くの事業再生を成功している(株)事業パートナーの記事を3回シリーズで紹介します。

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今回のシリーズでは、借入金・預金の考え方借金の返済方法担保が付いた自宅の守り方について紹介します。

経営者の悩みは尽きません

時には順風満帆で「こんなに儲かっていいのか?」と思う時があれば、「こんなに苦しんでまで経営をする必要があるのか?」と思う時もあります。

そして、後から振り返ってみると、結局は「幸福と不幸は縄の表と裏のように順番に訪れるもの」なんだなぁと気が付きます。

つまり、会社の経営が良い時は「やがて訪れる悪い時のために備えよ!」。悪い時には「いつまでも悪い状態が続くものではないので、気持ちを腐らせずに頑張れ!ということです。

経営をやっていると「結果として出た数字をどう判断して良いのか分からない」、また、「銀行に借りたお金を返せなくなった時はどうすれば良いのか分からない」など、自分の直接の仕事ではないで、分からないことが多く発生します。

なぜ、経営者なのに分からないことが沢山あるのでしょうか?

それは、経営者が「そんな勉強はしていない!」ということです。「金属加工の技術」「飲食のメニュー開発」「仕入商品の目利き」など実務に関する知識・経験はありプロですが、「経営」に関しては勉強したことがなく、全くの素人の方が多いのが現状です。

今回は、そんな中で、身近な「お金」と「銀行と法律」のことを当社で考えていることを紹介します。

 

今回からの3回にわたって

1.借入金、預金はいくらが適正なのか?

2.返せない借金はどうしたら良いのか?

3.担保が付いている自宅はどうなってしまうのか?

について紹介します。

 

(1回目) 借入金、預金はいくらが適正なのか?

 

“借入金”の限度額ってあるのか?

一概には言えませんが「年間売上額の半分位」、できれば「4分の1位」ならば心配ないといえます。しかし、当社に相談に来られる方の中には年間売上以上の人もいます。

ただ、そういう会社は倒産するのかと言うとそんなことはありません。その後の改善次第では立派に回復しいます。

いくら借入金が多くても、毎月の現金入金の範囲内で出金が抑えられていれば、資金繰りは回り、倒産することはありません

そのためには、銀行への返済額を支払える範囲内に留める交渉は必要となりますが、これは銀行へ返済する元金の部分であり。その他に利息があります。借入額が多くなるとその分、支払う利息も多くなります。

金利を下げることができれば利息も少なくなります。

例えば、金利2%を1%にできれば利息額は半分になります。

元金を減らすには借入金を返済するしかありません。その方法は財産を売って返すか、会社の利益を多くして返すかの2つしかありません。

理屈では分かっていても、なかなか上手くいかないから皆さん、苦しんでいます。

どうにか努力して借入金の額は年間売上の4分の1を超えないというのが理想です。

 

預金はいくらあれば良いのか?

預金が多くあれば良いというものではありません。

それは、資金の運用の仕方(使い方)が下手だということになります。

つまり、少なければ資金繰りが回らず、多過ぎれば経営力がないということです。

でも、“いくらが適正なのか?”それは、“正味の運転資金+α”です。理想の運転資金とは、毎月の経費の中の「固定費の6ヶ月分」です。

例えば、運送業では、製造業のように製造原価というものがないので、ドライバーや傭車を原価としなければ、固定費とは販売管理費の8割程度であす。

しかし、現実には多くの中小企業の現・預金残額は固定費の1.5ヶ月分程度である。だから、毎月、資金繰りに苦しんでいます。

せめて固定費の3ヶ月分あれば、経営的には安定するはずですが、そのためには利益を上げなければなりません

≪今回のポイント≫

借入は年間総額の半分位、預金は固定費の3ヶ月分あれば、経営は安定する!

 

今回の「新型コロナウィルス拡散拡大」の影響により、「インバウンド・国内旅行の壊滅によるホテル・旅館・運輸業・関係する小売業」、「営業自粛による飲食店・イベントに関する業種、スポーツジム、購買意欲の低下による自動車・家電などの販売不振」そして、今後、これらの影響は、製造業や建設業にも及んでいきます。

これに耐えられるところは、「資金(現金・預金)を豊富に持っている」ところです。今回は、あらゆる資金調達手段を駆使して乗り切ることが第一優先ですが、その後の経営では、早期に「固定費の半年分」(今回の件で3ヶ月分では危ういと感じています)は蓄えられる「経営計画を策定して実施すること」が必要です。そのためには、ビジネスモデルの変革を徹底的に検討することがスタートになります。

 

(2回目)返せない借金はどうしたら良いのか?

リスケジュールの交渉

銀行から借入れをする時には「金銭消費貸借契約書」というものを取り交わします。

世の中には種々な契約書がありますが、全ての契約が約束通り守られるかと言うと、そうではありません。つまり、契約書とは約束が守られない場合があるという前提で作られているのです。

会社の資金繰りが苦しくなって銀行へ約束通り返済できなくなったら、無理して返済するのではなく銀行に相談して「待ってもらう」ことを依頼します

銀行へ返済する前に支払う所があるはずです。社長の給料、従業員の給料、仕入代金、税金、家賃などです。

例えば、毎月50万円の元金返済をしているとしたら、極端な話、それをゼロにすることも十分可能です。

それを「リスケジュール」、一般的には「リスケ」と言っています。

中小企業の10社に1社位は、このリスケを行っています。国も中小企業支援のために、このリスケを認めています。

現在では3ヶ年位のリスケは常識となっています。リスケが終わって収益が改善されれば、元の返済額に戻せば良いのです。

代位弁済の活用

しかし、リスケをしても利息は支払わなければなりません。その利息も支払えないという状態であれば、思い切って元金も利息も止めて、銀行への返済全額を保証協会に立て替えてもらうという方法もあります。これを「代位弁済」と言います。

保証協会に代位弁済してもらった後は、銀行の約定返済額と違って、保証協会にその時に返済できる金額だけ支払えば良いというのがルールです。

これは、保証協会は中小企業を支援するための国の機関だからです。ただ、代位弁済をすると原則的には、その後、銀行からの借入れは困難になります。加えて、保証協会付き融資ではない“プロパー融資”の場合、代位弁済というものはありません。

代位弁済をすると一気に資金繰りは楽になります。種々な支払いを止めるのであれば、代位弁済を選ぶ方が賢明な場合が多くあります。

また、保証協会の保証率が100%でない保証の場合は、銀行への残金が少しは残りますが、大きな影響はないはずです。

 

≪今回のポイント≫

銀行借入れが返せないときは、国も認めるリスケや代位弁済をすることを考える!

 

(3回目)担保が付いている自宅はどうなるか?

会社の資金を銀行から借りるために自宅を担保に入れるということは良くあることですが、理解不足の方が多いので一度ここで整理しておきます。

先ずは、“担保に入れる”ということは、借りたお金が返せなくなった時は担保に入れた物は“あなたに差し上げる”ということです。

つまり、担保に入れた不動産等はそのまま使用することはできるが、完全に自分の物かと言うとそうではありません。

実際、経営不振、または住宅ローン等で約束通り返せない時に、不動産を売却させられる” “競売に掛けられる”という悲劇が沢山起こっています。その様なことにならないためにも、正しい知識が必要です。

自宅が売却または競売に掛けられると、当然ですがその家から出て行かなければならなくなります。これでは、家族は途方に暮れてしまいます。

その様なことにならないためには、銀行に相談して“いくら支払えば担保を外してもらえるか?”を確認し、その金額を銀行に支払って担保を外してもらうことができます。そのお金は事前に1年~2年を掛けて会社と個人で用意する必要があります。

ただ、お金を全額用意できない場合は、親戚や知人等、保証人になっていない信頼のおける人に住宅ローン等で不足分を用意してもらうことになります。

この場合は、第三者の名前で住み続けることになります。この方法はセール&リースバック”と言って世間では広く一般的に用いられています。

経営者にとって従業員を守ることは重要ですが、それより重要なことは“自分の家族を守る”ということです。経営者が自分の家族を守れないのに他人の家族など守ることはできません。

担保には“普通抵当”と“根抵当”という2通りの抵当があります。絶対に失ってはならない自宅などは“普通抵当”にするのが、常識中の常識です。

色々とお伝えしましたが、中小企業にとっては「経営は上手く行かないのが当り前」と考えて、日々、精進が必要です。大切なことは、経営は「成功しなくても良いから、失敗しないこと」です。

≪今回のポイント≫

自宅が競売にかけられる時には、事前に資金を用意するか、リースバックを考慮する!

 

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