価格決定力を上げる - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

価格決定力を上げる

昨年(2022年)から、ロシアのウクライナ侵攻、円安などにより、物価高騰が続いています。今回の物価高騰は、「原材料・資材費」「人件費」「光熱費」が同時に上がっていくこれまでにない現象です。

その中で、中小企業は、生産性の向上や経費の節減でコストを下げる努力をしていますが、販売の価格を上げないと適正な利益を確保することができない状態になっていると思います。

 

必要な利益から販売価格を決める

コロナ融資(公的金融機関の特別融資、民間金融機関のゼロゼロ融資)の元金の返済が始まっている企業も多くあると思います。この返済は税金を払って残る利益から捻出する必要があります。利益がないと返済はできません

そのため、次の手順で販売価格を決めていきます(損益計算書の下から検討する)。

(1)返済額や設備投資等に必要な利益を算出する

(2)必要な固定費(人件費、家賃、光熱費など)を上乗せする(粗利益の算出)

(3)粗利益率を設定し、必要な売上高を算出する

(4)必要な売上高を実現する「単価×数量」を設定する

これで算出した「必要単価」は「現実の販売単価」とずれる場合がほとんどと思います。

この場合、当然、次の見直しを行うことになります。

・販売数量の検討:ターゲット顧客

・粗利益率の検討:仕入れ額の検討、製造費用の検討

・固定費(販売管理費の検討)

上記の検討(最適化)を行った後に、「販売価格(単価)」の検討を行います。

上記の物価高騰の中では「販売価格」を上げるしか方策はない場合がほとんどと思います。

 

価格を上げるためには

環境が変わってきている

大企業等の中には、購入の姿勢が変わってきているところもあります。

以前は取引きの際に重視する項目は圧倒的に価格でしたが、今は供給力の確保が至上命題になっていて納期が最優先になっているところもあります。

この場合、「値上げ」に関しては交渉の可能性があります。

減収でも利益を確保

どんぶり勘定の経営では利益を確保することは難しく、利益を確保するには「緻密な管理」と「顧客との交渉」が必要です。

商品別、顧客別あるいは取引き毎の原価を明確にして、価格設定の戦略を設定し、その戦略をベースに顧客ごとに交渉を行います。根拠のある価格設定であれば、相手との話し合いの場を持つことができます。何も根拠がないと相手の言いなりになる可能性があります。

原価管理ができていれば、赤字の仕事を排除し、減収でも利益を確保することができます。

変動費のスライド制

上記のように原価管理ができていれば、原材料費、外注費やエネルギー費などの変動費を明確にすることができ、これを相手に示すことにより、価格交渉を行うことが可能になります。

理想は、「変動費のスライド制」の契約を行い、コストが上がるたびに価格交渉をしなくてすむようになることです。

価格帯を引き上げる

これは「高級ホテル・旅館」や「飲食店(料亭、レストラン)」に当てはまる場合がありますが、価格帯を引き上げることにより、顧客の層を変える戦略です。インバウンドに対しても効果が期待できます。

高付加価値商品(製品・サービス)に

上記の価格帯を引き上げるには、お客様に対して「高付加価値」商品(製品・サービス)を供給する必要があります。

この高付加価値商品(製品・サービス)を持つことにより、競合先との差別化ができ、お客様との価格交渉でも優位に立つことが可能になります。

当社が関係している企業では、「短納期対応」を強みにして、お客様の信頼を得て、適切な利益を確保できる取引きを行っています。

市場・顧客を変える

同じ事業内容でも「市場・顧客」を変えることにより、価格を上げることが可能な場合もあります。

例えば、

・(極端の例ですが)運送業で「砂利運搬」を「精密機器運搬」に変える

・金属加工を「工場のメンテナンス部材」から「医療機器・半導体製造機器・航空機用機器・宇宙衛星用機器など」、高単価の加工に変更する。

上記を実現するのは簡単ではありませんが、将来の自社の姿を設定して、段階的に取り組んで行くことにより、可能性はあると思います。

実現するための努力を続ける

稲盛和夫先生のお言葉

「高い目標であっても未来のある一点で達成する」と決めてそれを実現するための努力を続けていく。

「絶対に達成できる」という信念こそが人間を目標に向かわせる最大のパワーになる。

将来の姿を描いて考えて取り組む

上記の稲盛先生のお言葉のように、現状に満足せず、高い目標(ビジネスモデル・数値目標)を設定して、その実現に努力することが重要です。

価格交渉の参考として

価格交渉については、以前に投稿した次の記事も参考にして下さい。2022年3月に公表されました「価格交渉ハンドブック」の情報も示しています。

価格交渉の参考記事はこちら

 

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