「デフレ完全脱却」新しい年への希望
デフレ完全脱却のための総合経済対策
2023年11月に政府から「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が公表されています(11月2日閣議決定)。
この施策のポイントを紹介します。
日本社会が悪循環に陥った要因
「失われた30年」というバブル崩壊以降の経済の停滞が問題になり、その脱却に関して各種の施策が行われてきましたが、改善が目に見えていない状況で、日本の国際的な地位の低下も問題になっています。
政府は、この要因として、低物価・低賃金・低成長に象徴される「コストカット型経済」を優先し続けてきた結果だと指摘しています。
これらも要因と思いますが、個人的には、「政治」「教育」に代表される国(政府)の施策、大手企業の取組等に問題があると思いますが・・・、ここでは、公表されている施策について報告します。
政府は、現在の状況を「高水準の賃上げ」や「企業の高い投資意欲」など、30年ぶりの変革を果たすまたとないチャンスと捉えている(??ですが・・・)ようです。このチャンスを逃さないために強い施策を実行するとしています。
政府の方針・施策に自社を結びつける
政府の方針・施策に関しては、「海の向こうの遠い話」と思われる方が多いと思います。日頃の仕事に追われ、関心がないかとも思います。
しかし、政府の方針・施策に関しては予算が付き、(成果は別にして)その内容はほとんど実行されていきます。
企業の中には、政府の方針・施策をウォッチングして、ビジネスチャンスを窺っているところもあります。「補助金・助成金」は、知らないと使えないので、知っている者だけが「利」を得ます。
特に近年は、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)、AI(人工知能)などの分野には、補助金だけでなく、大きなビジネスチャンスが潜んでいると思います。
さらに、現在の課題である、
・原材料・資材費などの高騰(物価高騰)
・人手不足、人件費の高騰
・後継者不足による廃業の増加
・資金繰り不安
などについても様々な施策が提示されています。
自社を知る・的確な情報を得る
政府の方針・施策が示されても、自社に適用できるかが簡単には判断できないと思います。
まずは、「自社のドメイン:何をする会社なのか」と「自社の強み・弱み」を明確化することです。これがわかると、政府の方針・施策との関連を検討することができます。
「自社の強み」が明確であると、政府の方針・施策の中で関連するものを抽出して、既存事業の強化や新事業のビジネスモデルを考えることができます。
また、「自社の弱み」が明確で、今後の発展に改善が必要であれば、
・自社の能力を上げる策を実行する
・外部から不足分を導入する(M&Aや連携)
などを検討し、計画的にレベル・スケールアップを行うことができます。
更に、政府の方針・施策(外部環境)と自社の状況(内部要因)を総合的に考えて、施策を立案し、計画に落とし込むことで、中期の経営(事業)計画を策定することができます。
経営計画の策定については当社にご相談下さい。
中小企業は変われる
中小企業の良いところは、大企業に比べて色々な面で規制やしがらみが少ないので、全体の方針変更も比較的容易に行うことができます。政府の方針・施策を理解して、自社があまりにもかけ離れている場合、ベクトルの向きを変えることも必要かと思います。
総合経済対策:5つの柱の設定
熱量あふれる「新たなステージ」へスタートダッシュするために次の「5つの柱」を設定しています。
ここでは、各柱のキーワードを紹介します。詳細については、内閣府等の公表資料をご覧下さい。
興味があるところがありましたら、当社にご連絡下さい。一緒に検討しましょう。
第1の柱:物価高から国民を守る
第2の柱:持続的な賃上げと所得向上
第3の柱:供給力強化・投資促進
第4の柱:人口減少を乗り越え変化を力に
第5の柱:安全・安心の確保
第1の柱:物価高から国民を守る
1 物価高により厳しい状況にある生活者・事業者への支援
・所得税・個人住民税の定額減税
・低所得世帯への支援
・燃料油、電気・ガスの激変緩和措置
・食品ロス削減、フードバンク・こども食堂支援 など
2 エネルギーコスト上昇に対する経済社会の体制の強化
・企業や家庭における省エネの更なる促進
・再エネ支援(自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入など)
・原子力の活用
第2の柱:持続的な賃上げと所得向上
1 中堅・中小企業の賃上げ継続の支援
(1)中堅・中小企業の賃上げの環境整備
・賃上げ促進のための繰越控除制度創設
・最低賃金の引上げ ※2030年代半ばまでに「1,500円」
・資金繰りの支援 など
(2)人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援
・中小企業の省力化投資支援等
・医療・介護・障害福祉分野の人材確保
・事業承継税制の計画提出期限の延長 など
(3)「年収の壁」への対応を含めた所得向上の取組み
・年収の壁・支援強化パッケージ
・家事サービスの利用環境整備
・非正規雇用者の精器か支援
2 構造的賃上げに向けた三位一体の労働市場改革
(1)三位一体の労働市場改革の推進
・リ・スキリング(教育訓練給付、企業・大学の共同講座等)
・職務給の導入(ジョブ型雇用)
・成長分野への労働移動円滑化
(2)多様な働き方の推進
・同一労働・同一賃金の徹底
3 経済の回復基調の地方への波及
(1)円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化
(2)地方活性化
(3)大阪・関西万博の推進
第3の柱:供給力強化・投資促進
1 生産性向上・供給力強化、そのための国内投資の拡大
(1)科学技術の振興及びイノベーションの促進
(2)フロンティアの開拓
(3)GX・DXの推進及びAIの開発力強化
(4)経済安全保障の確立
(5)教育DXフロンティア戦略の推進
(6)対日直接投資の促進
2 スタートアップ等の支援
・ストックオプション税制の充実
・グローバル・スタートアップ・キャンパス構想
第4の柱:人口減少を乗り越え変化を力に
1 デジタルによる地方の活性化
・デジタル田園都市国家構想交付金
2 デジタル行財政改革
(1)主な改革への取組み
・教育:デジタルコンテンツ活用促進 など
・交通:自動運転、ドローンの活用 など
・介護:ICT技術、ロボット等の活用 など
・子育て:保育DX、児童福祉相談業務のDX など
・防災:防災DX推進(データ連携整備等) など
・インバウンド・観光:規制や手続きの総点検 など
・スタートアップの成長促進:参入機会の拡大 など
(2)国・地方のデジタル基盤の統一化・共通化
・地方公共団体の情報システムの標準化
・マイナンバーの活用
3 公的セクター等の改革
・ウォーターPPP導入拡大の支援
4 DXの推進に関連するその他の取組み
・産業用データ連携基盤構築
・電子署名普及のための法整備 など
5 人手不足等に対する対応
・物流:「物流革新緊急パッケージ」の推進 など
・自動運転:自動運転車の事業化の加速 など
・建設・建築:監理技術者の配置柔軟化 など
・医療・介護:人員配置基準等の見直し など
・外国人材:特定技能の対象分野の追加検討 など
6 包摂社会の実現
(1)少子化対策の推進
(2)教育DXフロンティア戦略の推進
(3)女性活躍の推進
(4)高齢者活躍の推進及び認知症施策
(5)孤独・孤立、障害者など困難に直面する方々への支援
第5の柱:安全・安心の確保
1 自然災害からの復旧・復興の加速
・東日本大震災 など
2 防災・減災、国土強靭化の推進
・国土強靭化5ヶ年加速化対策推進 など
3 国民の安全・安心の確保
・コロナ禍対応、花粉症対応、不登校児童生徒支援 など
4 外交・安全保障環境の変化への対応
・グローバルサウナ等への支援・連携 など
・自衛隊の運用態勢の確保、サイバーセキュリティ など
・経済安全保障、食料安全保障 など
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