販売不振の原因と対策 ~倒産を防ぐために企業が今すべきこと~
はじめに
2024年度の倒産状況に関して、帝国データバンクが公表したレポートによれば、倒産の主因として「販売不振」が82%を占めています。この傾向は今年度に限ったものではなく、過去から継続している「構造的な問題」ともいえるでしょう。
帝国データバンクの公表資料から、コロナ禍発生からの倒産の推移(12ヶ月の移動平均)を示します。
コロナ禍の最初は、政府の支援策(ゼロゼロ融資等)により、倒産は減少していました。その支援策が終了したら、業績が回復しない企業は、ゼロゼロ融資の返済もあり倒産が増加しました。
倒産要因を次に示します。「販売不振が82%」を占めています。
しかし、「販売不振」とは一言で片づけられるような単純な現象ではありません。今回は、その要因を体系的に整理し、企業が取り組むべき具体的な対策についてご紹介します。
販売不振の主な原因と分類
「販売不振」の背後には、戦略面・実行面の両側に多様な課題が潜んでいます。ここでは、主な要因を2つの観点から整理してみます。
(1)ビジネスモデル(事業ドメイン)が市場に合っていない
・商品・サービスが時代のニーズとズレている
・顧客のライフスタイルの変化に対応できていない
・以前は成功していたモデルが、今の競争環境では通用しない
対 策
・外部環境の変化(市場トレンド・顧客ニーズ)の分析
・事業ドメインの再設定(「誰に・何を・どうやって」提供するかの見直し)
・商品やサービスのリニューアル、または新分野への展開
(2)競合に負けている(ビジネスモデルは合っているが、実行面で劣る)
要因の例:
・販売チャネルが限定的/時代遅れ
・顧客への訴求力が弱い(提案力やブランディング不足)
・コスト競争で劣勢
・デジタル施策(Web・SNSなど)の未活用
対 策
・販売方法の改革: オンライン販売、SNS活用、サブスクリプション導入など
・営業・広報力の強化: 顧客に伝わる提案づくり、接点の多様化(対面・WEB・LINEなど)
・コスト改善: 外注の見直し、生産性向上、人員配置の最適化
・競合との差別化: 「自社ならでは」の価値(品質、対応力、地域密着など)を明確化
参考:社長の専門学校の講座から
上記の内容を端的に示しているので紹介します。
<儲からない会社の5つの特徴!>
特徴1:下りのエスカレーターに乗り続けている
特徴2:単価の低い商品・サービスを売っている
特徴3:利益率の低い商品・サービスを売っている
特徴4:顧客に支配されている、顧客が遠い
特徴5:どこにでもあることをやっている
これからの企業に求められる視点
販売不振を「商品が売れない」とだけ捉えるのではなく、その背後にある戦略上のミスマッチや、実行力の差を冷静に分析することが必要です。
環境の変化に柔軟に対応し、自社の「稼ぐ力」を見直すタイミングに来ているともいえるでしょう。
当社の支援について
当社ではこれまで、数多くの事業再生支援に携わってきました。その中で得た経験を活かし、
・「販売不振」の根本原因の可視化
・実効性の高い対策の立案と、現場での実行支援
をワンストップでご提供しています。
「自社も危ういかもしれない」「今のうちに手を打ちたい」と感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に応じた具体的な改善アクションをご提案いたします。
おわりに
「販売不振」は、企業活動における最大のリスク要因の一つです。しかし、その原因を正しく捉え、計画的に対応すれば、業績回復は十分可能です。
今こそ、自社のビジネスモデルと販売力を見直し、持続可能な経営への一歩を踏み出しましょう。
(参考)話題になっている倒産の原因
帝国データバンクの公表資料に掲載されている直近に話題になっている倒産原因について示します。
4つの原因について2024年度の状況を示します。
この中で、前年に対して増加している「人手不足倒産」「物価高倒産」の状況について紹介します。
人手不足倒産の状況
物価高倒産の状況
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