「廃業」という選択肢 ~ 会社を守るだけが正解ではない ~
経営改善や事業再生の支援をしていると、「事業を継続すべきか、それとも廃業すべきか」という、経営者にとって極めて重い判断に直面する場面があります。
私たちコンサルタントの役割は、常に「事業を存続させること」だと思われがちですが、必ずしもそれだけが正解ではありません。状況によっては「廃業」という選択肢こそが、経営者や従業員、ご家族の人生を守るために最善の決断となることもあるのです。
「なんとか続けたい」という思いの裏側にあるリスク
多くの経営者は、簡単に廃業を口にすることはありません。「これまで積み上げてきた信用」「従業員の生活」「取引先との関係」など、様々な責任があるからです。また、自分の事業に対する強い想いがあるほど、「やめること」は「敗北」だと感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、現実には赤字が慢性化し、借入金が増え、資金繰りが限界に近づいているようなケースも少なくありません。そうした中で「もう少し頑張ってみよう」「何か打開策が見つかるかもしれない」と粘った結果、廃業のタイミングを逃してしまい、経営者個人が連帯保証による借金を抱えたり、従業員に給与を支払えず混乱を招いたりする例もあるのです。
廃業は「前向きな経営判断」
私たちは、「廃業」をネガティブな言葉として捉えがちですが、本来、廃業は「撤退戦略」であり、「経営の選択肢の一つ」です。
企業の成長や継続だけでなく、「撤退の仕方」までを含めて、経営の質が問われる時代になっています。とりわけ中小企業では、後継者不足や業界全体の縮小、市場の構造変化など、経営努力だけではどうにもならない要因も増えています。
こうした中で、「無理に続けるよりも、今ここで区切りをつけるほうが自分や従業員、家族にとって良い結果になる」と判断できる経営者は、むしろ責任ある選択をしていると言えるのではないでしょうか。
廃業という選択を考えるべきタイミング
では、どのような状況になったら「廃業」を視野に入れるべきなのでしょうか。
一つの目安として、以下のような兆候が挙げられます。
・数期にわたって赤字が続いている
・借入金の返済が困難になっている
・今後の収益改善の見込みが立たない
・後継者がいない、あるいは事業を継がせたくない
・経営者自身の健康や高齢化により事業継続が困難になっている
これらの項目が複数当てはまる場合には、早めに信頼できる専門家に相談し、「今ならどのような形で廃業できるか」「撤退にかかるコストや手続きはどうか」などを整理しておくことが重要です。
「撤退」から「再スタート」へ
廃業という言葉は一見、終わりを意味しているように見えます。しかし、実際には「経営者の人生」における一区切りに過ぎません。中には、廃業後に新たなビジネスを立ち上げたり、別の企業でその経験を生かしたりする方も少なくありません。
事業を続けることはもちろん尊い選択ですが、過度にこだわることで身動きが取れなくなってしまうこともあります。むしろ、潔く撤退することで、次の人生を健やかに歩み直すことができるケースも多いのです。
当社では、事業再生やM&Aだけでなく、「円滑な廃業支援」にも力を入れています。経営者の方が「誰にも相談できずに悩み続ける」ことがないよう、現実的な選択肢の一つとして廃業についても正面から向き合い、サポートしています。
もし今、事業の継続に悩んでおられる方がいらっしゃいましたら、一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。
「会社を守る」だけが経営のゴールではありません。
「自分自身と家族を守るための選択」も、また立派な経営判断なのです。
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事業再生を専門とする当社では、「再生」「承継」「売却」の可能性を探ったうえで、やむを得ず「廃業」という選択に至る中小企業の支援にも力を入れております。
特に税理士の先生方が顧問先の最も信頼できる相談相手であることを、私たちも日々実感しています。
当社の廃業支援の強みは、以下のとおりです:
・借入金返済への現実的な対応力
事業再生の現場で培ったノウハウを活かし、金融機関との調整やリスケ交渉にも精通しています。
・経営者の生活基盤を守る支援
自宅や保有財産を極力守る視点から、「引き際」の設計を行います。
・「廃業ありき」ではない柔軟な対応
状況に応じて、事業再生やM&Aによる売却の選択肢も併せてご提案可能です。
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法的整理が必要な場合も、速やかに対応できる体制を整えております。
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