コンサル案件の受注:キーパーソン
経営コンサルにとって、案件を受注することが最も重要です。
当然、対象会社の社長から共感を得て受注する必要があります。
会社によってまちまちですが、キーパーソンを通じて中小企業の社長を動かし、コンサル案件を受注する方法も有効です。
中小企業では、社長の判断がすべてを左右しますが、「社長の右腕」や「番頭」「奥様」「古参幹部」「若手のエース」など、社長が信頼している存在の影響力は無視できません。
以下に、「社長を動かす」ためのステップを整理してご提案します。
ステップ1:キーパーソンの特定
★社内の「影の実力者」や「社長が一目置く人物」を見極めます。
・経理・財務担当
・社長の秘書的存在
・長年の幹部(番頭格)
・息子・娘など後継者候補
・若手リーダー(社内でイノベーションを推進している人)
※中小企業では、社長夫人が会社の実権を握っているケースも少なくありません。
ステップ2:キーパーソンに対して刺さるアプローチを取る
◎「その人の困りごと」を解決する視点で話す
例)経理担当なら「資金繰りの見通しが立たない問題」、幹部なら「部下の離職が多い悩み」など
◎「このままだとまずい」という危機感を共有し、「外部の力(=コンサル)」の必要性を共感してもらう
◎コンサルを「社長を助けるパートナー」として紹介する
例)「この内容なら社長が気づかないリスクを補完できますよ」など
ステップ3:キーパーソン経由で社長に話を届ける
・直接社長に会う前に、「事前説明」「課題共有」「提案内容の下準備」をキーパーソンに任せる
・資料や提案書を「社長に見せてもらう」形で手渡しする
→社長にとっては「部下が自発的に動いている」という印象になり、受け入れやすくなります
・キーパーソンを同席させてプレゼンすることで「安心感」を高める
(社長一人だと警戒心が強くなることも多いため)
ステップ4:社長へのアプローチでは「守り」と「攻め」のバランスを取る
・守り:現状の「リスク」や「見えない損失」を見える化し、「このままだとマズイ」という共感から入る
・攻め:「今ならチャンス」「この施策で売上●%改善の可能性がある」といった前向きな未来を提示する
💡 キーワード:
「費用対効果」「わかりやすさ」「スピード感」「現場の手間が増えない」
最後に:コンサルを受け入れやすくする“仕掛け”を準備
・まずは「スポット支援」や「無料診断」など、入りやすいメニューを提示する
・現場で「小さな成果」を出して信頼を獲得し、徐々に提案を拡大する
・他社事例や成功パターンを用意して、「実績重視」の社長にも安心感を与える
キーパーソン別アプローチ例
【1】経理・財務担当(経理部長、会計担当、社長夫人など)
関心ごと: 資金繰り、借入金の返済、経費の無駄、補助金・助成金の活用
アプローチ例:
・「このままではキャッシュが尽きるリスクがある」など、数字に基づいた分析資料を提示
・「財務面の健全化は、経営の安定に直結します」
・「補助金や資金繰り改善を、社長に提案する材料にしてほしい」と協力を仰ぐ
・顧問税理士と連携して信頼感を高めるのも有効
【2】古参幹部・番頭格(取締役、部長など)
関心ごと: 社長の信頼、現場の安定、離職防止、業績維持
アプローチ例:
・「現場がこのままでは疲弊する」など、現場目線での改善提案
・「第三者として、幹部の立場を守りつつ社長の意思決定をサポートできる」
・「社長が聞く耳を持ちやすいように、下支えする形でご協力を」
・成果が見える資料(KPIグラフ、改善案)を一緒に検討する
【3】後継者(社長の子息・娘婿など)
関心ごと: 次世代の経営、組織改革、新事業、DX(デジタル化)
アプローチ例:
・「御社の将来ビジョンを支える事業戦略を一緒に考えたい」
・「世代交代のタイミングで、仕組みづくりや組織強化が必要です」
・「若手主導で提案し、社長の世代とうまく橋渡しする方法を一緒に」
・デジタルツール導入やクラウド化など、若手が関心を持つテーマで提案
【4】若手リーダー(30代~40代、課長・現場責任者)
関心ごと: 働き方改革、評価制度、組織の風通し、キャリアパス
アプローチ例:
・「御社の若手の意見を吸い上げて、組織の変革に役立てたい」
・「評価制度の見直しや、モチベーション向上のための施策を提案できます」
・「こうした制度改革を提案する場合、社長に伝える切り口をご一緒に考えます」
・ケーススタディや外部ベンチマークを提示し、説得材料を提供
🔸【5】社長夫人(専務・経理兼務・実質ナンバー2)
関心ごと: 会社の安定・家族の安全、無駄の削減、社長の健康、経営の継続性
アプローチ例:
・「社長のご負担を軽くするお手伝いができます」
・「奥様の視点から見た改善ポイントを反映したい」
・「信頼できる外部パートナーとして一緒に会社を支えます」
・顧問税理士・社労士などの連携先の信頼もセットで提示