廃業(2)廃業を考えたときに確認すべきポイント
廃業を検討し始めた段階で、最初に確認すべきは「お金」「人」「契約」「税務」「想い」の5つの視点です。これらを整理せずに進めると、後からトラブルが発生する可能性があります。本稿では、廃業を決断する前に最低限確認すべき5つの実務ポイントを、経営者の立場からわかりやすく解説します。冷静な現状把握と早めの整理こそ、円滑な幕引きの第一歩です。
廃業を考えたときに最初に確認すべき5つのポイント
廃業を検討し始めた経営者に共通するのは、「どこから手をつけてよいかわからない」という迷いです。長年続けてきた会社を終える決断は容易ではなく、感情的な側面もあります。しかし、まず最初にやるべきことは「現状を整理し、リスクを可視化すること」です。ここでは、廃業を考えた際に最初に確認すべき5つのポイントを紹介します。
(1) 資金の現状と債務の整理
廃業の最大の壁は「お金」です。銀行借入、リース契約、保証債務など、会社を畳む際にどのような支払い義務が残るのかを正確に把握する必要があります。
また、個人保証をしている場合には、廃業後も経営者個人が債務を負うケースがあります。そのため、金融機関との早めの相談や、保証協会を通じたリスケジュールも検討すべきです。
「まだ続けられる」と思って先延ばしにすると、資金が尽き、選択肢が狭まります。
(2) 従業員の処遇と再就職支援
廃業を決断する際、最も気になるのが従業員の今後です。
雇用契約の終了、未払い給与、退職金の支払いなどは、感情面も含め慎重に対応すべきポイントです。
ハローワークの「再就職支援制度」や自治体の雇用対策を活用すれば、従業員に新たな職を紹介できることもあります。誠意ある説明と早めの行動が信頼を守ります。
(3) 契約・許認可の確認
賃貸契約、リース、保険、取引契約、許認可などは、廃業時に一斉に整理する必要があります。
特に注意が必要なのは、解約時期です。
例えば賃貸契約では「3か月前通知」が条件のケースも多く、知らないうちに家賃が無駄に発生してしまうことがあります。
許認可の「廃止届」や「返納書」の提出漏れがないかの確認も重要です。
(4) 税務・社会保険の対応
廃業時には、税務署・県税事務所・年金事務所・労働基準監督署など、複数の機関への届出が必要です。
特に「青色申告の取り消し届」「消費税廃止届」などは、期限内に提出しなければペナルティが発生することもあります。
税理士や社労士と連携し、抜け漏れのないチェックリストを作成しておくと安心です。
(5) 経営者自身の想いと今後の方向性
最後に最も大切なのは、経営者自身の「気持ちの整理」です。
廃業は終わりではなく、新たな人生のスタートラインです。
「何を残したいか」「今後どう生きたいか」を明確にすることで、次の行動が見えてきます。
株式会社事業パートナー九州では、廃業前後の経営者の人生設計まで含めた相談を受けています。
これら5つのポイントを早期に整理しておくことで、廃業をスムーズに進め、関係者との信頼を保ちながら前向きな形で幕を下ろすことができます。
廃業を検討し始めた段階こそ、専門家に相談するベストタイミングです。
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