強い会社をつくる(3)財務体質を強くする経営 - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

強い会社をつくる(3)財務体質を強くする経営

~ 借入を恐れず、自己資本を育てる ~

前回は、「利益が残る会社のつくり方」をテーマに、売上を追い求めるだけではなく、利益率を高める経営の重要性についてご紹介しました。

(2)「利益が残る会社のつくり方」はこちら

(1)「資金繰りが会社の命を守る」はこちら

利益を確保できる会社になれば、次に重要になるのが、その利益をどのように蓄積し、会社の財務基盤を強くしていくかという視点です。

経営者の皆様とお話をしていると、「借入金はできるだけ少ない方がよい。」という考えをよく耳にします。

もちろん、必要以上の借入は避けるべきですが、「借入がある会社=危ない会社」という考え方は必ずしも正しくありません。

実際には、健全な借入を活用しながら自己資本を増やし、財務体質を強くしている企業は数多くあります。

今回は、「財務体質を強くする経営」をテーマに、貸借対照表(BS)の見方自己資本の重要性借入金との付き合い方、そして金融機関から信頼される会社の特徴について解説します。

 

経営者は損益計算書だけでなく貸借対照表を見る

多くの経営者は、毎月の試算表で売上や利益を確認しています。

これはもちろん重要ですが、それだけでは会社の本当の姿は見えてきません。

会社の健康状態を判断するには、貸借対照表(BS)を見ることが欠かせません。

損益計算書(PL)は、一定期間の経営成績を表す「成績表」です。

一方、貸借対照表(BS)は、決算日時点で会社がどれだけの資産を持ち、どれだけ借入や負債があり、どれだけ自己資本を蓄えているかを示す「財産の一覧表」です。

例えば、利益が出ていても、

  • 売掛金が増えすぎている
  • 在庫が過剰になっている
  • 借入金が増加している

という状態では、財務内容が悪化している可能性があります。

逆に、利益は大きくなくても自己資本が厚く、現預金を十分に確保している会社は、景気変動にも強い企業といえるでしょう。

「利益を見る経営」から「財務を見る経営」へ。これが強い会社づくりの第一歩です。

自己資本は会社の「体力」

自己資本とは、会社がこれまで積み上げてきた利益など、返済する必要のない資本のことです。

人に例えれば、「会社の体力」と言えるでしょう。

自己資本が厚い会社には、次のような特徴があります。

・景気悪化にも耐えられる
・設備投資や新規事業に挑戦しやすい
・金融機関からの信用が高い
・資金繰りに余裕がある

一方、自己資本が少ない会社では、少し売上が落ちただけで資金繰りが苦しくなり、金融機関への依存度も高くなります。

自己資本は、一朝一夕に増えるものではありません。毎年利益を積み重ね、配当や役員報酬とのバランスを考えながら、長期的な視点で育てていくものです。

経営者には、「今年の利益」だけではなく、「10年後の自己資本」を意識した経営が求められます。

借入金は悪者ではない

借入金に対して、マイナスのイメージを持つ経営者は少なくありません。

しかし、企業経営において借入金は「悪」ではありません。

重要なのは、「何のために借りるのか」です。

例えば、

・生産性向上のための設備投資
・成長市場への新規事業
・運転資金の確保

など、将来の利益につながる借入は、会社の成長を後押しします。

一方で、

・赤字補填を繰り返す借入
・返済計画のない資金調達
・生活費を補うような借入

は、財務体質を悪化させる要因となります。

借入金は、「返済できるかどうか」だけでなく、「借りた資金が利益を生み出すかどうか」で判断することが重要です。

適切な借入を活用し、利益を生み、その利益で自己資本を増やす。これが健全な財務体質を築く好循環です。

銀行はどこを見ているのか

「銀行は担保だけを見て融資をしている。」

そう考えている経営者もいますが、現在の金融機関は、それだけで融資判断をしているわけではありません。

銀行が重視するのは、

・返済能力
・将来性
・経営者の姿勢

です。

具体的には、

・利益が安定しているか
・自己資本が増えているか
・資金繰りが把握されているか
・試算表がタイムリーに作成されているか
・経営計画があるか

などを総合的に評価しています。

特に中小企業では、「数字を説明できる経営者」であることが大きな信頼につながります。

決算書の内容を理解し、自社の課題や今後の方向性を自ら説明できる経営者は、金融機関から高く評価されます。

実態BSを把握することが経営改善の出発点

当社では、経営改善や事業再生の支援を行う際、まず「実態貸借対照表(実態BS)」を作成します。

帳簿上は資産として計上されていても、

・回収が困難な売掛金
・長期間動いていない在庫
・実質的な価値がない資産

などは、実態に合わせて評価を見直します。

すると、会社の本当の財務状況が見えてきます。

経営改善は、現実を正しく知ることから始まります。

良い数字だけを見るのではなく、課題を正確に把握し、それを改善していく姿勢が大切です。

財務体質の強化は未来への投資

財務体質を強くすることは、単に銀行から評価されるためではありません。

財務基盤が安定すれば、

・新しい設備へ投資できる
・優秀な人材を採用できる
・新商品や新サービスに挑戦できる
・不況時にも慌てず対応できる

など、会社の可能性が大きく広がります。

経営とは、未来への投資を続けることです。その土台となるのが、健全な財務体質なのです。

まとめ

強い会社は、利益だけを追いかける会社ではありません。

利益を積み重ね、その利益を自己資本として蓄積し、健全な借入を活用しながら財務基盤を強化している会社です。

貸借対照表は、会社の現在地を示す地図です。この地図を正しく読み取り、自社の財務状況を把握することが、持続的な成長への第一歩になります。

借入を恐れるのではなく、上手に活用する。

利益を使い切るのではなく、自己資本として積み上げる。

その積み重ねが、景気変動にも負けない「強い会社」をつくるのです。

 ~事業パートナー九州からのご提案~

会社が強くなれば、事業再生は不要になります。

私たち株式会社事業パートナー九州は、経営改善や事業再生の支援だけではなく、「そもそも経営危機に陥らない会社づくり」を目指したご支援を行っています。

財務体質の強化は、単に借入金を減らすことではありません。貸借対照表を正しく読み解き、自社の実態を把握し、利益を自己資本として積み上げながら、将来の成長に必要な投資を行うことが重要です。

当社では、実態BSの作成財務分析経営改善計画の策定金融機関との交渉支援などを通じて、企業の持続的な成長をサポートしています。

「銀行に融資してもらえる会社」を目指すのではなく、「銀行からぜひ支援したいと思われる会社」を目指すことが、強い会社づくりにつながります。

次回は、「人が辞めない会社には理由がある ~ 採用より重要な『定着』の仕組み ~」をテーマに、人材不足時代を乗り越える組織づくりについて解説します。

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