強い会社をつくる(1)資金繰りが会社の命を守る
~黒字倒産を防ぐための経営者の視点~
はじめに ~「強い会社をつくる経営シリーズ」を始めるにあたって~
近年、中小企業を取り巻く経営環境は大きく変化しています。
物価高や人件費の上昇、人手不足、円安、金利の変動、さらにはAIやDXの急速な進展など、経営者が対応しなければならない課題は年々増えています。
これまで当社では、「事業再生シリーズ」や「事業再生の手法シリーズ」を通じて、経営危機に直面した企業が再建を図るための考え方や具体的な手法についてご紹介してきました。また、廃業支援やM&A、資金調達など、「出口戦略」をテーマとした情報も発信してきました。
しかし、本来、企業経営で最も重要なことは、「事業再生が必要にならない会社」をつくることです。
どれほど優れた再生手法があっても、経営危機に陥らない企業づくりに勝るものはありません。
そこで今回から、「強い会社をつくる経営シリーズ」をスタートします。
本シリーズでは、
- 資金繰り
- 利益体質
- 財務体質
- 人材定着
- 人材育成
- 営業力
- 新規事業
- AI・DX
- ビジネスモデル
- リスク管理
- 経営者の習慣
- 持続的成長
という12のテーマを通して、「強い会社とは何か」を一緒に考えていきます。
第1回のテーマは、「資金繰り」です。
経営者の皆様にぜひ知っていただきたいのは、
「会社は利益ではなく、お金がなくなることで倒産する」
という事実です。
今回は、黒字倒産を防ぎ、会社を守るための資金繰りについて解説します。
利益が出ていても会社は倒産する
「黒字なのに倒産した」。この話を聞いて不思議に思われる方も多いでしょう。
しかし、実際には珍しいことではありません。
会社は利益が出ているから存続できるのではなく、支払日に必要なお金があるかによって存続が決まります。
例えば、
- 売上は1億円
- 利益は500万円
という会社でも、
売掛金の回収が3か月後である一方、
- 給与
- 外注費
- 材料代
- 家賃
- 借入金返済
を今月支払わなければならない場合、手元資金が不足すれば支払いができません。
利益は出ていても、資金がなければ会社は倒産します。
これが黒字倒産です。
「利益」と「資金」はまったく違う
経営者が最も勘違いしやすいのが、利益=現金ではないことです。
利益は会計上の数字です。一方、資金繰りは実際に銀行口座にある現金の話です。
例えば、100万円の商品を販売した場合、売上は計上されます。
しかし、実際に入金されるのが3か月後であれば、その間は会社にはお金がありません。
利益と資金には時間差があります。この時間差が大きくなるほど、資金繰りは苦しくなります。
「利益」と「資金」はまったく違う
経営者が最も勘違いしやすいのが、
利益=現金
ではないことです。
利益は会計上の数字です。
一方、資金繰りは実際に銀行口座にある現金の話です。
例えば、
100万円の商品を販売した場合、
売上は計上されます。
しかし、
実際に入金されるのが3か月後であれば、その間は会社にはお金がありません。
利益と資金には時間差があります。
この時間差が大きくなるほど、資金繰りは苦しくなります。
中小企業でよく見られる資金繰り悪化の原因
資金繰りが悪化する原因はさまざまですが、現場で多く見られるのは次のようなケースです。
(1)売上が急増した
売上が伸びることは良いことですが、
売上増加に伴い、
- 材料購入
- 人件費
- 外注費
などの支払いが先に発生します。
売掛金が回収される前に資金不足になるケースは少なくありません。
(2)設備投資を急ぎ過ぎた
設備投資自体は悪いことではありません。
しかし、返済計画を十分に検討しないまま投資を行うと、毎月の返済が資金繰りを圧迫します。
(3)利益率が低い
売上は多くても利益率が低い会社は、資金が蓄積されません。
忙しいだけで現金が残らない会社は少なくありません。
(4)在庫が多すぎる
在庫は現金ではありません。
売れなければ資金が眠っている状態です。
適正在庫を維持することも重要な経営課題です。
(5)借入金返済
借入金の元本返済は利益計算には反映されません。
しかし、現金は確実に減ります。
利益が出ていても返済資金が不足することがあります。
資金繰り表は経営者の「健康診断書」
多くの中小企業では、試算表は作成していても、資金繰り表を作成していないケースがあります。
これは非常にもったいないことです。
資金繰り表を作れば、
- 来月の資金
- 3か月後
- 半年後
のお金の流れを予測できます。
病気も早期発見が重要ですが、資金繰りも同じです。「お金がなくなってから」では遅いのです。
金融機関との信頼関係が会社を守る
資金繰りに困ってから銀行へ相談する会社があります。
しかし、金融機関は、困る前に相談に来る経営者を高く評価します。
試算表、資金繰り表、経営改善計画、これらを準備して説明できる会社ほど、金融機関との信頼関係は強くなります。
銀行は「数字」と「経営者の姿勢」を見ています。
資金繰り改善は経営改善の第一歩
当社では、多くの経営改善・事業再生案件に携わってきました。
その中で共通しているのは、まず資金繰りを安定させなければ、利益改善も、設備投資も、人材採用も、DXも進められないということです。
資金繰りは経営の土台です。土台が不安定な建物は長く持ちません。
逆に資金繰りが安定すれば、経営者は将来を見据えた投資や挑戦ができるようになります。
まとめ
会社を倒産させるのは赤字ではありません。「資金不足」です。
だからこそ、経営者は売上や利益だけではなく、「今、会社にはいくら現金があり、半年後にはどうなるのか」を常に把握しておく必要があります。
資金繰りは、会社の未来を映す鏡です。日々の資金の流れを見える化し、早めに手を打つことで、多くの経営リスクは回避できます。
会社を強くする第一歩は、「利益を見る経営」から、「資金を見る経営」へ発想を転換することなのです。
おわりに ~事業パートナー九州からのご提案~
会社が強くなれば、事業再生は不要になります。
私たち株式会社事業パートナー九州は、経営改善や事業再生の支援だけではなく、「そもそも経営危機に陥らない会社づくり」を目指したご支援を行っています。
資金繰り改善、利益体質の構築、財務体質の強化、人材育成、新規事業、DX、事業承継まで、中小企業が持続的に成長するための経営課題を、経営者の皆様とともに考え、実践まで伴走いたします。
「会社を守る経営」から「会社を成長させる経営」へ。
10年後も選ばれる企業を目指し、一緒に「強い会社づくり」に取り組んでいきましょう。
次回は、「利益が残る会社のつくり方 ~売上よりも利益率を高める経営へ~」について解説します。