「税金滞納」倒産が増加
税・社会保険料の滞納を防ぎ、会社を立て直すために
「税金滞納」倒産が前年同期の2倍に
東京商工リサーチが2026年10月8日に公表した調査によると、2026年度上半期(4~9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は168件で、前年同期の2倍となり、この10年で最多を記録しました。うち164件、97.6%が破産であり、滞納が深刻化した企業の再建の難しさがうかがえます。
ただし、これは「税金を滞納した企業の97.6%が破産する」という意味ではありません。税・社会保険の滞納を要因に含む倒産のうち、破産が占める割合です。
「給与や仕入代金を払うため、税金は少し待ってもらおう」。資金繰りが厳しいとき、この判断を繰り返すことで滞納が積み上がり、事業継続の選択肢が狭くなる場合があります。重要なのは、納付できない見通しが立った段階で相談し、経営全体を見直すことです。
なぜ税・社会保険料の滞納から倒産に至るのか
収益悪化と借入返済で、納付原資が不足する
原材料費、燃料費、人件費が上昇しても、販売価格や受注単価に十分反映できなければ利益は減少します。売上が増えていても、売掛金の回収が遅れれば手元資金は不足します。
さらに、借入金の元本返済は利益計算上の経費ではありません。決算が黒字でも、返済と納税が重なれば資金不足になることがあります。消費税も、赤字だから必ず納付不要になる税金ではありません。利益と現金の動きを分けて管理する必要があります。
納付の先送りが、翌月以降の負担を増やす
税金や社会保険料を後回しにしても、支払義務はなくなりません。翌月の通常の納付に過去の滞納分が加わり、延滞税・延滞金も負担となります。
とくに社会保険料は毎月発生するため、滞納分だけを分割しても、新たな保険料を払えなければ滞納総額は増え続けます。「今月をしのぐ」対応を続けるほど、完納に必要な資金は大きくなります。
差押えで事業に必要な資金を失う
預金や売掛金が差し押さえられると、給与、仕入れ、外注費などに充てる予定の資金を使えなくなる場合があります。売掛金の差押えでは取引先にも通知が届き、取引継続への不安を招くおそれがあります。
また、銀行が返済猶予に応じても、それだけで税・社会保険料の徴収が止まるわけではありません。金融機関対応と公租公課への対応を別々に進めず、一つの資金繰り計画にまとめることが必要です。
滞納した場合、税務署・年金事務所はどう対応するか
税務署による督促と滞納処分
国税を期限までに納付しない場合、原則として延滞税が発生します。督促を受けても納付しない場合には、財産の差押えなどの滞納処分を受ける可能性があります。nta.go.jp
国税の差押えは、通常、督促状を発した日から起算して10日を経過しても完納されない場合に行える仕組みです。必ずその日に差し押さえられるという意味ではありませんが、「何度か電話が来てから対応すればよい」と考えるのは危険です。税務当局は、裁判所の判決を得ることなく、法令に基づき滞納処分を行えます。nta.go.jp
地方税は都道府県や市町村の担当部署が扱います。国税の相談をしたからといって、地方税にも同じ対応が適用されるわけではありません。
日本年金機構による納付指導と財産調査
会社の厚生年金保険料等の相談先は、現在は「社会保険庁」ではなく、日本年金機構の年金事務所です。
納付期限を過ぎると、督促状の送付や電話等による納付督励が行われます。指定期限までに完納されず、完納の見込みが立たない場合には、財産調査を経て、必要に応じて預金、売掛金、不動産等の差押え・換価が行われます。
事業所の実情に応じて分割納付が認められる場合もありますが、相談すれば必ず徴収が止まるわけではありません。担当者との相談内容、正式な猶予の有無、納付期限を確認し、記録に残しましょう。
すでに滞納している場合の対応
滞納額と手続の進行状況を整理する
最初に、国税、地方税、社会保険料ごとに、滞納額、対象期間、延滞税・延滞金、督促状の期限、担当部署を一覧にします。差押えの予告や通知がある場合は、特に急いで確認する必要があります。
そのうえで、決算書、直近の試算表、預金残高、売掛金の回収予定、借入返済予定、資金繰り表をそろえます。「払えません」と伝えるだけでなく、納付困難になった原因と、今後いくらなら納付できるかを説明することが大切です。
猶予制度の利用を相談する
国税には「換価の猶予」「納税の猶予」があります。一時に納付すると事業継続が困難になる場合などには、要件を満たせば、原則1年以内の換価の猶予が認められることがあります。申請による換価の猶予は、原則として納期限から6か月以内の申請が必要で、誠実な納付意思や、対象以外の国税の滞納がないことなども要件です。
災害や事業上の著しい損失などを理由とする納税の猶予もあります。猶予期間中は原則として分割納付し、制度に応じて延滞税の免除・軽減等が受けられます。担保が必要な場合もありますが、金額や期間、財産の状況による例外があります。
厚生年金保険料等にも換価の猶予・納付の猶予があり、年金事務所への相談が必要です。地方税にも猶予制度があり、北九州市では市税事務所納税課が窓口です。
猶予は税金や保険料そのものを免除する制度ではありません。 また、相談や申請だけで差押えが自動的に止まるわけではありません。申請期限を過ぎていても自己判断で諦めず、利用可能な制度や対応を担当窓口に確認してください。
実行できる納付計画をつくる
早く解決したいからと、無理な納付額を約束すると、計画が続かなくなります。通常発生する税・社会保険料と事業運営費を確保したうえで、滞納分にいくら回せるかを検討しましょう。
計画に変更が必要になった場合は、納付日を過ぎる前に事情と修正案を説明します。返済条件の見直し、不要資産の売却、採算改善も組み合わせ、必要に応じて中小企業活性化協議会や専門家への相談を進めます。
滞納を防ぐために、平時から取り組むこと
第一に、納付予定を資金繰り表に入れることです。月次の支出だけでなく、決算後の法人税・消費税、中間納付、固定資産税などを先まで見通します。納税見込額を毎月積み立て、日常の運転資金と区別して管理する方法も有効です。
第二に、人件費を会社負担の社会保険料まで含めて把握することです。採用や賃上げの判断では、給与額だけでなく、会社全体の資金負担を確認します。
第三に、納付原資を生む収益構造へ改善することです。顧客別・商品別・案件別の採算を確認し、価格改定、不採算取引の見直し、回収条件の改善、固定費の適正化を進めます。
そして、資金不足が見込まれた時点で税理士や金融機関に相談することです。納税が難しくても、申告まで放置してはいけません。「払えなくなってから」ではなく、「払えなくなりそうなとき」に動くことが、会社を守る第一歩です。
税・社会保険料の支払いに不安がある方は、当社へご相談ください
税金滞納は、徴収窓口への対応だけでは解決しない場合があります。売上、利益、借入返済、資産、納付予定を整理し、会社全体として継続可能な計画をつくることが重要です。
株式会社事業パートナー九州では、資金繰りの現状整理、経営改善計画の策定、金融機関への説明に向けた準備、収益改善と計画実行を支援します。税務や社会保険の専門的な手続は、税理士・社会保険労務士等と連携し、法的整理が必要な場合は弁護士への相談につなげます。
「納税資金が足りない」「銀行返済と社会保険料を両立できない」「督促状が届いたが、何から始めればよいか分からない」。このような段階でも、まずはご相談ください。数字と状況を整理し、今取るべき対応を一緒に検討します。
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