再生もM&Aも困難なとき、廃業という戦略的撤退を考える
中小企業が経営に行き詰まったとき、最初に検討されるのは「事業の立て直し=再生」です。収支を見直し、資金繰りを改善し、金融機関と交渉を行い、なんとか経営を継続させる。あるいは、後継者がいない企業であれば「第三者への事業承継=M&A」も一つの選択肢として有効です。
しかし、現実には、再生もM&Aも実現が難しいケースが少なくありません。そのようなとき、最後に選択肢として浮かび上がるのが「廃業」という道です。
本記事では、「廃業」が決して“後ろ向きの選択”ではなく、状況によっては「最も合理的かつ前向きな戦略」であるということを、具体的にお伝えしていきます。
「廃業」という選択肢~会社を守るだけが正解ではない~
再生が難しいケースとは?
事業再生には当然ながら一定の前提条件があります。たとえば、以下のような条件がそろっていれば、再建の余地はあります。
・商品やサービスに強みがある
・利益率を改善できる余地がある
・経営者や従業員に再起の意欲がある
・金融機関が協力的である
しかし、これらが揃わない場合、いくら計画を立てても「絵に描いた餅」になりかねません。特に、長年にわたって赤字体質が定着している場合や、外部環境(市場の縮小、人口減少、規制強化など)が大きく変化している場合、再生には極めて高いハードルがあります。
M&Aも現実的ではないケース
「誰かに会社を譲れれば、従業員の雇用も守れるし、経営者も引退できる」
そうした思いから、M&Aを希望される経営者も多くいらっしゃいます。
しかし、M&Aもまた「買い手が現れてこそ成立する話」です。
例えば以下のような場合、買い手が見つかりにくくなります:
・明確な強みや差別化要素がない
・財務内容が悪化している
・継続的な収益が見込めない
・後継者もキーマン社員も不在
さらに、地方の小規模企業や、事業の属人的要素が強い業種(飲食、建設、サービス業など)では、買収後のスムーズな事業引き継ぎが難しいと判断され、買い手が敬遠する傾向にあります。
撤退こそ、合理的な経営判断
事業の継続には資金とエネルギーが必要です。にもかかわらず、「これまでやってきたから」「やめたら従業員に申し訳ない」といった理由だけで事業を引き延ばすのは、経営者自身の負担を増やすだけでなく、最終的に関係者全体に大きな損失をもたらすリスクもあります。
そのような状況において「廃業」という判断は、むしろ冷静で合理的な経営判断といえます。
私たちはこれを「戦略的撤退」と呼びます。
引き際を見極め、傷口が広がる前に事業をきちんと整理し、次の人生に向けた準備を始める――それは勇気ある選択であり、決して“逃げ”ではありません。
廃業支援の進め方とポイント
廃業といっても、「ただ店をたたむ」だけでは済みません。廃業には、さまざまな手続きと準備が必要です。
・取引先との契約整理
・従業員の退職・再就職支援
・在庫や資産の処分
・債務の整理や金融機関との対応
・税務・法務手続き
・自宅など個人資産の保全
これらを同時並行で進めていくには、高度なノウハウと専門的なサポートが欠かせません。
当社では、事業再生の現場で蓄積してきた知見を活かし、経営者の心情にも寄り添いながら、スムーズかつ負担の少ない撤退の実現を支援しています。
最後まで「良い経営者」であるために
どんな経営者も、自社を成長させ、長く続けたいという想いを持って事業を続けてこられたことでしょう。
しかし、状況によっては「やめること」もまた、責任ある経営者としての役割の一部なのです。
最後に、無理な延命ではなく、冷静な判断で「納得できる終わり方」を設計することで、経営者も関係者も次のステージに進むことができます。
廃業は終わりではなく、新たなスタートの第一歩かもしれません。
当社では、「再生もM&Aも困難」と感じたときこそ、冷静に状況を整理し、最善の道を探すサポートを行っています。
もし顧問税理士や支援機関の方々の中で、「紹介すべきか迷う」経営者がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
最後まで「経営者として最良の決断」を支えるために、私たちは共に伴走いたします。
顧問先の「最後の出口戦略」、私たちと一緒に支援しませんか?
事業再生を専門とする当社では、「再生」「承継」「売却」の可能性を探ったうえで、やむを得ず「廃業」という選択に至る中小企業の支援にも力を入れております。
特に税理士の先生方が顧問先の最も信頼できる相談相手であることを、私たちも日々実感しています。
当社の廃業支援の強みは、以下のとおりです:
・借入金返済への現実的な対応力
事業再生の現場で培ったノウハウを活かし、金融機関との調整やリスケ交渉にも精通しています。
・経営者の生活基盤を守る支援
自宅や保有財産を極力守る視点から、「引き際」の設計を行います。
・「廃業ありき」ではない柔軟な対応
状況に応じて、事業再生やM&Aによる売却の選択肢も併せてご提案可能です。
・弁護士をはじめ、多様な専門家との連携体制
法的整理が必要な場合も、速やかに対応できる体制を整えております。
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