社長、前月の経営成績をいつ知りましたか?
本記事は以前のホームページに記載したものを再度掲載しています。(一部追記)
最近、「経営改善・事業再生」「事業再構築補助金」などのご依頼を受け、その中のお打合せで強く感じていることを報告します。
「会社の現状を自分でわかっている社長(経営者)」がびっくりするほど少ないです。決算書で「債務超過」になっていても、なぜなっているかがわからない。
「税理士に確認する」とのことで、税理士に聞いたら「・・・、調べて説明する」とあいまいな回答。こんな状態では、「倒産」へまっしぐらと感じます。
今回の紹介記事は、2018年(約5年前)に書いたものですが、改めて掲載します。
社長、前月の経営成績をいつ知りましたか?
(20180125)
銀行からの借入金の返済に困った会社の「経営改善」の支援をさせて頂いた際に感じたことです。
「現状がわからなくて、どうやって改善するの?」
「当たり前のことが当たり前でない」のが現実です。
前月の経営実績を翌月に早く知る
「社長、あなたの会社の前月の実績をいつ知っていますか?」。
中小企業の社長さんにこの質問をしたら、どういう答えが返ってくるでしょうか?
① 1日にはわかるよ
② 5日以内にはわかるよ
③ 20日頃にはわかる
④ 税理士事務所に聞かないとわからない
⑤ (経理の担当者に任せて)気にしたことがない
①と②の会社の経営は大丈夫でしょう。
③は「イエローカード」。
④と⑤は「レッドカード」です。
④と⑤の会社のほとんどは、5年以内に消滅する可能性が高いです。
(表現が悪いかもしれませんが)ひどい会社は、税理士事務所に任せて、年に1回の決算の時しか状況がわからないということがあります。
利益が出そうであれば、税理士事務所主導で保険などを使った節税対策!。
少々の赤字であれば、税金を払わなくてラッキー!。
大赤字であわててどうする?。
ある税理士事務所に聞いてみました
ある会社については、前月の実績を当月に出すことができなくて、翌月の半ば、つまり1ヶ月半後にようやくできるという具合です。
確かに決算処理は、期末から2ヶ月後ですので構わないということもあるかもしれません。
税理士事務所の所長さんに聞いてみました。
Q:なぜ、そんなに月のまとめに時間がかかるのですか?
A:お客さんが書類を出してくれないので・・・。
Q:なぜ、出すようにしないのですか?(出すように指導しないのですか?)
A:そんなことは考えたことがない。実施しようとしてもそんな時間がないし、お金ももらっていない。
何人かの税理士さんにお聞きしましたが、ほとんどの方がこの回答でした。
税理士さんの変更は?
「これではだめだ」
「(失礼ですが)これでは、お客さんを任せることができない」
経営改善をお手伝いした会社の税理士事務所さんがこの対応の場合、お客さんに「税理士事務所さんを変更」してもらっています。
お客様に税理士事務所の変更をお願いした場合、ほとんどの場合「わかりました。税理士事務所を変更します。」と了承して頂いています。
月のまとめ(試算表・資金繰り表)は何のためにあるの?
毎月の経営状況をまとめるのは、決算書作成や税金対策のためではなく、「経営状況を把握・分析」して、会社の経営状況をよりよい方向に持っていくためではないでしょうか?
以前勤めていた会社の社長
大企業2社の共同出資会社の「サラリーマン社長」は、実績をあげなければならない。
厳しい社長でした。
前月の結果は「5営業日まで(完ぺきではないが実態がわかるレベル)」、中間の把握として「20日までに15日の集計」を、そして経営会議を月に2回実施していました。
これらの実績(数値)の結果を基に、問題点の把握、実施している対策の効果を確認していました。
これにより、問題が大きくならないうちに手を打つことができていました。
経営改善は、現状を把握するのが最初
「どうなっているのかがわからない」ほど怖いものはありません。
1ヶ月後に前月の結果が分かっても何も手を打つことができません。
その間に更に1ヶ月、わけがわからない状態で進んでいます。
ほとんどの会社は、この経営状態を把握する仕組みを作り、運用することで経営改善が進みます。
現状がわかれば、経験上、打つ手が見えてきます。
経営者の意識が変わり、それにより社内の意識も変わっていきます。
試算表を5営業日までに作成するために、税理士事務所に顧問料を多く払っても、それ以上の成果が出ると思います。
「今の姿は過去の行動の結果、将来の会社の姿は現在の行動の結果!!」
今すぐ考えを変えて、行動しましょう。それにより結果は変わります。