経営改善・事業再生 2020年(4)
本記事は、以前のホームページに記載したものをまとめたものです。
【1】「新型コロナウィルス」経済への影響
(20220615)
2020年2月後半からの「新型コロナウィルス感染拡大」による海外からの観光客の減少、国内旅行の自粛、飲食業・レジャー施設の営業自粛などの影響で国内経済活動は停滞しています。
この経済活動の停滞は、一部の製造業や建設業にも及んできています。
政府の、「持続化給付金の支給」「融資の条件緩和」「雇用調整助成金」また今後の「家賃補助」などの各種の施策によって、「倒産・廃業」に至っていない企業も多くあるかもしれません。
休業などで収入が減った方も多くいらっしゃいますが、外食・レジャーなどの消費が少なくなったことにより、また特別定額給付金の受給により、家庭によってはお金が残っているところも多いと思います。
(1)倒産・廃業
今回、企業状況について「倒産・廃業」の面で現状を紹介します。
テレビや新聞では、老舗の旅館・料亭や有名な飲食店、アパレルメーカーに倒産や廃業のニュースが見られます。
日本経済新聞の記事では、(東京商工リサーチ発表)
・4月の倒産は「743件」 *前年同月比「15%」増
・5月の倒産は「314件」 *前年同月比「54%」減
コロナ関連の倒産は、6月4日時点で、累計「214件」です。
現状の認識に対して非常に少ない数値と思っています。リーマンショック時の月あたり「1,500件」と比べても半分以下になっています。
その理由として3つがあります。
1 金融支援策が効果を出している
貸し出し条件の緩和や返済の猶予(リスケジュール)による「資金繰り対策の実施」や「不渡りの処分を猶予する特例措置」などにより、売上・利益が減少しても「資金ショート」を免れているところもあります。
2 手続き上の理由
破産申請を受付ける裁判所の業務縮小(コロナウィルスの影響)により手続きができなく、実質は倒産状態ですが表に出てこない企業も相当数ある可能性があります。特に5月の倒産数が少ないのはこの理由と思われます。裁判所が通常業務に戻ると倒産件数が増えると思います。
3 倒産集計に入らない「休・廃業、解散」の増加
昨年(2019年)の倒産件数は「8,383件」で11年ぶりに前年を上回っていますが、「休・廃業、解散」は、5倍の「43,000件」でした。
2020年は次に示すグラフのように、「50,000件」を超える可能性が予測されています。
「新型コロナウィルス感染拡大」の影響の収束が見通せないうえに、緊急事態宣言の解除後も行動様式が元に戻らない可能性が高いです。
更にこの影響が長引けば、政府主導の金融支援では持ちこたえられず、倒産や廃業が増える公算がが高いです。
また、「新たな借入で負担(借金)を増やすよりも廃業を選択する」企業(経営者)が増えてくることも予測されます。
これを防ぐためには、まずは、「自社の現状」を的確に把握し、「外部の状況」を冷静・客観的に整理してみることです。
その中で、「自社の強み」「市場や顧客のニーズ(事業チャンス)」を徹底的に考えることです。
そこから方向性が見いだせると思います。
その結論として、既存事業の撤退、M&Aによる譲渡などの選択肢もありえます。
この「新型コロナウィルス感染拡大」を事業の見直しのきっかけとして前向きに考えて下さい。
(2)失業者・休業者
連携している「(株)事業パートナー」から、「コロナ不況、失業者微増の背後で急増する『休業者600万人』の衝撃」というタイトルの記事が送られてきました。
出典は週刊ダイアモンドに掲載されている「早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の『野口悠紀雄先生』の記事
記事の中で「休業者数」が示されています。
これまでは、毎月「150~200万人」程度でしたが、4月は対前年同月比で420万人増の「597万人」と急増しています。
ちなみに、完全失業者数は「189万人」です。
ここで引用として紹介されていた、総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2020年4月分」を見てみました。
結果の概要
【就業者】
・就業者数は「6,628万人」。前年同月に比べ「80万人」の減少。88ヶ月ぶりの減少。
・雇用者数は「5,923万人」。前年同月に比べ「36万人」の減少。88ヶ月ぶりの減少。
・正規の職員・従業員数は「3,563万人」。前年同月に比べ「63万人」の増加。7ヶ月連続の増加。
・非正規の職員・従業員数は「2,019万人」。前年同月に比べ「97万人」の減少。2ヶ月連続の減少。
【就業率】(就業者/15歳以上人口×100)
・就業率は「59.8%」。前年同月に比べ「0.7」ポイントの低下。
【完全失業者】
・完全失業者数は「189万人」。前年同月に比べ「13万人」の増加。3ヶ月連続の増加。
【完全失業率】(完全失業者/労働力人口×100)
・完全失業率は「2.6%」。前月に比べ「0.1」ポイントの上昇。
失業者に関する数値は、2020年に入り悪化が続いていますが、4月は加速して悪化しています。
休業者数の状況
休業者とは、仕事を持ちながら、実際には仕事をしなかった者のうち給料や賃金の支払いを受けている者です。そのため求職活動をしていないので、失業者とはされていません。
営業自粛要請などで事業者の売上がなくなり、そこで働いていた人が休業せざるを得なくなったからです。
休業者は、昨年は毎月「150~200万人」でしたが、3月から増え、更に4月は約3倍の「600万人」になりました。
企業にとっては、売上が減少してる中での休業者の人件費は重い負担になっています。
政府の対策として、「雇用調整助成金」の支給で、企業側に解雇しないように呼びかけていますが、いつまで耐えられるか、時間勝負になってきています。
「新型コロナウィルス感染拡大」の影響の収束が見通せないうえに、緊急事態宣言の解除後も行動様式が元に戻らない可能性が高いです。
更にこの影響が長引けば、雇用調整助成金などの政府主導の金融支援では持ちこたえられず、倒産や廃業が増える公算が高いです。
また、「新たな借入で負担(借金)を増やすよりも廃業を選択する」企業(経営者)が増えてくることも予測されます。
それにより、「休業者」が「失業者」になる数も増えてくることが予測されます。
これを防ぐためには、まずは、「自社の現状」を的確に把握し、「外部の状況」を冷静・客観的に整理してみることです。
その中で、「自社の強み」「市場や顧客のニーズ(事業チャンス)」を徹底的に考えることです。
そこから方向性が見いだせると思います。
その結論として、既存事業の撤退、M&Aによる譲渡などの選択肢もありえます。
この「新型コロナウィルス感染拡大」を事業の見直しのきっかけとして前向きに考えて下さい。
【2】「エコアクション21」のご案内
(20200710)
当社(の代表)が所属している「NPO法人・北九州テクノサポート」では、「地域事務局・環境未来」として、「エコアクション21」の認証・登録を支援しています。
エコアクション21(EA21)とは?
環境省が策定したガイドラインに基づき、省エネルギーや省資源等の環境経営に取り組む事業者を認証・登録する制度です。
中小企業などの幅広い事業者を対象としています。
現在の登録状況
EA21認証・登録事業者数の推移(全国)
上位5都府県
1 静岡県:983事業者
2 東京都:749事業者
3 大阪府:494事業者
4 兵庫県:484事業者
5 福岡県:472事業者
登録事業者の業種別
EA21の特徴
1 中小企業でも容易に取り組める
「ISO14001」に比べ、運用面や経営面、経費面の負担が少なく、中小企業でも、取り組みやすい「環境経営システム」です。
30人以下の会社が「60%以上」を占めています。
2 必要な環境への取組みを規定
EA21では、必ず把握すべき環境負荷の項目として「二酸化炭素排出量」「廃棄物排出量」「水使用量」を規定しています。
3 環境コミュニケーションに取り組む
EA21では「環境経営レポート」の作成と公表を必須の要件としています。
4 事業者の自主的・積極的な取組みを第三者が評価
ガイドラインで規定している環境経営システム及び環境経営レポートの要求事項を満たす事業者に対し、第三者が一定の評価を与える制度として実施されています。この制度において認証・登録を受けるためには、事業者は「全組織・全活動(事業活動及び製品・サービス)を対象にEA21に取り組む」ことが必要です。
EA21の認証・登録のメリット
1 総合的な環境対応が可能
EA21ガイドラインには、「環境経営システム」「環境への取組み」「環境コミュニケーション」の三要素がひとつに統合されていますので、総合的な環境対応が可能です。
2 経営面での効果
経費の削減、生産性・歩留まりの向上、目標管理の徹底等の経営面での効果も期待できます。
3 取引条件への対応/ビジネスチャンスの拡大
多くの大手企業からの環境面への要求に対応することができます。また入札参加資格審査での加点を受けられる場合があります。
4 金融機関によるEA21 の関連融資
多くの金融機関がEA21認証・登録事業者への低利融資制度を設けています。
5 社会からの信頼獲得
環境省のガイドラインに基づき、第三者機関の認証を受けることで、社会的な信頼を得ることができます。
6 ロゴマークを使用することができる
北九州市も「SDGs」達成に向けた取組みの一つとして「エコアクション21」活動を支援しています。認証・登録の事業者には「資金調達」「補助金」「入札」の面で優遇処置がなされています。
当社では、EA21の認証・登録、その後の運用に関して、「地域事務局 環境未来」と連携して支援します。ご興味がある方は、当社にお問い合わせ下さい。
【3】「新型コロナウィルス」で事業継続計画の見直し
(20200717)
2020年6月25日の日本経済新聞に『TOTO、BCP見直し』という見出しで、「新型コロナウィルスの感染拡大」で中国からの部品が入らなくなって主力製品の生産が滞ったことで、「BCP(事業継続計画)」を見直すことが紹介されていました。同様に「サプライチェーン」を中心にBCPの見直しを検討している企業は多いと思います。
BCPは、大企業ではある程度進められていますが、中小企業ではあまり策定が成されていないのが現状です。
その理由として、「BCP策定の要求事項」が多いことが挙げられます。
そこで、昨年7月にBCPを簡略化した「事業継続力強化計画認定制度」が施行され、中小企業庁を中心に推進されています。
全体のスキームを次に示します。
この計画を作成することにより、各中小企業の地震、水害、今回のコロナウィルスのような感染症の拡大などによる「事業継続に関するリスク」を認識して、各リスクへの対応を検討して、それを社内の関係者で共有することを狙っています。
事業継続力強化計画認定制度の概要
● 中小企業が行う防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定
● 認定を受けた中小企業は、税制優遇や補助金の加点などの支援策を活用可能
★認定対象事業者:防災・減災に取り組む中小企業・小規模事業者
事業継続力強化計画の記載項目
1 事業継続力強化に取り組む目的の明確化
2 ハザードマップ等を活用した、自社拠点の自然災害リスク認識と被害想定策定。
3 災害発生時の初動対応手順(安否確認、被害の確認・発信手順等)策定。
4 ヒト、モノ、カネ、情報を災害から守るための具体的な対策。
※自社にとって必要で、取組みを始めることができる項目について記載
5 計画の推進体制(経営層のコミットメント)。
6 訓練実施、計画の見直し等、取組みの実効性を確保する取組み。
7 (連携して取り組む場合)連携の体制と取組み、取組みに向けた関係社の合意。
認定を受けた企業に対する支援策
1 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
2 防災・減災設備に対する税制措置
3 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
4 連携をいただける企業や地方自治体等からの支援措置
5 中小企業庁ホームページでの認定を受けた企業の公表
6 認定企業にご活用いただけるロゴマーク
(会社案内や名刺で認定のPRが可能)
当社では、「事業継続力強化計画」の策定の支援を行っています。
また、「ものづくり補助金」の申請支援の加点ポイントとしての策定支援を行っています。
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