売掛金のファクタリングを活用 - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

売掛金のファクタリングを活用

ファクタリングの説明

ファクタリングは、売掛金を現金化する手段の一つで、資金繰り改善やリスク管理に役立つ金融サービスです。以下、ファクタリングの仕組み、活用方法、リスクについて整理します。

当社では、「事業再生・経営改善」の取組みの中で、資金繰りの短期対応としてファクタリングの活用も手法の一つとして検討します。なお、ファクタリングについては、提携している専門会社が実施し、当社はその支援を行います。

 1 ファクタリングの仕組み

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(取引先からの未回収の代金債権)をファクタリング会社に売却し、その対価として現金を受け取る仕組みです。

 <主な流れ>

売掛金の発生: 企業Aが取引先Bに商品やサービスを提供し、売掛金が発生。

ファクタリング会社への申請: 企業Aがファクタリング会社に売掛金の買取を依頼。

審査:ファクタリング会社が取引先Bの信用力を審査。

売掛金の譲渡と現金化: 審査が通れば、ファクタリング会社が手数料を差し出した現金を企業Aに支払う。

債権の回収:ファクタリング会社が取引先Bから企業Aに支払われた売掛金を回収します。

<ファクタリングの種類>

2者間ファクタリング:売掛金を販売主(企業A)とファクタリング会社間で契約。

3者間ファクタリング:売掛金を販売主(企業A)、ファクタリング会社、取引先(企業B)の3者間で契約。

2 活用方法

資金繰りの改善:売掛金の回収までの期間を待たずに現金を調達できるため、短期的な資金需要を満たすことができます。

信用リスクの回避: 売掛先の信用リスクをファクタリング会社に移転することで、貸し倒れリスクを軽減します。

事業成長の加速:売掛金回収に頼らず現金を活用できるため、設備投資や事業拡大がスムーズになります。

バランスシートの改善:売掛金を現金化することで、資産流動性が向上し、指標が改善します。

3 リスク

手数料:

ファクタリング会社に手数料が高額になる場合があり、特に中小企業にとっては負担が大きい。

手数料は一般的に売掛金の数%~十数%程度。

信用リスク: 

2者間ファクタリングの場合、売掛先が支払いを滞納すると、ファクタリング会社が売掛先に回収を行いますので、企業Aと取引先Bの間の信用関係が損なわれます。

契約リスク: 

不透明な契約条件や高額な違約金が設定されている場合もあるため、契約内容の精査が必要です。

取引先との関係悪化: 

3者間ファクタリングでは、取引先がファクタリングの利用を知ることで信用問題と捉えられ、取引関係に影響が出る可能性がある。

情報漏洩リスク: 

売掛金の情報を外部に提供するため、取引先情報が漏洩するリスクがあります。

4 まとめと注意点

ファクタリングは資金繰りの改善やリスク管理に有効ですが、以下の点に注意が必要です:

 ・信頼できるファクタリング会社を選びます。

・契約条件や手数料を十分確認する。

・自社の資金需要と目的を明確にする。

正しく活用すれば、事業成長や経営安定化の大きな助けになります。

 

日本でのファクタリングの状況

日本における売掛金ファクタリングの利用は、海外と比較して普及が遅れているのが現状です。その主な理由と今後の動向について以下に紹介します。

日本でファクタリングの利用が進まない理由

約束手形の広範な利用

日本では長年、約束手形が商取引の主流として用いられてきました。約束手形は支払いの確実性が高く、企業間での信用取引の基盤となっていました。そのため、ファクタリングの必要性が低く、活用が遅れたと考えられます。

法整備の遅れ

ファクタリングに関連する法制度の整備が遅れていたことも一因です。例えば、権利譲渡に関する法律の整備が進んできたのは1998年以降であり、それ以前は法的な不確実性が高かったため、企業はファクタリングの活用を積極的に行いませんでした。

電子債権の普及不足

約束手形の廃止に向けて、電子決済の利用が推進されていますが、2023年時点での電子決済の普及率は低く、企業間での利用が進んでいません。

約束手形の廃止によるファクタリングの必要性増加

日本政府は2026年末までに約束手形を廃止するため方針を示しています。これにより、売掛金の早期現金化手段としてファクタリングの需要が高まると予想されます。

法整備の進展

特に、2020年度の債権譲渡特例整備法改正により、譲渡禁止特約付きの譲渡でも譲渡が可能となり、ファクタリングの利用の範囲が拡大しました。

オンラインファクタリングの普及

非対面で手続きが進められるオンラインファクタリングサービスの増加により、企業が手軽にファクタリングを利用できる環境が整いつつあります。これにより、中小企業を中心にファクタリングの利用が拡大すると見られます。

 

約束手形の廃止や法の進展に伴い、今後日本におけるファクタリングの利用は増加し、市場規模の整備が期待されます。

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