九州志士の会・6省庁施策勉強会(2)
2023年6月10日、九州志士の会主催で、6省庁の横勉強会勉強会、
『ポストコロナへ挑戦』が開催されました。
この勉強会は、毎年開催されていますが、この数年はコロナ禍で参加者が限定されていましたが、本年は「交流会」を含めて、中小企業の支援を行っている方が多く集まりました。
1 経済産業省:九州経済産業局
2 厚生労働省:福岡労働局
3 国土交通省:九州地方整備局
4 農林水産省:九州農政局
5 環境省:九州地方環境事務所
6 日本政策金融公庫:福岡支店
各省庁等の主な内容(項目)を紹介します。今回は、後半の4~6の省庁等について紹介します。
関心がある部分がありましたら、当社にご連絡下さい。関連の部署をご紹介します。
農林水産省:九州農政局
「農林水産物・食品の状況と輸出促進について」というタイトルで、農林水産物・食品に絞って施策を紹介。
(1)現在の食市場の状況
・人口:国内減少、世界では増加
*世界の食市場は、日本のマーケットになる可能性
・日本の農産物の輸出は拡大しているが、その伸びは他国と比べて小さい
・国内生産額の10%、5兆円を目標に
(2)農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略
<3つの基本的な考え方>
・日本の強みを最大限に発揮するための取組み
・マーケットインの発想で輸出にチャレンジする事業者の支援
・政府一体となった輸出の障害の克服
(3)農林水産物・食品輸出促進団体(品目団体)認定制度
・品目団体輸出力強化支援事業
(4)輸出先国・地域における専門的・継続的な支援体制の強化
・JETRO、JFOODOを主な構成員とする輸出支援プラットフォーム
(5)各種の支援事業の推進
(6)農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)の取組み
環境省:九州地方環境事務所
「脱炭素経営の推進に向けた施策ほか」のタイトルでの施策説明。
<環境省の政策分野>
(1)気候変動対策
(2)海洋プラスチックごみ対策
(3)地域循環共生圏の創造
(4)東日本大震災からの復興
(5)資源循環政策
(6)生物多様性の保全
(7)各種環境リスク低減のための取組み
今回は、(1)と(2)の施策概要と「中小企業の脱炭素化に向けた環境省の取組」に関して紹介がありました。
(1)気候変動対策
・国際的な温室効果ガス削減に向けた取組み
*人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させてきたことは、疑う余地がない
*2021年11月の「COP26」で、世界の平均気温の上昇を抑える目標の実施へ
・2050年カーボンニュートラル宣言:日本政府(2020年10月)
・地域脱炭素:地域の活性化をカーボンニュートラルで
*地方創生+災害時も安心+快適な暮らし
・100箇所以上の脱炭素先行地域の創出
*2030年に前倒しでカーボンニュートラルを達成
・脱炭素事業への投融資(株式会社脱炭素化支援機構)
・脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動
・気候変動適応策の推進
*気候変動適応計画:2021年10月閣議決定
*各分野で対策を推進中
(2)海洋プラスチックごみ対策
・海洋プラスチック汚染の発生状況
*2050年には海洋へのプラスチックの流出の累積量が海洋中の魚の量よりも多くなるとの試算も
・海プラ汚染による被害・影響
*生態系を含めた海洋環境への影響
*船舶航行への障害
*観光・漁業への影響
*沿岸域居住環境への影響
・海洋環境を含むプラスチック汚染対策
*2022年4月:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」施工
・2020年レジ袋有料化:そのレジ袋必要ですか?
中小企業が脱炭素経営に取り組むメリット
(1)気候変動がビジネスにおいて大きなリスク・機会に
(2)サプライチェーン全体での脱炭素化の動き
★大企業がサプライチェーン排出量の目標を設定する際、サプライチェーンに組み込まれている中小企業に対し、中小企業が自らの排出量を把握することを求めるケースも出てきている。
(3)脱炭素経営とは何か?
・気候変動対策(≒脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営
*単なるコスト増加ではなく、リスク低減と成長のチャンス
*経営上の重要課題として、全社を挙げて取り組むもの
(4)中小企業が脱炭素経営に取り組むメリット
・競争力の強化:取引先や売上拡大
・光熱費・燃料費の低減
・知名度・認知度向上
・社員のモチベーション・人材獲得力向上
・好条件での資金調達
中小企業の脱炭素化に向けた環境省の取組
脱炭素化への取組みステップを支援
(1)取組の動機付け(知る)
・パンフレット
・脱炭素経営促進ハンドブック・事例集
・脱炭素経営 導入動画
(2)排出量の測定(測る)~見える化(把握・開示)
・CO2排出量=エネルギー使用量×排出係数
*CO2チェックシートなど様々な算定ツールが存在
(3)削減目標・計画の策定、脱炭素設備投資(減らす)
・CO2削減計画の策定
・省CO2型設備への更新を支援
・J-クレジット制度
中小企業の脱炭素経営に参考になるハンドブック等
日本政策金融公庫:福岡創業支援センター
次の4つの支援について施策・状況を説明。
(1)創業支援
(2)事業承継支援
(3)海外展開支援
(4)ソーシャルビジネス支援
また、「新型コロナ対策劣後ローン」について説明。
(1)創業支援
・創業融資により、「約7.9万人」の雇用を創出
*令和4年度創業融資結果実績:25,500先×平均従業員数(3.1人)
・創業企業の業種は、「サービス業」「医療・福祉業」「飲食店・宿泊業」が中心
・創業支援施策の充実等により、「5年後の廃業率」が減少
*2006年創業企業:15.2%
*2011年創業企業:10.4%
*2016年創業企業: 8.9%
・政策金融金庫から融資を受けた「417社」がその後上場(1989年~)
・創業セミナー・個別相談会の実施
(2)事業承継支援
・事業承継マッチング支援(5つの特徴)
*小規模事業者の利用が中心
*事業を受け継いで創業(継ぐスタ)される方も対象
*オープンネーム(実名)による後継者探しも実施
*専門担当者によるサポート
*無料のサービス
・実名による後継者募集イベントの開催
*2022年度:静岡県、岐阜県、長野県
*2023年度:全国15地域で開催予定
(3)海外展開支援
・海外展開に関する事業に融資
*海外展示会への出展費用
*海外輸出のための費用
*トライアル輸出支援事業
・海外展開事例集の発行
(4)ソーシャルビジネス支援
次の事業者に対する融資
・介護・福祉事業者
・NPO法人が行う事業者
・社会的課題の解決を目的とする事業者
新型コロナ対策資本性劣後ローン
新型コロナウイルス感染症の影響を受けているスタートアップ企業や事業再生に取り組む方等を対象に、財務体質強化を図るために資金を供給する「新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)」を扱っています。
ご検討される方は、日本政策金融公庫のホームページをご覧下さい。
今回の6省庁の横断施策勉強会に参加して
これまでも、特に経済産業省の施策・予算について情報収集を行っていましたが、まだまだ収集力、理解力が足りないことを感じました。
今回の勉強会で、各省庁等の施策の目的、概要が分かりましたので、個別の企業に当てはめて、これらの施策が活用できないかを考えていきます。
例えば、補助金の申請支援の中で、これまでは、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」に取り組んでいましたが、直近、お客様からの要望(情報提供)で、より補助金額が大きい異なる補助金にも取り組ませて頂いています。
これを機会により、より幅広く、深い経営支援に取り組んで行きます。