経済産業省から見た中小企業の現状
2025年2月15日(土)に九州志士の会主催の勉強会がありました。その中で、九州経済産業局の中小企業課の課長さんが、「国の中小企業・小規模事業者施策等の概要」と題して、令和6年度補正予算を中心にして説明して頂いたので、その中の一部を紹介します。
中小企業は、大企業に比べて、非常に厳しい状況にあることを再認識しました。
規模別の事業者数
全国の事業者数
九州(沖縄を除く)の事業者数
全国と九州の比較を示します。
九州は全国に比べて中小企業の割合が高く、特に付加価値額については、全国は半分程度に対して「76%」を占めており、九州経済は中小企業の寄与が大きくなっています。
中小企業を取り巻く環境
設備投資の状況
2023年度の設備投資計画(全規模全産業)は過去最高水準の伸び率で、2024年度も増加を続けています。これをみると日本経済の景気は上昇しているといえます。
賃金の状況
賃金については、国の施策もあり、中小企業も高い伸びを示しています。
ただし、賃上げを実施する企業の60%は、従業員の確保の面で「業績の改善が見られない中で賃上げ」を行っています。
その他の状況
・海外調達から「国内回帰」または「国産回帰」
・訪日外国人消費額が過去最高を記録
・輸出額が過去最高:初の100兆円超え
中小企業の課題
一方、中小企業の課題として、次の点を挙げています。
(1)物価高により、収益が減少。
*コスト増加分を販売価格に十分に転嫁できていない。
(2)人手不足が深刻化。
(3)人件費の上昇。
*最適賃金を下回ったため、賃金を引き上げた企業が4割。介護・看護業(61.5%)、宿泊・飲食業(58.7%)、小売業(54.1%)。
中小企業は「稼ぐ力が弱い」
労働分配率(付加価値額に対する人件費の比率)が大企業に比べて非常に高く、従業員一人当りの付加価値額(労働生産性)も低い状況です(大企業の半分以下)。
中小企業の賃上げの原資を確保するには、「国内外の販売力の強化」や「省力化やデジタル化など生産性向上」が必要と提言しています。
オペレーションの改善
国は、補助金などで「省力化やデジタル化」などに設備投資を推奨しています。しかし、多くの中小企業は資金面で設備投資ができないと思います。
当社が取り組んでいる事業再生では「オペレーションの改善」を取り入れています。
生産性は、設備投資を実施しなくてもできる改善が多くあります。この改善は、事業再生に限らず、企業の業績向上に使える内容です。
事業パートナーグループで実施したオペレーション改善の効果を示します。
*本図は、当グループが実施の研修会資料から転記