「原材料・資源の高騰」が深刻に・倒産増加
物価高倒産が急増
2023年1月13日に「帝国データバンク」から「2022年の物価高倒産」の動向調査結果が公表されています。
そこで示されている恐ろしいグラフを示します。
2022年の5月から「物価高倒産」が増加しはじめ、その後、毎月増加する傾向が続いています。
現状も値上りのペースは落ちたように思えますが、「資材費・原材料費」の価格の高止まりの状況が続いています。
中小企業の多くは、仕入れ等の価格上昇を商品・製品に価格転嫁が十分に進んでいない状況と思われ、今後も「物価高倒産」は引き続き増加傾向で推移すると見られます。
政府の施策も参考に
まずは、現状を把握し、どうしたら生き延びれるか?価格を上げられるか?を徹底的に考えることです。このためには、各種の情報収集、専門家からのアドバイスを受ける等のアクションを行うことです。
政府の施策
政府としても、中小企業が資材や原材料価格を商品・製品に転嫁できていない状況は認識していて、様々な施策を打ち出しています。
以前の投稿で、政府の施策の一部の「価格交渉ハンドブック」「パートナー構築宣言」等の施策を紹介しました。
下請け代金支払遅延等防止法
前回紹介できなかった「下請け代金支払遅延等防止法」について紹介します。
この法律は、下請事業者の利益を保護し、取引きが適正に行われることを目的に定められています。
親事業者の義務
親事業者(発注者)の義務として4項目が定められています
1 発注書面の交付義務
2 発注書面の作成、保存義務
3 下請代金の支払期日を定める義務
4 遅延利息の支払義務
親事業者の禁止行為
親事業者が下請事業者に対する禁止行為が定められています。
1 受領拒否の禁止
2 下請代金の支払遅延の禁止
3 下請代金の減額の禁止
4 返品の禁止
5 買いたたきの禁止
6 物の購入強制・役務の利用強制の禁止
7 報復措置の禁止
8 有償支給原材料費等の対価の早期決済の禁止
9 割引困難な手形の交付の禁止
10 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
11 不当なやり直し等の禁止
義務、禁止行為の各項目の内容は、中小企業庁のホームページをご覧下さい。
上記の親事業者からの行為等でお困りの場合は、当社にご連絡下さい。いっしょに対応策を検討しましょう。
生き延びるための施策
上記の政府の施策も参考にしながら、現状を打破して、生き延びる策を検討しましょう。
ここでは、考え方を中心に示します。個々の企業の状況(財務状況・事業内容・組織など)や業界の動向によって、施策は異なりますので、現状に合わせて検討を行って下さい。
当面の価格交渉
当面は、原材料などの仕入れコストが上がった分は、適正に販売価格に転嫁することを検討して下さい。最近は、社会全体が物価上昇になっていますので、購入側も受入れる雰囲気はできていると思います。
この際に、材料費を落とすために、食材のグレードを落し、品質(味、食感など)を悪くすることは絶対に避けるべきです。
高付加価値の施策(ビジネスモデル変革)
中小企業が生き延びるためには、「高付加価値(高品質)」「高価格」の商品、サービスを提供する必要があります。
現在、食料品販売、生花販売、衣料品販売などの会社の経営改善の相談を受けていますが、販売数の低下だけでなく、利益率が低いビジネスモデルになっています。
現状把握をしっかりと行い、市場・顧客ニーズをくみ取り、より利益率が高くなるような「商品開発」「販売促進」の戦略が必要になります。
生産性の向上
上記の高付加価値と関連しますが、現状の業務内容を洗い出して、次の2点の観点で検討を進め、生産性を上げて、一人当たりの利益(付加価値)を上げる施策を計画・実行していきましょう。
(1)デジタル技術の導入による効率向上
(2)従業員の能力向上(教育)
今回は、物価高倒産の紹介から、中小企業が考えるべきことを記載しました。
中小企業を取り巻く状況は、ますます、厳しくなってきています。コロナ禍による混沌状態は、本年(2023年)、来年までは継続すると思われます。
このコロナ禍に「物価高」が加わり、企業によっては、更に厳しい状況が続きます。この2023年に、まず、事業が継続できる施策を実施し、それに加え、事業の見直し・再構築(ビジネスモデルの変革)を実行し、消費が伸びる(リベンジ消費)と期待される2025年に備えることが大事と思います。
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