経営力再構築伴走支援
2023年2月に、
中小企業は「伴走支援」が必要?2つの動き
と題する記事を掲載しました。
その中には次の2点について紹介しています。
(1)経営改善計画での支援
(2)経営力再構築伴走支援
今回は、「(2)経営力再構築伴走支援」について紹介します。
伴走支援ガイドラインの策定
多くの支援機関に「経営力再構築伴走支援」を紹介し、「各機関の支援活動にも導入」してもらうことを目的に、2023年6月に「ガイドライン」が策定されました。
「経営力再構築伴走援」は、支援者が、経緯者との対話と傾聴を通じて、事業者が抱える本質的な課題に気付よう促し、内発的な動機付けにより事業者の潜在力を発揮させ、課題解決に至るよう側面的に支援するものです。
対象にする課題
(アメリカ・ハーバード大学・R.ハイフェッツ教授の言葉:リーダーシップの研究者)
世の中の問題は既存の解決策が応用できる「技術的問題」と、既存の解決策の応用では効果がなく、解決には当時者のマインドセット自体を変える必要がある「適応を要する課題」に二分されると示しています。
この両方の考え方の違いをまとめたものを示します。
フレームワーク
経営者が腹落ちするための最善の方法は自ら答えにたどり着くことですが、中小企業・小規模事業者の経営者が独力でそこに至ることは現実的には困難です。
・支援者が「対話と傾聴」によって経営者との信頼関係を築き、
・その後、適切な問いかけを行い経営者の考えが整理され
・経営者が課題を設定し、
・自らその課題の解決に取り組む
流れを作ることが必要です。
推進体制(実施主体)
実施の主体は、企業規模や課題によって分けて提示しています。
中小企業からの卒業を目指す規模が大きい事業者
経済産業局の官民合同チームが対応
更なる拡大・成長を目指す中規模事業者
中小企業基盤整備機構やよろず支援拠点が対応
地域で安定・着実な成長を目指す小規模事業者
商工会議所、商工会、中小企業団体中央会が対応
事業再生が必要な事業者
専門性の高い課題解決が早期に必要になることから「中小企業活性化協議会」等の専門的な支援機関が対応
事業承継・引継ぎが必要な事業者
「事業承継・引継ぎ支援センター」との連携が必要
金融機関・各種の士業の役割
金融機関や各種の士業等は、あらゆる顧客が対象になり得ることから、規模、局面に限らず全域にわたる事業者が対象になります。
ガイドラインでは、首都圏や大都市圏に偏在している大手企業OBやコンサルタント、中小企業診断士等が地方の中小企業への伴走支援の重要な担い手として提示しています。
2022年5月31日に「経営力再構築伴走支援推進協議会」が設立され、支援を実施する各期間をつなぐハブ的な機能を担い、全国での伴走支援の実践から得られる事例の収集やノウハウの抽出、形式知化を図り、支援機関の能力向上を目指します。
支援の進め方
経営力再構築伴走支援は、対話と傾聴を通じて様々な専門知見を組み合わせながら事業者に気付きを促し、事業者が自らの考えと意思を持って自己変革できる力を引き出すことを目標に、支援者が支援の各段階において事業者に働きかけることが求められます。
この趣旨に沿った「支援の基本的な枠組み(流れ)」を示します。
外部の力の有効活用
「他人の力を借りずに自社だけで大丈夫・やり切る」と考えている中小企業の経営者は多いと思います。
「自立できる力」は企業の継続・発展には最も重要な要素です。
しかし、環境変化のスピードが速い現在・将来においては、自分の力だけでなく、他の力を借りることも必要になっています。
現在、コロナ禍の影響、原材料・資材費・人件費の高騰、人手不足もあり、政府(中小企業庁、金融庁等)から、補助金や資金調達など各種の中小企業支援策が実施されています。
当社では、政府の支援策の活用も含めて、経営相談に応じていますので、ご連絡下さい。
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