保証協会と代位弁済
創業間もなくて財務状況が安定しない会社の場合、銀行からの融資として「保証協会の保証」付き融資の可能性があります。この「保証協会」の設立の経緯、目的、実施内容を整理して紹介します。
保証協会の設立の経緯、目的、実施内容
設立の経緯
信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が事業資金を円滑に調達できるように支援するために設立されました。特に、信用力が乏しい創業間もない企業や財務状況が安定しない企業にとって、銀行からの融資を受けることが難しい場合があります。これを解消するため、各都道府県に信用保証協会が設立されました。
目的
信用保証協会の主な目的は、中小企業や小規模事業者が金融機関からの融資を円滑に受けられるように信用保証を提供することです。これにより、地域経済の活性化や雇用の創出、企業の成長を支援します。
実施内容
1 信用保証の提供: 中小企業や小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となることで、金融機関はリスクを軽減し、融資を実行しやすくなります。
2 経営支援: 信用保証を受けた企業に対して、経営相談や支援サービスを提供し、企業の成長をサポートします。
3 保証料の徴収: 保証を提供する代わりに、企業から保証料を徴収します。この保証料は、保証協会の運営費やリスクヘッジに充てられます。
保証協会の保証の範囲
保証協会は通常、融資の一定割合(例えば80%~100%)を保証します。具体的な保証割合や保証限度額は、各協会や融資の種類によって異なります。
一般的な保証割合
・全額保証: 一部の特定の条件を満たす融資については、全額保証(100%保証)を行うことがあります。
・部分保証: 多くの場合、80%~90%の保証が一般的です。つまり、融資額の80%~90%を保証し、残りの10%~20%は金融機関がリスクを負う形となります。
保証限度額
保証限度額は協会や融資の目的により異なりますが、一般的には数百万円から数億円規模の保証が行われます。具体的な限度額は信用保証協会の規定に基づき決定されます。
まとめ
信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が金融機関からの融資を受けやすくするために設立されました。保証協会は、融資の一定割合を保証することで、金融機関のリスクを軽減し、企業が必要な資金を調達するサポートを行っています。保証の具体的な内容や割合、限度額は協会や融資の種類によって異なるため、詳細については各信用保証協会に確認することをお勧めします。
保証付き融資のメリットとデメリット
メリット
1 融資の獲得が容易になる
・信用保証協会が保証人として支援するため、金融機関はリスクを軽減し、通常よりも融資を実行しやすくなります。特に創業間もない企業や信用力が乏しい企業にとっては大きなメリットです。
2 低金利での融資が可能
・信用保証協会の保証があることで、金融機関はリスクを抑えられるため、通常よりも低金利で融資を提供することが可能になります。
3 経営支援を受けられる
・信用保証協会は、保証を提供するだけでなく、経営に関するアドバイスや支援を提供します。これにより、企業は経営改善や成長を図ることができます。
4 資金調達の多様化
・保証付き融資を利用することで、企業は自己資金や他の資金調達手段と組み合わせて資金を確保し、事業拡大や運転資金の確保を図ることができます。
デメリット
1 保証料の負担
・信用保証協会に保証を依頼するためには保証料が必要です。この保証料は融資額に対して一定割合で計算され、企業にとっては追加のコストとなります。
2 審査が厳しい
・信用保証協会は、保証を提供する前に企業の財務状況や事業計画を詳細に審査します。この審査が厳しいため、全ての企業が保証を受けられるわけではありません。
3 手続きが複雑
・保証付き融資を受けるためには、信用保証協会と金融機関の両方で手続きを行う必要があります。このため、通常の融資に比べて手続きが複雑で時間がかかる場合があります。
4 信用リスクの管理が必要
・保証付き融資を受ける企業は、信用保証協会との契約に基づき、定期的な報告や財務管理を求められることがあります。これにより、企業は信用リスクの管理を徹底する必要があります。
まとめ
保証付き融資は、中小企業や創業間もない企業にとって、資金調達の重要な手段となります。金融機関からの融資を受けやすくし、低金利での資金調達を可能にする一方で、保証料の負担や手続きの複雑さといったデメリットも存在します。企業はこれらのメリットとデメリットを理解し、自社の状況に応じた資金調達手段を選択することが重要です。
代位弁済の制度の説明
代位弁済とは
代位弁済とは、借入金を返済できなくなった場合に、信用保証協会が借入企業に代わって金融機関に対して返済を行う制度です。この仕組みは、企業が金融機関から借り入れを行う際に、信用保証協会が保証人となることで成り立っています。企業が返済不能に陥った場合、金融機関は信用保証協会から代位弁済を受けることができます。
代位弁済の流れ
1 企業が返済不能に陥る:
・企業が融資の返済を行えなくなると、金融機関は企業に対して返済の督促を行います。
2 代位弁済の請求:
・企業の返済が困難な場合、金融機関は信用保証協会に対して代位弁済の請求を行います。
3 信用保証協会が代位弁済を実行:
・信用保証協会は、金融機関に対して企業に代わって融資の残額を支払います。この際、金融機関は借入金の回収を信用保証協会に委ねます。
4 信用保証協会が債権者となる:
・代位弁済が実行された後、信用保証協会が企業に対する債権者となり、企業は信用保証協会に対して返済義務を負います。
代位弁済後の会社の返済方法
1 信用保証協会との返済計画の策定:
・企業は信用保証協会と相談し、返済計画を策定します。返済計画には、返済期間や返済額、返済方法などが含まれます。通常、分割払いでの返済が認められることが多いです。
2 利息や遅延損害金の支払い:
・代位弁済が行われた場合、信用保証協会に対して元金の返済だけでなく、一定の利息や遅延損害金が発生することがあります。これらの条件についても、返済計画に含められます。
3 財務状況の報告:
・信用保証協会は、企業の財務状況や事業計画を定期的に確認します。企業は定期的に財務報告を行い、返済能力を示す必要があります。
4 再交渉の可能性:
・企業が再び返済困難な状況に陥った場合、信用保証協会と再度交渉し、返済条件の変更や猶予を求めることができます。ただし、信用保証協会がこれを受け入れるかどうかは、企業の状況や過去の返済履歴に依存します。
まとめ
代位弁済制度は、企業が金融機関からの借入金を返済できなくなった際に、信用保証協会が企業に代わって返済を行う仕組みです。代位弁済が行われた後、企業は信用保証協会に対して返済義務を負い、返済計画の策定や定期的な報告が求められます。企業にとっては、代位弁済が最後の救済手段となるため、これに頼ることなく、健全な財務管理を行うことが重要です。