事業再生相談(3)町工場の廃業or継続
コロナ禍の影響、原材料費・人件費の高騰、人手不足、後継者不在など経営環境が悪化している中で、事業の継続が難しくなっている企業が増えてきています。
事業パートナーグループにも、事業再生や廃業の相談が増えています。
これらの相談の中の幾つかを紹介していきます。
経営課題をお持ちの企業の方々に「事業再生」や「先の姿が見える廃業」に向けた参考になれば幸いです。
企業の経営支援を行っている士業・コンサルタントで、解決が難しい案件がありましたらご相談を承ります。連携して対応することも可能です。
事業再生相談(3)町工場の廃業or継続
相談者
C社 製造業(部品加工)
相談内容
・自動車部品の製造業。創業から 30 年の町工場。
・自分も 68 歳となり、後継者もいない。
・工場の不動産は自分個人の物だが、担保も付いている。
・自宅の住宅ローンも少し残っている。
・現在、会社を廃業すべきか、継続すべきかを悩んでいる
現在の状況
・年商:6000 万円
・営業利益:△350 万円
・粗利益率:10%
・現・預金残高:600 万円
・借入金残高:1800 万円
・役員借入金残高:1400 万円
・役員報酬:360 万円
・自宅時価:3000 万円(住宅ローン残高:500 万円)
対策
(1) 家族での話し合い
廃業するにしても、継続するにしても、家族でしっかりと話し合って結論を出すこと。
話し合う内容は、
・これからの自分を含めた家族の人生・生活をどうしたいのか?
・現在の貯蓄財産でこれから生活ができるのか?
・会社を廃業した時に借金をどうするのか?
である。
(2) 廃業時の精算対策
・住宅ローンはこのまま返済を続ける。
・銀行の借入金は廃業の旨を伝え、工場不動産を売却して返済する。返済が不可であるならば長期の返済にする。
・期間は 1 年間程かける。
(3) 会社を継続する場合
・粗利益率は製造業は最低 20%、目標を 30%にすること。
それには、自社の強みである「技術」を明らかにして、販売先に理解してもらうことが重要。
・今後の製造業で中小零細企業は量産は不可能なので、技術力が必須となる。
大手は、IT 技術を使い生産性を上げてくるので、中小零細企業は「手間のかかる付加価値の高い仕事」をしなければ淘汰される。
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