M&A・PMI(5)「経営管理と収益シナジー」課題と取り組み - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

M&A・PMI(5)「経営管理と収益シナジー」課題と取り組み

M&A成立後の「PMI」について5回シリーズで紹介します。

(1)M&A成功のカギ「PMI」とは何か

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(2)「人と組織文化の統合」課題と取り組み

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(3)「業務・システム統合」課題と取り組み

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(4)「顧客・取引先との関係維持」課題と取り組み

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(5)「経営管理と収益シナジー」課題と取り組み:今回

(5)「経営管理と収益シナジー」課題と取り組み

M&Aの最終目的は「企業価値の向上」と「持続的な収益の確保」です。契約が成立し、人材・システム・顧客の統合が進んでも、それだけでは十分ではありません。統合後の経営体制を整備し、具体的な収益シナジーを実現することで、初めてM&Aは「成功」と言えます。本記事では、PMIの最終段階である「経営管理と収益シナジー」の課題と取り組みを整理します。

経営管理と収益シナジーとは何か

PMIの初期段階では、混乱を避けるために現状維持を優先することもあります。しかし、一定期間が経過したら「新しい組織として、どう収益を上げていくか」という段階に入ります。ここで重要なのが、経営管理体制の整備と収益シナジーの実現です。

経営管理とは、統合後の企業を一つの組織として管理し、意思決定や業績評価を一貫して行う仕組みを作ることです。収益シナジーとは、統合によって売上を伸ばしたり、コストを削減したりする効果を実現することを意味します。

経営管理における課題

1 KPI・目標管理の不統一

 統合前の企業ごとに目標設定の基準や評価方法が異なるため、全体最適の指標が作れない。

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、企業や事業の目標達成度を測るための具体的な数値指標です。売上高や利益率、生産性、顧客満足度などを設定し、進捗や成果を客観的に評価します。

2 意思決定プロセスの曖昧さ

 誰が何を決定するのかが不明確なまま統合が進むと、現場が混乱する。

3 ガバナンス体制の未整備

 内部統制や承認ルールが統一されていないと、不正やミスが発生しやすくなる。

収益シナジー実現における課題

1 コスト削減の限界

 初期のコスト削減は容易でも、その後の持続的な効果を出すには工夫が必要。

2 売上拡大の難しさ

 統合すれば自動的に売上が伸びるわけではなく、明確な営業戦略が必要。

3 新商品・新市場開拓の遅れ

 統合後に新しいチャレンジが後回しになると、成長機会を逃してしまう。

成功に向けた取り組み

1. 経営指標(KPI)の統一と見える化

統合後の企業全体としてのKPIを設定し、売上・利益・生産性・顧客満足度などの指標を一元管理します。ダッシュボードなどを活用し、経営陣と現場が同じ情報を共有できる体制を整えます。

2. 意思決定プロセスの明確化

経営陣・部門長・現場の役割分担を明確にし、「誰が何を決めるか」を定義します。権限と責任の所在を明らかにすることで、迅速で正確な判断が可能になります。

3. ガバナンス・内部統制の整備

承認ルール、会計処理、契約管理などのガバナンス体制を統一します。特に中小企業では、統合によって内部統制が形骸化しやすいため、チェック体制を強化することが重要です。

4. コスト削減と業務効率化の継続

人員配置や仕入先の見直し、システム統合による効率化など、継続的なコスト削減の取り組みを行います。短期的な「削るだけ」の施策ではなく、持続的な効率化を意識します。

5. 売上拡大のためのシナジー戦略

統合によって新しい顧客層にアプローチしたり、商品ラインアップを拡充したりする戦略を立てます。営業チームの連携やクロスセル(既存顧客への他商品販売)なども有効です。

6. 中長期的な成長シナリオの策定

M&Aの成果は短期だけでなく、中長期の成長につながるかが重要です。3年~5年先を見据えた事業計画を策定し、統合後の成長戦略を明確に描くことが成功への鍵となります。

成功事例と失敗事例の違い

成功する企業は、統合直後から「どのように収益を上げるか」という視点を持ち、KPIや収益戦略を設計しています。ガバナンス体制を整え、経営情報をタイムリーに把握し、成長のための投資と改革を進めています。

一方、失敗する企業は、統合後に「とりあえず現状維持」を続けてしまい、成長のきっかけを逃します。数字の管理が不十分で、どこに問題があるのか分からず、いつの間にか業績が悪化してしまうこともあります。

M&Aの最終段階である「経営管理と収益シナジー」は、M&Aの真の成果を左右します。統合後の経営体制を整備し、持続的な利益を生む仕組みを作ることで、初めてM&Aは「成功」と言えます。

株式会社事業パートナー九州では、M&A後の経営管理体制の構築、KPIの設計、コスト削減・売上拡大のための収益シナジー戦略まで、総合的な支援を行っています。「統合後の経営をどう管理すべきか分からない」「シナジーをどう実現すべきか悩んでいる」といった経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の成長に向けた最適なプランをご提案いたします。

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