2026年の世界10大リスク:ドンロー主義
2026年の年頭に「ユーラシア・グループ」から「2026年世界10大リスク」が公表されています。
これを読んで、日本の将来、それに関する自分の身近な将来に関して非常に恐ろしさを感じました。
興味がある方はぜひ読んでください。
2026年世界10大リスク
リスクNo.1:米国の政治革命
リスクNo.2:「電気国家」中国
リスクNo.3:ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)
リスクNo.4:包囲される欧州
リスクNo.5:ロシアの第二の戦線
リスクNo.6:米国式国家資本主義
リスクNo.7:中国のデフレ
リスクNo.8:ユーザーを食い尽くすAI
リスクNo.9:USMCAのゾンビ化
リスクNo.10 :水の武器化
これらの中で、今回は、私が最も懸念している「No.3 ドンロー主義」について紹介し、日本の立場について考えてみました。
1.「ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)」の要約
(1)ドンロー主義とは何か
「ドンロー主義」とは、トランプ政権が復活・再解釈した「モンロー主義(19世紀の西半球支配原理)」を、
21世紀型・トランプ流に拡張した地政学ドクトリンです。
従来のモンロー主義が
「欧州列強は米州に介入するな」という消極的な排他原理であったのに対し、
ドンロー主義は、
・中国・ロシア・イランなど非西側勢力の排除
・軍事力・制裁・経済圧力の積極的行使
・同盟・友好国であっても米国の意向に従わない場合は圧迫
・トランプ個人の政治的・感情的判断が政策に反映されやすい
という、極めて能動的かつ恣意的な覇権行動を特徴としています。
(2)最大の問題点
このドンロー主義の本質的リスクは、
・米国が「国際秩序の管理者」から「自国の勢力圏を最優先する大国」へ転換
・多国間主義・国際ルールが軽視される
・同盟国であっても「条件付き保護」の対象になる
という点にあります。
つまり、米国自身が既存の国際秩序を不安定化させる存在になることが、2026年の世界における重大リスクと位置づけられています。
2.日本への影響 ― 特に「中国」との関係を中心に
(1)日本が置かれる構造的位置
日本は、
・安全保障:米国に大きく依存
・経済・貿易:最大の貿易相手国は中国
・地政学:米中対立の最前線に近い位置
という二重依存・板挟み構造にあります。
ドンロー主義の進行は、日本に対して「どちらの陣営にどこまでコミットするのか」という戦略的選択を迫る圧力を強めます。
(2)中国への影響と日本への波及
ドンロー主義の下で、中国は次のような行動を強める可能性が高い。
・米国の影響が弱まる地域(グローバルサウス)への浸透
・経済圏・サプライチェーンの中国主導化
・台湾・東シナ海を含む周辺海域での存在感強化
その結果、日本は、
・経済面では中国依存を簡単に断ち切れず
・安全保障面では米国依存が相対的に不安定化
という戦略的ジレンマに直面します。
3.日本の対応シナリオ(1)
「従来通り、米国との同盟関係を強化する」
想定される実施内容
・日米安保体制のさらなる強化
・防衛費増額・装備の米国依存継続
・台湾海峡・南西諸島での協力明確化
・対中政策で米国と歩調を合わせる
メリット
・短期的な安全保障の確保
・抑止力の明確化による中国牽制
・外交・防衛政策の予測可能性が高い
デメリット
・米国の政策変更リスクをそのまま受ける
・日本独自の外交余地が縮小
・中国からの経済的報復リスク増大
・「属国化」批判の高まり
4.日本の対応シナリオ(2)
「アメリカを頼らず、自力の展開を行う」
想定される実施内容
・防衛力・抑止力の抜本的強化
・防衛産業・サイバー・宇宙分野への投資
・資源・エネルギー・食料の自給率向上
・経済安全保障の内製化
メリット
・国家主権の強化
・米国政権交代リスクの低減
・中長期的な戦略的自立
デメリット
・膨大な財政負担
・国民的合意形成の困難さ
・周辺国との緊張激化
・短期的には安全保障の空白が生じる可能性
5.日本の対応シナリオ(3)
「政治的課題を抱えつつも、中国との連携を深める」
想定される実施内容
・経済・技術分野での協調関係維持
・東アジア地域協力の枠組み強化
・米中の間でのバランス外交
・安全保障と経済を切り分けた対応
メリット
・経済的安定の確保
・地域紛争の緩和
・アジアにおける調整役としての地位確立
デメリット
・米国との信頼関係低下
・中国依存の深化リスク
・価値観外交との矛盾
・台湾問題などで難しい選択を迫られる
6.総合評価 ― 日本に求められる現実的戦略
結論として、日本が取るべき方向は、3つの選択肢の「いずれか一択」では難しい状況です。
現実的には、
・安全保障:米国同盟を基軸としつつ
・経済・技術:中国を含む多角化を進め
・中長期:自立能力を段階的に高める
という「ハイブリッド戦略」が不可避と思います。
ドンロー主義が示しているのは、「もはや米国は無条件で世界を守らない」という現実です。
この新しい時代において、日本には依存から戦略へ、追随から選択へ転換する覚悟が求められています。
※本稿は、ユーラシア・グループ「2026年世界10大リスク」
リスク No.3 ドンロー主義(トランプ版モンロー主義)
の内容を基に、日本向けに再構成・考察したものです