事業再生の手法(3)スポンサーの支援を受ける事業再生
~資金だけではない、企業再生を成功に導く重要なパートナー~
前回の記事では、当社が取り組む私的整理の支援内容について説明しました。
事業再生というと、多くの方は「金融機関への返済条件変更」や「債務の整理」をイメージされるかもしれません。しかし、実際の事業再生では、それだけで会社が再建できるとは限りません。
特に近年は、
- 人材不足
- 営業力不足
- 後継者不在
- 技術開発力不足
- 販路不足
など、資金以外の経営課題を抱える企業が増えています。
このような場合に有効な手法が、「スポンサー型事業再生」です。
スポンサー型事業再生とは、第三者である企業や投資ファンドなどが支援に入り、資金や経営資源を提供しながら再建を目指す方法です。事業再生ガイドラインや民事再生、中小企業活性化協議会の案件でも活用されることがあります。
今回は、このスポンサー型事業再生について解説します。
これまでの事業再生の手法に関する記事
なぜスポンサー支援が重要なのか
事業再生が必要になる企業の多くは、単純な資金不足だけではなく、経営基盤そのものが弱体化しています。
例えば、
- 売上はあるが営業人材が不足している
- 技術力はあるが販路がない
- 優れた商品があるが資金がない
- 顧客はいるが後継者がいない
というケースです。
このような場合、金融機関から返済猶予を受けても、根本的な問題は解決しません。
そこで必要になるのがスポンサーの支援です。
スポンサーは単なる資金提供者ではありません。
多くの場合、
- 資金
- 人材
- 技術
- 販路
- 経営ノウハウ
- ブランド力
を持っています。
再生企業はこれらの経営資源を活用することで、単独では実現できなかった成長や再建を目指すことができます。
スポンサーにもメリットがある
スポンサー支援は再生企業だけが得をする仕組みではありません。
スポンサー企業にとっても大きなメリットがあります。
例えば、
- 新規顧客の獲得
- 新たな販売チャネルの確保
- 技術力の獲得
- 優秀な人材の確保
- 地域市場への進出
などです。
例えば、地方で高い技術力を持つ金属加工会社が資金不足で苦しんでいる場合、大手メーカーや同業企業がスポンサーとなることで、
- 技術力を獲得できる
- 生産能力を拡大できる
- 新たな顧客を取り込める
といった相乗効果(シナジー)が期待できます。
スポンサー型再生は、単なる救済ではなく、「双方にメリットがある事業提携」と考えるべきでしょう。
スポンサー型再生の2つの形態
スポンサー型再生には、大きく分けて
(1)譲渡型
(2)参加型
の2つがあります。
(1) 譲渡型スポンサー支援
譲渡型とは、スポンサーが再生企業の経営権を取得する方法です。
主な方法として、
株式譲渡
既存株主が保有する株式をスポンサーへ譲渡します。
スポンサーが新たなオーナーとなり、経営権を取得します。
債務の株式化(DES)
金融機関などの債権を株式に転換し、その株式をスポンサーが取得するケースもあります。
第二会社方式
優良事業のみを新会社へ移転し、その新会社にスポンサーが出資する方法です。
不採算部門や過剰債務は旧会社に残し、優良事業を存続させます。
<経営者の立場>
譲渡型では、スポンサーが経営権を取得するため、
- 経営者が退任する
- 会長や顧問になる
- 一定期間残留する
など様々なケースがあります。
一般的には経営権はスポンサー側へ移ります。
そのため、「会社を残したい」という考えが最優先となります。
(2)参加型スポンサー支援
参加型とは、スポンサーが経営に参加するものの、既存経営者が引き続き経営を行う方法です。
例えば、
- 増資による出資
- 資本業務提携
- ファンド出資
などがあります。
スポンサーは資金を提供しながら経営改善を支援します。
<経営者の立場>
参加型の場合、経営者は引き続き会社経営を行うことができます。
ただし、
- 取締役の派遣
- 経営会議への参加
- 月次報告義務
など、スポンサーの関与は強くなります。
完全な自由経営ではなくなりますが、その分、
- 経営ノウハウ
- 営業支援
- 人材支援
を受けられるメリットがあります。
スポンサー型再生の対象となる企業
スポンサーは慈善事業で支援するわけではありません。
そのため、どの企業でもスポンサーが見つかるわけではありません。
スポンサーが支援したいと思う企業には共通点があります。
(1)優れた技術や商品がある
- 独自技術
- 特許
- ブランド
- ノウハウ
などがある企業です。
(2)優良な顧客基盤がある
長年取引している顧客や安定した販売先を持つ企業は高く評価されます。
(3)地域で重要な役割を担っている
地域雇用や地域産業を支える企業もスポンサー候補から注目されます。
(4)経営課題が明確である
スポンサーが最も嫌うのは、「何が問題なのかわからない会社」です。
一方で、
- 過大債務
- 後継者不足
- 一時的な資金不足
など原因が明確な会社は再建しやすいと判断されます。
スポンサー企業の探し方
スポンサー探しは、事業再生の成否を左右する重要な活動です。
主な候補を示します。
同業他社
最も相乗効果を期待しやすい相手です。
取引先企業
仕入先や販売先がスポンサーになるケースもあります。
投資ファンド
再生案件を専門とするファンドもあります。
M&Aネットワーク
M&A仲介会社や専門家ネットワークを活用して探す方法もあります。
当社の取り組み
当社では、事業再生の初期段階から、
- スポンサー型再生の可能性
- M&Aによる事業承継
- 第二会社方式の活用
などを検討しています。
特に中小企業の場合、「金融機関との調整だけでは再生できない」ケースも少なくありません。
そのため、
- 再生可能性の分析
- スポンサー候補の選定
- M&A支援
- 金融機関との調整
を総合的に進めています。
まとめ
スポンサー型事業再生は、単なる資金調達ではありません。
スポンサーが持つ、
- 人材
- 技術
- 販路
- 経営ノウハウ
を活用しながら企業価値を高める再生手法です。
また、スポンサー側にも大きなメリットがあり、双方の強みを活かした再建が可能になります。
事業再生を検討する際には、「借入の整理」だけではなく、「誰と組めば会社の強みを最大限活かせるのか」という視点を持つことが重要です。
当社では、私的整理、スポンサー支援、M&Aを組み合わせながら、中小企業に最適な再生方法をご提案しています。
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