事業再生の手法(4)事業再生型M&Aという選択肢
会社を残し、従業員を守り、企業価値を最大化する出口戦略
事業再生というと、多くの経営者は「借入金の返済条件変更」や「金融機関との交渉」をイメージされるかもしれません。
しかし、事業再生の最終的な目的は、単に借入金を整理することではありません。
本来の目的は、
- 事業を残すこと
- 雇用を守ること
- 取引先との関係を維持すること
- 企業価値を高めること
です。
その実現手段の一つとして近年注目されているのが、「事業再生型M&A」です。
以前は、M&Aというと業績が好調な会社が行うものというイメージがありました。しかし現在では、経営不振企業や後継者不在企業の再生手法としても活用されるようになっています。
今回は、事業再生型M&Aについて、その考え方と当社の取り組みをご紹介します。
これまでの事業再生の手法に関する記事
事業再生型M&Aとは
事業再生型M&Aとは、経営不振や財務問題を抱えた企業が、第三者へ事業や株式を承継することで再建を図る方法です。
通常のM&Aとの違いは、「会社を高く売ること」だけではなく、「会社を存続させること」が大きな目的となる点です。
例えば、
- 債務超過になっている
- 借入金が過大である
- 後継者がいない
- 経営者が高齢化している
- 一時的な業績悪化がある
という企業でも、事業自体に価値があればM&Aによる再生が可能です。
なぜ事業再生型M&Aが増えているのか
近年、中小企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
特に、
- 人手不足
- 原材料価格高騰
- 金利上昇
- 後継者不足
の影響は深刻です。
経営者の高齢化も進み、「会社を続けたいが、自分の代で限界を感じている」という相談が増えています。
一方で、
- 技術力がある
- 顧客基盤がある
- 地域で必要とされている
企業は数多く存在します。
このような企業を存続させるための手段として、事業再生型M&Aが注目されているのです。
事業再生型M&Aのメリット
(1) 会社を残すことができる
最大のメリットは、事業を継続できることです。
破産や清算の場合、
- 会社は消滅
- 従業員は解雇
- 取引先にも影響
が発生します。
一方、M&Aであれば、
- 事業継続
- 雇用維持
- 顧客維持
が可能になります。
(2) 従業員を守ることができる
中小企業では、「従業員を路頭に迷わせたくない」という理由で相談される経営者も少なくありません。
M&Aによって買手企業へ事業が承継されれば、従業員の雇用維持につながります。
(3) 取引先との関係を維持できる
事業再生型M&Aでは、
- 既存顧客
- 仕入先
- 協力会社
との取引を継続できる可能性があります。
これは地域経済への影響を最小限に抑えることにもつながります。
(4) スポンサー支援を受けられる
前回の記事で紹介したスポンサー型再生と同様に、
- 資金
- 人材
- 販路
- 技術
などの支援を受けることができます。
買手企業が持つ経営資源を活用することで、単独では実現できなかった成長が期待できます。
事業再生型M&Aが成功しやすい企業
事業再生型M&Aは、どの企業でも成功するわけではありません。
しかし、次のような企業は再生可能性が高いと考えています。
(1) 強みが明確な企業
例えば、
- 独自技術がある
- 特許を持っている
- ブランド力がある
- 特定分野で高いシェアを持つ
企業です。
(2) 顧客基盤がある企業
一時的に業績が悪化していても、
- 長年の取引先
- 安定顧客
- 継続契約
がある企業は高く評価されます。
(3) 地域で重要な役割を持つ企業
地域の雇用や産業を支える企業も買手企業から注目されます。
当社の考える事業再生型M&A
当社では、事業再生の出口戦略としてM&Aを活用する場合、「今すぐ売る」ことは基本的におすすめしていません。
なぜなら、企業価値が低い状態で売却すると、経営者にとって不利な条件になることが多いからです。
そこで当社では、「企業価値を高めてから売る」という考え方を重視しています。
当社の支援プロセス
事業再生型M&Aを進める場合、当社では次の流れで支援を行います。
Step1 目標設定
まず、
- 売却時期
- 希望売却価格
- 従業員の処遇
- 経営者の今後
などを整理します。一般的には6か月~3年程度の期間を設定します。
Step2 現状分析
次に、
- 財務分析
- 事業分析
- 市場分析
- 競合分析
を行います。
そして、「なぜ評価が低いのか」を明確にします。
Step3 課題設定
例えば、
- 利益率が低い
- 特定顧客依存
- 管理体制が弱い
- 人材不足
などの課題を整理します。
Step4 改善策の立案・実行
ここが当社の最も重要な支援です。
具体的には、
- 利益率改善
- 不採算事業整理
- 販路拡大
- DX導入
- 人材育成
- 管理体制整備
などを進めます。
場合によっては、
- 補助金活用
- 資金調達支援
- スポンサー探索
も行います。
Step5 評価と追加改善
改善結果を定期的に確認し、さらに企業価値向上策を実施します。
このサイクルを繰り返しながら、M&A市場で評価される企業へ育てていきます。
当社の強み
当社は単なるM&A仲介会社ではありません。
これまで、
- 経営改善支援
- 事業再生支援
- 廃業支援
- 資金調達支援
に取り組んできました。
そのため、「売るためのM&A」ではなく、「企業価値を高めるための経営改善」から支援できることが強みです。
特に中小企業の場合、M&Aの成否は売却前の準備で決まると言っても過言ではありません。
まとめ
事業再生型M&Aは、単なる会社売却ではありません。
会社を残し、
- 従業員を守り
- 取引先を守り
- 地域経済を守り
ながら、経営者にとっても最良の出口を実現する手法です。
そして、その成功の鍵は、「売る前の改善活動」にあります。
当社では、事業再生とM&Aを一体的に捉え、企業価値向上から売却支援までを総合的にサポートしています。
「今すぐ売却するべきか」
「まず改善してから売却するべきか」
その判断も含めて、経営者の皆様と一緒に最適な出口戦略を考えていきたいと思います。
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