事業承継・M&A・廃業 2020年(2) - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

事業承継・M&A・廃業 2020年(2)

本記事は、以前のホームページに記載したものを整理したものです。

【1】事業承継トラブル・チェックシート

(20201003)

現在、「後継者不在」や「新型コロナウィルス感染拡大による先行きの不透明」などで、会社や事業の譲渡(M&A)を考えている経営者が増えています。

自社を高く売るためには、「企業価値」を高める必要があります。「売上・利益」「ビジネスモデル」「優秀な人材」などの他に、「法律を順守しているか?」「決められたことがきちんとやれているか?」などのコンプライアンスの実行も企業価値の評価対象になります。

日本弁護士会は、2020年7月に「事業承継トラブル・チェックシート」の改訂を行っています。【現経営者向け】と【後継者向け】に分けてまとめています。

M&Aの検討の有無にかかわらず、トラブルを未然に防ぐために、このシートでの現状確認と必要に応じた対応を行って下さい。

 

<現経営者向け>

 

これまでの会社運営が要因となった起こるトラブル

Q1 株主が不明確なために起こるトラブル

1 会社の株主が誰なんかを把握している

2 株主名簿に記載されている株主と実際に出資をした者が一致している

Q2 経営がルールに沿っていないために起こるトラブル

3 これまで重要なことは取締役会や株主総会を開いて決めてきた

4 従業員には残業代を全額支払っている

Q3  株式の譲渡や相続に関するルールを決めていないために起こるトラブル

5 定款上、株式譲渡には取締役会での承認が必要とされている

6 定款上、株式を相続した者に売渡しを求めることができる

Q4  会社の財産と個人の財産が区別されていないために起こるトラブル

7 本社・工場の敷地や建物は全て会社名義となっている

8 自分と会社の貸付金や負債は多くなく、内容も貸借対照表に正確に記載されている

 

相続や贈与が要因となって起こるトラブル

Q5  相続によって株式が分散するために起こるトラブル

1 自分が死んだ場合、誰が株式を相続するか決まっている

2 相続人が複数いる場合、株式は法定相続分に応じた数で当然に分割されないことを知っている

Q6  相続や贈与で財産を集約し過ぎるために起こるトラブル

3 後継者だけに財産を生前贈与すると、どのようなリスクがあるか知っている

4 後継者だけに財産を相続させる遺言には、どのようなリスクがあるか知っている

Q7  遺言の効力を十分理解していないために起こるトラブル

5 公正証書による遺言でも、無効になる場合があることを知っている

6 誰が借金を引き継ぐか決めるには、遺言だけでは不十分であることを知っている

 

親族以外の第三者に事業承継をするケースでのトラブル

Q8  検討段階での準備が不十分なために起こるトラブル

1 第三者との交渉に当たり、自社の企業秘密などを守る必要があることを知っている

2 交渉相手と同じ仲介業者に依頼すると、どのようなリスクがあるのか知っている

3 契約書作成を業者に丸投げすると、どのようなリスクがあるのか知っている

Q9  契約内容の理解や検討が不十分なために起こるトラブル

4 表面保証責任という言葉の意味を知っている

5 事業承継をしても金融機関が個人保証を抜くとは限らないことを知っている

6 免責条項という言葉の意味を知っている

7 協業避止義務という言葉の意味を知っている

8 事業承継後に従業員や取引先が残るとは限らないことを知っている

Q10  M&A仲介・斡旋業者をめぐるトラブル

9 着手金だけでなく、月額報酬や中間報酬を確認する必要があることを知っている

10 成功報酬の算定方法を確認する必要があることを知っている

11 契約期間中に別の業者に依頼すると、契約違反になる場合があることを知っている

12 業者に依頼した後に業者を通さずに直接交渉すると、契約違反になる場合があることを知っている

 

相続や贈与に関する税金をめぐるトラブル

Q11  税金のことをよく知っていれば避けられたトラブル

1 毎年110万円の範囲内で株式を贈与しても、課税される場合があることを知っている

2 相続時精算課税制度のことを知っている

3 非上場株式の相続税や贈与税の優遇税制のことを知っている

 

信託の活用をめぐるトラブル

Q12  信託のことをよく知っていれば避けられたトラブル

1 事業承継に信託を活用できる場合があることを知っている

2 信託を活用しても、遺留分をめぐる争いが起きる場合があることを知っている

3 会社の顧問弁護士を信託の受託者にすると、問題があることを知っている

4 信託を活用すれば、生前に決めた順番で経営を引き継げることを知っている

 

<後継者向け>

 

承継の対象となった会社運営が要因となったトラブル

Q1 会社の株主が誰かが不明確で起こるトラブル

1 承継予定の会社の株主を把握している

2 現経営者の説明する出資内容と株主名簿の記載が一致している

Q2 承継予定の会社の経営状態を確認しなかったことにより起こるトラブル

3 承継予定の会社において実際に取締役会や株主総会が開催されていたことを把握している

4 承継予定の会社が従業員に残業代を全額支払っているのを把握している

Q3 株式の譲渡や相続に関するルールを決めていなかったことによって起こるトラブル

5 承継予定の会社において、定款上、株式の譲渡を行うにあたって取締役会決議が必要とされている

6 承継予定の会社において、定款上、株式を相続した者に株式の売渡しを求めることができる

Q4 承継予定の会社の財産と個人の財産が区別されていないために起こるトラブル

7 承継予定の会社の本社・工場の敷地や建物が全て会社名義となっている

8 承継予定の会社の貸借対照表上、オーナーからの借入金やオーナーに対する貸付金がいくらあるかを把握し、承継後の処理について取り決めをしている

 

相続や贈与で真の株主が誰か不明確となって起こるトラブル

Q5 相続した人から株式譲渡を受ける場合に起こるトラブル

1 相続人は誰であるかについて戸籍謄本等で把握している

2 遺産分割協議前に相続人からその法定相続分の株数(発行済み株式総数に法定相続分を乗じた数の株式)を譲り受ける旨の合意をすると、どのようなリスクがあるのかを知っている

Q6 遺言や贈与で株式を取得した人から譲渡を受ける場合に起こるトラブル

3 生前贈与で全ての財産を取得した人から株式の譲渡を受ける場合に、どのようなリスクがあるのかを知っている(特別受益)

4 遺言で唯一の相続財産である株式全部を相続した人から譲渡を受ける場合に、どのようなリスクがあるのかを知っている(遺留分)

5 死亡直前に作成された公正証書遺言で株式を相続した人から譲渡を受ける場合に、どのようなリスクがあるのかを知っている

6 民法が改正されて遺留分など相続に関する法律が、どのように改正されたかを知っている

 

親族以外の第三者が事業承継をするケースでのトラブル

Q7 事業承継を検討する段階でのトラブル

1 事業承継を打診してきた会社の経営状態について確認する前に当事者の間で一定の取決めをすることが普通であるのを知ってる

2 交渉相手と同じ仲介業者に依頼すると、どのようなリスクがあるのか知っている

3 契約書作成を仲介業者に丸投げすると、どのようなリスクがあるのかを知っている

Q8 デュー・デリジェンス(DD)に関するトラブル

4 DDについて、どのような目的で何をするのかを知っている

5 DDの進め方を具体的に知っている

6 DDの調査項目を具体的に知っている

7 DDの結果、色々問題点が発見された場合の対処法を知っている

Q9 事業承継の契約内容をめぐるトラブル

8 承継した会社に問題があった場合に、現経営者に責任追及できるような条項を契約書に入れている

9 競業避止業務がどのような義務であるのかを知っている

10 承継した会社の借入先金融機関から、現経営者に代わって個人保証を求められる可能性が高いことを知っている

11 承継後も従業員や取引先が引き続き残ってくれるとは限らないことを知っている

Q10 M&A仲介・斡旋業者をめぐるトラブル

12 成功報酬はもちろん、月額報酬や中間報酬についてもその額や計算方法も知っている

13 仲介業者から紹介された売主側と直接自由に交渉できないことを知っている

14 クロージング後に売主側との間で発生したトラブルを仲介業者が解決してくれることを期待していない

15 クロージング後に明らかになった売主側の表面保証違反により、対価が事実上減額されることになったとしても、仲介業者から成功報酬の一部を返還してもらえるとは限らないことを知っている

 

税金のことをよく知っていれば避けられたトラブル

Q11 株式譲渡による事業承継の場合に税金が原因で起こるトラブル

1 株式の譲渡価格が不相当に廉価である場合、株式の譲受人に贈与税がかかることがあるのを知っている

2 譲受人側に知らされていなかった未払いの税金の負担を求められたり、追加で税金が発生したりすることがあるのを知っている

 

 

【2】小規模M&A向けの保険*企業価値評価とセットで提供

(20201024)

東京海上日動火災保険は「日本M&Aセンター」傘下の「バトンズ」と提携し、小規模M&A向け保険を始めます。

*弊社は「バトンズ」の総合M&Aアドバイザーを務めています

買収後に発生した損害を補償する保険を企業の「デューデリジェンス(企業価値評価):DD」とセットで提供します。買主の買収前後の不安を抑え、小規模の事業承継を支援します。

両社は小規模な承継で発生しがちなトラブルに特化して「398,000円」の定額で「DD」と「保険」を提供します。東京海上とバトンズが保険契約を結び買主企業が被保険者になります。

買収金額が1億円以下のM&Aを対象に、2020年11月から開始します。買収後に発覚する簿外債務や未払い賃金などの財務や労務のトラブルに限定して「300万円」まで補償します。補償を充実させたい場合は任意で上乗せができます。

新型コロナウィルス感染拡大の影響による経営悪化で企業や事業の譲渡の増加が予測されています。小規模M&Aでは買収後の数百万のトラブルでも経営に大きな打撃を与えます。「企業価値評価」と「保険」の両面で円滑な承継を支援します。

 

 

【3】事業承継の新たな形:若手経営者候補に投資 ★サーチファンド

(20201108)

昨年(2019年)、弊社で「経営指導プロ養成講座(80時間研修)」を開催していた際に一人の若者が訪れてきました。買収を前提に●●関係の企業を探しているので、該当する企業があれば紹介して欲しいとのこと。

若者はアメリカの大学のMBAを修了し、地方銀行の「山口フィナンシャルグループ」が「ジャパン・サーチファンド・アクセラレーター(JaSFA):嶋津紀子社長)と共同で運営するファンドからの支援を受けて「サーチャー」として、将来有望な企業を探しているとのこと。買収する企業が決まれば、山口銀行から買収資金を融資してもらい、社長として企業を経営し、企業価値を高め、その後企業売却などで得た資金を銀行に戻す仕組みです。売却しなくて、そのまま経営者として残る方法もあります。この仕組みが「サーチファンド」と呼ばれるものです。

「サーチファンド」の特徴は、「企業」に投資するのではなく、まずは「サーチャー」という人に先行投資を行うことです。サーチャーは投資家から報酬を受け取りながら2年ほどかけて買収先を絞り、ファンドが株式を取得して株主になります。

彼とは、「経営指導プロ養成講座」を1日(8時間)だけ受講してもらい、その日の夜、講座の受講生と一緒に博多で会食をしました。その会食の場に、もう一人の「サーチャー」である「渡辺謙次」氏が加わりました。渡辺氏は、その後、2020年2月に北九州市の建設会社「塩見組」を、サーチファンド国内第1号案件として、経営権を取得しています。本年(2020年)6月にも、3人目のサーチャーの方が弊社に訪れて、同様に買収する会社の紹介を依頼されました。

 

 

 

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