経営改善・事業再生 2018年(3)・2019年
本記事は、以前のホームページに記載したものをまとめたものです。
【1】士業(専門家)の事業再生 ~AIで士業の仕事はなくなる~
(20180330)
昨年の12月に「税理士:92.5%、中小企業診断士:0.2%、この数字は?」と題して、近い将来に現在の士業の仕事の大部分がなくなることを投稿しました。
本日、届いた「月刊日本行政」の中に、「第四次産業革命時代に生き残る行政書士のあり方」と題した記事に同じことが書かれていました。
「行政書士」を中心に紹介しますが、他の士業、弁護士と中小企業診断士を除いて、ほとんどの士業(税理士、弁理士、公認会計士、社会保険労務士、司法書士)の仕事はなくなると書かれています。
まさか、「行政書士の会報」でこんな記事が出るとはびっくりです。
それだけ危機感を感じていることの証と思います。
各士業のAIなどで代替可能な業務範囲の比率
・行政書士:93.1%
・税理士:92.5%
・弁理士:92.1%
・公認会計士:85.9%
・社会保険労務士:79.7%
・司法書士:78.0%
・弁護士:1.4%
・中小企業診断士:0.2%
※野村総研・オックスフォード大共同研究より
電子申請の実現で士業が不要になる?
既に、ヨーロッパの「エストニア」では。国民のID(マイナンバー的なもの)を電子チップに格納し、各種の手続きに使用しています。
これにより、税理士や会計士が不要になっています。
「エストニア」だけでなく、ヨーロッパの各国は日本に比べ電子申請が進展しています。
当然、この流れは日本でも加速度的に推進されていきます。
その中で、恩恵を得るのは「IT企業」であり、士業が入り込む余地が少ないのが現状です。
中小企業支援では「認定支援機関」が有利
2012年に、中小企業庁が多様化・複雑化する経営課題を解決する専門家の区分として「経営革新等支援機関(認定支援機関)」を設けました。
現在、国の施策として通常の士業の支援を受けるよりも、認定支援機関の支援を受けた方が中小企業や小規模事業者にとっては多くのメリットを享受できるようになっています。
その理由は、認定支援機関ができる業務が、幾つかの士業の業務を包括していて、さらに、企業の経営を改善するなどのコンサルタント業務になっているからです。
現在、認定支援機関は「約27,000」あり、金融機関、商工会議所などの機関、士業では税理士と中小企業診断士です。
ちなみに、行政書士として「認定支援機関」になっているのは、「50程度」とのことで、当事務所は数少ない中の1つです。
「約27,000の認定支援機関」の中で、実際に「中小企業の経営改善業務」を実施しているのは、約10%の「2,700」。
その中で、有効な業務を提供しているのは約10%の「200~300」と言われています。
これは、申請しただけで業務を行っていない「税理士」が多いことによります。
*税理士は他の士業に比べて容易に認定される制度になっています。現在、質の高い認定支援機関にするために更新制の導入も検討されています。
加速する独占業務の無力化
2017年6月に「未来投資戦略2017」が閣議決定され、法人(株式会社など)設立の全手続きを「オンライン・ワンストップ化」で処理することを目標にしています。
当然、行政書士が担ってきた「定款認証(電子公証)」や、司法書士の独占業務である「商業登記」も含まれます。
これは、現在の各士業の独占業務の垣根を取り払うことを意味しています。
更にその後に公表された提言では、「建設業許可」や「契約執行」なども取り上げられ、あらゆる分野に広がっていくと思います。
行政書士(他の士業も)のあり方も変化せざるを得ない
新たな時代に生き残るためには、既成概念を取り払い、柔軟性や変化を受け入れる多様性が必要です。
IT(情報技術)を使いこなす力を強化し、
これまでの独占業務は「作業」と割り切り、
IoTやAIへの置き換わりを受け入れて十分に活用し、
自らは「創造的な仕事」に注力することが求められます。
例えば、「財務会計の知識」、「情報収集・分析などのスキル」を習得し、「課題解決能力」「ヒアリング力」などを高めることが必要です。
これにより、従来の行政書士の業務をベースに、中小企業の経営改善のコンサルを実施することができます。
今回の行政書士の会報に書かれていることは、「当社の目指す方向」と一致しています。
現在の士業界は正にサムライにとっての幕末です。
独占業務という刀にこだわらず、新たな海に漕ぎ出す決意が必要です。
ダーウィンの言葉のように、
「環境の変化で生存するのは、強い者でも、賢い者でもなく、環境に適応できる者だけ」です。
【2】コンパクトシティ~人口減への対応~
(20180410)
前回、少子高齢化による人口減少、東京を中心とした都市への人口移動、これによる地方での「空家」「所有者不明の土地」の増加の問題と最近の政府などの動きを紹介しました。
今回は、この人口減少に伴う「街づくり」について紹介します。
ポイントは、「集中(コンパクト化)」「効率化(有効利用)」です。
コンパクトシティー
コンパクトシティーとは、人口増加の時代に広がった市街地を人口減少社会の身の丈にあったサイズに戻そうというものです。
この概念は以前から提唱され、実際に取り組んでいる自治体もあります。
ここ数年は、人口減少及び高齢者の増加により、検討を急がなければならない事態になっています。
なぜコンパクトシティーが必要か?
コンパクトシティーが必要な理由として次の3点があります。
①.高齢者の利便性の確保
②.上下水道、電気、ガスのインフラの整備・改修
特に水道管の多くが更新が必要な時期になっています。
③.ゴミ収集などのコスト低減
高齢者を便利な場所に
生活インフラ(買物・医療・福祉・娯楽など)を交通の便が良い駅の近くに集中させ、その近くに高齢者用の居住環境(マンション、介護施設)を整える考えがあります。
郊外の一軒家に高齢者だけが居住していると、買物や通院の足に問題があり、また、急病やケガへの対応も遅れてしまいます。
現在も駅の近くに「高齢者向けのマンション」が見られますが、今後は更に「ワンルームマンション」が増えることが予測されます。
郊外の空いた一軒家を子育て世代に
高齢者が、駅の近くなどの便利の良い場所に移転して空いた一軒家は、子育て世代用に改装して、売家や賃貸住宅にすることも考えられます。
収入が比較的少ない若い世代の手が届く価格にできれば広がりが期待できます。
九州の状況
2017年3月末時点で、全国で「106都市」で、コンパクトシティーにつながる「立地適正化計画」の具体的な取り組みを行っています。
九州・沖縄では「11都市」が計画の作成・公表を行っています。
福岡県では、北九州市、久留米市、飯塚市、行橋市です。
北九州市は、都市機能誘導区域(店舗、病院、役所などを集約)として、小倉都心や黒崎副都心などの12地域を選定し、大型商業施設、市役所・区役所などの市の拠点、病床200床超の病院や大学を誘致する計画になっています。
また、居住誘導地域(住宅を誘導する)は、約9500ヘクタールの市外地区域のうち、約5600ヘクタールを選定し、区域内への転入を支援する制度が盛り込まれています。
人口減少社会において、街のコンパクト化は不可欠です。
住民の協力を得ながら、適正な規模に街を作り変えていく動きが今後さらに進められていくでしょう。
【3】製造業の事業再生~財務と事業の現状分析から解を~
(20190217)
当社(株式会社 事業パートナー九州)では、(市場価値のある)経営コンサルタントの養成講座を開設しています。
2019年2月22日(金)と23日(土)に「製造会社の事業再生」に関する次の講座を行います。
「製造会社の事業再生・現場改善」は、当社の強みの商品として展開していきます。
●22日(金):製造業での事業再生
工場診断:ムダの発見とムダ取りのコツ
講師として「ソニーで現場改善」に取り組んでいた「中小企業診断士の金谷貴生先生」をお迎えします。
金谷先生は、世界的な企業が採用している「シックスシグマ(品質管理手法・経営手法)」の推進者でもあります。
*シックスシグマに関しては別の機会で紹介します
現在、ソニー時代の経験を活かし、現在、多くの製造会社の事業再生に取り組んで効果を上げています。
当社では、金谷先生と連携して(バックアップを受けて)、更に九州内外の専門家と連携して、「製造会社の立て直しや発展」に貢献する事業を推進しています。
<基本的なステップ>
① 経営状況の把握:貸借対照表・損益計算書の分析
・経費上のムラ・ムダを把握します
・業界状況・競合状況も併せて分析し、将来性を把握します
② 製造現場の観察・分析
・製造(生産)のフロー(工程)と現場観察、ヒアリング等により現状を把握します
③ 上記の現状分析から、主要課題を抽出し、その改善策を検討します
・改善策を「売上・利益」と整合させて計画書に落とし込みます
●23日(土):5S活動の基礎と社内全体への応用
製造会社だけでなく各会社共通ですが、「会社の体質強化」の基礎は「5S活動」です。
*「5S活動」に関しては、本ホームページで特集的に紹介しています。
今回は、製造会社勤務時代の「5S活動委員会」の経験から代表の太田が講座を担当します。
「5S活動」は、「一般社員の意識改革に有効で一般社員の活動」と思われている経営者が多いですが、「経営者自らが強い決意を示し、継続的に支援する体制・風土」ができないと必ず失敗します。
<5S活動の成功による2つの効果>
① 利益の増加
・信用力が高まり、売上拡大
・ムダがなくなり費用削減
② 貫く力の醸成
・簡単な5S活動を続けることで貫く力の醸成につながります
<5S活動ができて他のマネジメント手法ができる>
「かんばん方式」「シックスシグマ」「ISO」「TPM」「TQM」など製造会社に関する各種のマネジメント手法があります。
*TPM:Total Productive Maintenance (総合的設備管理)
*TQM:Total Quality Management (総合的品質管理)
専門会社に依頼して導入をされている会社は多いと思いますが、その成果は出ていますか?
基礎の「5S活動」ができていないとこれらを導入しても形だけになり、利益増や社員の能力アップにならず、いずれ機能しなくなります。
各手法とも、根本的な考えは「5S活動」に通ずるものがあります。
「5S活動」を当たり前にできる会社を目指しましょう、お手伝いします
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