新規事業(商品・サービス)の効率的な立上げ
コロナ禍、原材料・資材高騰、エネルギー費アップ、人手不足、働き方改革(残業規制)、後継者不在・・・、様々な外部要因により、既存事業に影響が出て、事業の見直し、場合によっては、M&A、廃業の検討に迫られている企業が多くあると思います。
政府も、「事業再構築」「カーボンニュートラル」「DX:デジタルトランスフォーメーション」「事業承継(M&A)」などに対して、補助金や支援プログラムの供給など、様々な施策を打っています。
事業再構築をはじめ、あらゆる業種・企業において、「新規事業(商品・サービス)」の立上げは待ったなしの状況です。
今回、「新規事業をカタチにする9つのプロセス」、特に考え方を紹介します。
キーワードは「顧客ニーズ」です。
なお、本記載の内容は、定期購読している日経BP社発行の「日経トップリーダー」に連載されている、
新規事業家「守屋実」様
が記載されているものを中心に紹介します。
顧客ニーズを起点・中心にして、事業のステップを9つに分けて説明しています。
(1)満たされていない顧客のニーズを探る
(2)顧客のニーズを満たす商品・サービスを考える
(3)なぜ(1)の顧客ニーズが満たされないまま放置されてきたのかを考える
(4)どうして(2)の商品・サービスがこれまで提供されてこなかったのかを考える
(5)商品・サービスを顧客にとって便利な方法で届ける
(6)商品・サービスを、より良くするためのフィードバックをもらい改善する
(7)新たな顧客のニーズを探る
(8)そのニーズを満たす商品・サービスを考える
(9)他社との競争に備える
それぞれのステップについて補足します。
(1)満たされていない顧客のニーズを探る
令和の時代では、昭和の時代と異なり、あらゆる商品・サービスが消費能力以上に供給されている「モノ余り時代」になっています。そのため、顧客は常に「売り込みの圧力」にさらされていて、結果、「間に合ってます」という姿勢で市場を眺めています。
この環境の中で、「この人が欲しがっているモノは何か」という顧客のニーズを起点に事業をつくることが必要になっています。
(2)顧客のニーズを満たす商品・サービスを考える
上記の分析から、ターゲット顧客を絞り込み、そのターゲット顧客のニーズを満たす商品・サービスを検討します。
このターゲット顧客の絞り込みが重要で、ターゲット顧客が曖昧にすると、ニーズも曖昧になり、商品・サービスも曖昧になります。
(3)なぜ(1)の顧客ニーズが満たされないまま放置されてきたのかを考える
これは新規事業が成り立つかを検討する重要なステップです。
「満たされていない顧客のニーズ」が「本当に満たされていないのか」を確認する必要があります。
本当にお金を払うのか顧客の本音に迫り、カネのにおいに対する臭覚を研ぎ澄まして、「ビジネスとして成立するニーズなのか」を確認する必要があります。
(4)どうして(2)の商品・サービスがこれまで提供されてこなかったのかを考える
(3)と併行して「その課題解決の方法が提供されてこなかった理由」も検討します。
なぜ、ありとあらゆるものが過剰に供給されている状況の中で、「なぜ、いまだに提供されずに残っているのか」、その理由の確認は必要です。
★(3)と(4)の検討が不十分な場合、事業が成功する可能性が低くなります。
(5)商品・サービスを顧客にとって便利な方法で届ける
「この方が効率がいい、費用がかからない」などと主語が「顧客」ではなく、「自社」になってしまっているケースがあります。
あくまでも「顧客視点で考える」ことが必要です。
(6)商品・サービスを、より良くするためのフィードバックをもらい改善する
単なる「顧客の声に耳を傾けて・・・」とスローガンではなく、具体的に、「どうやって顧客の声を集めるのか?」そして「どう反映していくのか」をきちんと決めておく必要があります。
(7)新たな顧客のニーズを探る
(8)そのニーズを満たす商品・サービスを考える
(1)~(6)のステップを行うと、おのずと(7)(8)にたどり着きます。
この場合は、最初に設定した商品・サービスは、顧客のニーズの中で最も高い「中心ニーズ」から生まれているはずですが、後になればなるほど、「周辺ニーズ」となり、顧客にとっての価値が小さくなる傾向があります。
これを防止するには、顧客にとっての価値にこだわり、懸命に商品・サービスを考える必要があります。
(9)他社との競争に備える
市場で存在感が増してきた事業は、必ず追従されます。他社が参入することにより市場が広がっていきます。
その中で、競合よりも優位に事業展開を行うには、上記の(5)(6)を徹底的に行って、顧客の信頼を得ることです。
顧客の視点で事業に取り組む
昭和の高度成長期では、自社の都合の商品・サービスでも、社会・消費者が受入れていましたが、令和の時代は「自分(自社)にとって価値があるもの」しか受入れられなくなっています。
そのためには、「顧客の視点でニーズを発掘し、それに適合した商品・サービスを提供し、顧客(社会・消費者)の信頼を得る」ことが求められます。
それを実現するためには、的確に情報を入手すること、(専門分野だけでなく)広く学習し、場合によっては、社内だけで体制を組めない場合は、外部との連携を行うことも必要です。
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