居酒屋の不況からの脱出 - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

居酒屋の不況からの脱出

居酒屋の倒産件数が増加

コロナ禍の影響がだいぶ緩和されてきて、飲食業界もにぎわいを取り戻したように見えます。当社がある北九州市の小倉の繁華街の中では、満席になっているお店も見られます。

一方で、資金繰りの悪化や食材料費・光熱費等の物価高の影響で、「居酒屋」、その中でも零細規模のお店の倒産が増えてきているという調査結果が公表されています(帝国バンク:2023年6月プレスリリース)。

 

廃業するとしたら

現状の経営状況が悪く、更に先の見通しが立たない場合は、損失が膨らむ前に廃業を選択することも必要です。

ここでは、事業再生コンサルタの経験から廃業に関する対応、特に借金が多い場合の対応の幾つかを紹介します。

金融機関からの借金の対応

金融機関からの借入れは主に次の3通りです。

(1)日本政策金融公庫からの借入

(2)保証協会の保証付きの銀行からの借入

(3)銀行単独での借入れ(プロパー融資)

廃業を決意した段階で金融機関に返済ができない場合の対応を示します。

(1)一括返済ではなく、長期の分割返済を交渉する。

(2)銀行には保証協会が返済する(代位弁済)ので、その後は保証協会との交渉になり、(1)と同じく長期の分割返済を交渉する。

(3)銀行がサービサー(債権回収会社)に債権譲渡した場合、サービサーと交渉を行い、減額での和解を交渉する。

★(1)~(3)を実施する場合、ある程度厳しい交渉になりますので、当社にご相談下さい。

リース料金の残金の対応

契約残存期間の未払金を返済か一定額を支払って和解による解決を進める。

*中古品の買取り業者に入ってもらって低額で和解の可能性もある。

店舗の原状回復の対応

会社や経営者に余剰資金があれば支払う。ない場合は預け入れしている保証金や敷金で終わる場合もある。

仕入の未払金の対応

資金があれば支払うが、ない場合は資金の範囲内や分割での支払いの場合もある。

滞納税金の対応

差押え等の可能性があるため、最優先で支払う

 

自店は売れるか?

最近、スモールM&Aとして、小規模な会社や事業の売買が行われていますが、小さな飲食店は売れないのが現実です。売れても少額になります。

売れる条件

売れる可能性があるのは次の2点の場合で、その他はほとんど売れません。

(1)非常に場所が良い

(2)老舗でお客様(固定客)が大勢ついている

売れる物は?

リース契約でない設備 *売れても簿価の10分の1

のれん(営業権) *上記の売れる要素がある場合

 

現在の自店をいかに繁盛店にするか?

日本国内の飲食店は、開業後3年以内に半分は閉鎖しています。この最大の原因は、十分な飲食店経営の知識を持たずに安易に開業してしまうことです。

原点に立ち返って、どうしたら自店が繁栄店になるかを系統的(論理的)に考えて実行することが必要です。

現状では、多くの経営者が何となく「このまま続けても駄目かもしれない!」と考えています。継続するのも廃業するにも、経営者として「しっかりとした根拠がある考え方」が必要です。

その考え方の順序を示します。この順序を間違えないことが重要です。

なぜ飲食業をやるのかを明確に

経営者自身が「なぜ飲食業」をやるのかを明確にすることが最初です。

現在、飲食店を経営している人の開業動機はいくつかあります。

(1)料理を作ることが好きだから

(2)家業だから

(3)儲かりそうだから

(4)長く飲食店で働いてきたから独立したい

(5)場所があるから

などが多いと思います。

日本の飲食店の平均的な営業利益率は10%に満たない状況で、直近は、食材料費・光熱費等の高騰で更に利益は減少していると思われます。

つまり、よほど飲食店が好きか、利益が少なくても経営する他の理由がないと長くは続かない業種です。

現在の経営者自身の年齢によっても異なりますが、今一度「飲食店を経営している本当の理由」を考えて見るのが第一歩です。これが明確になると、店の進む方向が見えてくると思います。

店の売るべき商品は何かを決める

「何のためにやるか」を決めたら、その考えに基づいて「何を売るか」を考えます。

飲食店は大衆食堂から専門店まで業態が広く、業態別にそれぞれ目的があるはずです。

これが”あやふや”だとお客様に「訴える力」が弱くなります。

売るべき商品は料理そのものだけでなく、サービスも含めて考える必要があります。

・料理(専門店)

・内装や雰囲気(ホテル内や特定施設)

・安いか高いかの価格(大衆か、高級か)

・接客(家庭的接客、高級店接客、マニュアル接客等)

・人通りの多い利便性(駅ナカ店、駅前店、人通りが多い路面店)

これらの選択で大切なことは「あれもこれもと欲張らないで絞る」ことです。店側が明確に主張しないとお客様に伝えることができません。

利益を出す枠組みを決める

飲食店の経営者の多くは理論的に経営方法を学んでいません。現在の自店の経営を財務的に見直す必要があります。

その手順を示します。考え方は、まず必要な利益を算出し、その利益を達成するために経費や売上を算出することです。

(1)銀行等からの借入の返済金を含め、資本の回収期間を3年~7年以内として、必要な当期純利益を計算します。

(2)(1)で算出された金額を元に必要な営業利益を算出します。飲食業の平均的な営業利益率は売上の3~10%です。

(3)販売管理費の総額を支払うのに必要な売上総利益額を算出します。

(4)必要な売上総利益を確保するために必要な売上額を算出します。

飲食業における計算指標の一つに「FLコスト」があります。「F」は食材の原価率、「L」は人件費率です。通常、「FLコスト」は「60%」が目安です。平均として「仕入率:35%」「人件費率:25%」で「合計60%」ですが、業態によって多少異なります。

店に合わせた客単価と客数を設定

第一に店のコンセプト(お客様に自店の魅力と買ってもらえる商品)を決めます。

その次にそのコンセプトの価値に見合った客単価を決めます。ここがぶれると店の「ファン」を作ることができません。ファンは高い単価の方が作りやすい面もあります。

飲料と料理とで利益配分を決める

戦術として「飲み物と料理」で利益配分を明確にします。

(例えば)*業態によって違う

・飲み物で売上総利益の60%を確保

・料理で売上総利益の40%を確保

※珍しい食材を使った料理や手の込んだ料理は、価格を高く設定できます。

最良のオペレーションを考える

現在も今後も「人手不足」は大きな課題で、人件費も高騰しており、いかに人手を少なくして業務をこなすかが重要になります。そのための施策の一部を示します。

・調理器具の活用

・調理場、ホールの最小限で済む人の動き方の工夫

・お客様の多い時間帯に従業員を集中させる

 

新しい店で出直しを

最初に示したように、損失が少ないうちに廃業して、新しい店で出直しを行うのも一つの策です。

現在の「食材料費・光熱費等の高騰」「人手不足・人件費の上昇」などの悪影響はもう少し続きます。コロナ禍の落ち着きで人出の回復も見られますがまだ不十分な面もあります。また、コロナ禍等により、人々の生活スタイル、食生活、食に対する考え方も変化しています。

本格的な景気の回復は、2025年以降と推察されるので、それに向けて体制を整える必要もあります。

廃業して出直す場合の基本的な取組を示します。

(1)既存店の廃業の原因をしっかりと分析して突き止める

(2)飲食店経営をしっかりと勉強する

(3)事業計画書を飲食店経営の専門家と作り上げる

(4)自己資金を一定額作り、各種の制度融資を活用する

(5)開始3年間は飲食店経営の専門家の指導を継続する

 

冒頭に示したように飲食店の中には経営が厳しくなっているところがあります。一方、うまくいっている店(企業)もあります。

うまくいっている店は、たまたまのところもあるかもしれませんが、ここで示した「系統的な考え」に基づいて経営していることも考えられます。

一人で悩まずに、まだ余裕があるうちに、専門家の力も活用して経営の見直しを行いませんか。

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