人手不足への対応:根本策は? - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

人手不足への対応:根本策は?

先の報告で「2023年の人手不足倒産」の状況を紹介しました。今後、中小企業の人手不足はますます深刻になってきます。特に、残業規制、いわゆる「2024年問題」がスタートしている、建設業、運送業は厳しい状況が続きます。

人手不足倒産の状況はこちら

今回は、人手不足の対応の考え方について紹介します。

人手不足の対応:2つの視点+変革の視点

人手不足の対応として、次の2つの視点があり、多くの企業が取り組んでいる対応かと思います。

(1)省力化:人の業務の負荷を少なくする

(2)人を確保(採用・定着)する

(1)省力化:人の負担を少なくする

現状の人員の中で人手不足の解消の検討を行う取組みで、具体的には次の対応が上げられます。

ムダな業務をやめる(基本)

業務の見直し(棚卸し)を行うとムダな業務・作業は多く見つかると思います。まずは企業全体、各部署、各自の業務を洗い出して、その中でシビアな視点で、売上・利益に結びつかない業務・作業を選び出し、削減・縮小する事をお勧めします。

中核以外の業務のアウトソーシングを検討

アウトソーシングは社内業務の一部を社外へと依頼することです。業務全体の最適化を行う中で、社外のヒトや時間などのリソースを有効に活用して、より大きな成果を生み出すことを目的としています。単なるコスト削減を目的とする外注とは異なります。

ロボットの活用による省人化

製造現場では、人が行う作業をロボットに置き換えることが進んでいます。また、飲食店の配膳ロボットやお掃除ロボットなど製造現場以外のロボット活用が進んでいます。

IT・AIによる業務の効率化

生産管理や物流の管理、事務処理に関して、ITやAIによる処理のレベル(処理スピード・処理の質)が上がっています。それにより事務員や管理者の業務負荷を減らすことができます。

経営者・従業員の能力向上による生産性向上

役員、従業員の能力が向上できれば生産性は向上します。

経営者が学習や経験により、経営能力が向上し良い方向に経営判断がなされれば、会社の業績が向上する可能性があります。

また、従業員の個々の能力を向上することができれば、各業務の質が良くなり、これにより生産性が向上します。

 

(2)人を確保(採用・定着)する対策

人の採用や定着により、人手不足を解消する考えです。現在、中小企業では業種によらず採用が厳しい状況で、採用できたとしても早期に退職してしまうことが多いのが現状です。

幅広い採用活動

中小企業の採用では、対象を「女性、高齢者、外国人」に広げて検討することは有効と思います。

ただし、既に女性と高齢者の雇用はある程度進んでいるので、現在は「外国人の雇用」が注目されています。

政府も国策として、現場作業員については「特定技能」の外国人の雇用を推奨しています。

特定技能制度についてはこちら

当社では、関連の「特定技能人材」の調達と支援を行っている「アシスト国際事業協同組合」と連携して、外国人材の活用を検討することができます。

アシスト国際事業協同組合の案内はこちら

外国人材の活用の検討についてはこちら

給料水準の改善

応募の条件の中で最も重視されるのは「給料水準」です。各都道府県の最低賃金を超えたら良いのではなく、少なくとも同一地域の同業他社よりも高いことが必要です。

また、新規採用者だけでなく、従来から働いている従業員の給料水準の見直しも併行して行う必要があります。

職場環境の改善

汚い職場環境は採用や定着の妨げになります。「5S活動」の考え方で職場を見直して、見学した際に好印象を持ってもらえるように改善を行いましょう。

働き方改革

働き方改革は、就業時間の短縮、有給休暇の所得だけでなく、従業員がやりがいを持って働く環境を築くことが必要です。人事評価やコミュニケーション、教育、企業風土作り等が重要になります。

 

変革の視点:重要なのは「事業ドメイン」

上記の2つの視点に関しては、短期的な検討としては必要ですが、企業の継続に関して抜本的な施策ではないと思います。

業績が良くないと人を採用し、高い給与水準にすることは難しいです。業績を良くする、利益を増やすことが「人手不足」を解消するポイントになります。

事業ドメイン(ビジネスモデル)の再設定

事業は次の3要素によって定義されます。

(1)誰に:市場・顧客

(2)何を:製品・商品

(3)どのように:販売方法、アライアンス等

自社の現在を分析して、より高付加価値で、高利益を得る方法を検討します。

例えば、市場・顧客を変える方向があります。

・金属部品を加工してる会社が同じ技術を使って工場配管部品を製造していたものを航空用・宇宙産業用・医療機器用の市場参入を目指す

・砂利を運搬していた運送会社が、精密機器の運搬を行うなど。

M&Aを活用(1)買手として

事業ドメインを変革する方法として、シナジー効果が得られる企業との連携、更に踏み込んで買収する方法があります。

中小企業でのM&Aは、最近盛んになってきています。身近なところでは、戦略的にM&Aにより事業規模や業務分野の拡大を実現しているところもあります。

M&Aを活用(2)売手として

特に経営者が高齢になり後継者が不在の場合、M&Aで会社を売却するのも選択肢の一つです。

「M&Aは売り時」が重要です。利益が出ていて、企業価値が高い時の方が売手としては好機です。

現在、業績が悪い企業では、高い金額で売却できることを目標に、経営改善を行うことも一つの戦略です。

また、業績が悪く、回復が難しく更に売却も難しいと判断した場合、損失を防ぐために早めに廃業することも検討の対象になります。

 

現状を冷静に判断することがスタート

「人手不足対策」の対応の考え方を示しましたが、まずは「現状分析」が重要です。

「人手不足」という問題を直視すると、会社・事業のあり方を見直すことになります。「2024年問題」を変革のきっかけとして、冷静に現状を分析し、衆知を集めて対策を検討し、飛躍の第一歩になることを期待します。

「解決策はある」との強い信念で取り組んで下さい。

 

 

 

 

 

 

 

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