コロナ融資の返済状況
現在、次の要因で倒産が増えていることをこれまでに何回か紹介してきました。
(1)コロナ融資の返済不能による倒産
(2)資材・原材料・人件費等の高騰による倒産
(3)人手不足による倒産
(4)後継者不在による倒産
(5)コンプライアンス違反による倒産 など
多くの場合は、上記の複合によって、倒産に至っています。
今回、この中で、「コロナ融資の返済状況」について紹介します。
2024年10月17日に、帝国データバンクから、「新型コロナ関連融資に対する企業の意識調査(2024年8月実施)」が公表されています。
コロナ融資の返済状況
ここでは、この報告の中から、コロナ融資の返済状況に関して紹介します。
融資の返済状況
調査報告書では、融資額の半分以上を返済した企業が「34.3%」で、半年前(2024年2月)の「29.5%」よりも増加しており、返済が進んでいることが示されています。
今後の返済見通し
調査では、融資条件通りに全額返済できるが「85.5%」で、返済に不安が「12.6%」になっています。
返済に不安の要因として挙がっている上位3項目を示します。
(1)人件費の高騰
(2)原材料価格の高騰
(3)人手不足
これらは、冒頭に示した倒産の要因と一致しています。
返済が不能になった場合の対応
コロナ融資の返済が不能になった場合、主に次の対応になります。
(1)リスケジュール(リスケ)の実施
金融機関と調整して、返済を一時的に止めたり、返済額を減額して、業績向上に努めます。
(2)代位弁済の実施
コロナ融資は保証協会の保証付きがほとんどで、リスケを行っても返済が不能と判断された場合、保証協会が融資を行った金融機関に借入金を支払います(代位弁済)。その後は、保証協会に返済する形になります。
次の図は、直近の代位弁済の推移を示したものです。コロナ融資の返済が本格化した令和4年(2022年)から増えだし、現時点でも更に増えている状況です。上記に示した要因により、力尽きた形になっています。
なお、「返済が不能になった対応」については、「株式会社 事業パートナー」の松本社長のコラムで紹介していますので、参考にして下さい。
今後はより不確実性が増す
日本の総選挙の結果、アメリカの大統領交代、中東紛争、ウクライナへのロシア侵攻・・・、先が読めない状況になっています。特に、冒頭に示した、物価・人件費の高騰、人手不足、後継者不足は、多くの中小企業が直面する課題です。
また、今後は、金利の上昇も予測されています。
この中で、中小企業は、現在の状況をよく分析して、事業ドメインの再設定を行い、業績を向上させる必要があります。
政府の支援は、「事業再生や経営改善」に政策を転換しています。
当社は、「事業再生・経営改善」の支援に取組んでいますので、経営状況に不安がありましたら、お問い合せ下さい。