(分岐点シリーズ・第1回)赤字が3期続いた会社は、まだ再生できるのか? - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

(分岐点シリーズ・第1回)赤字が3期続いた会社は、まだ再生できるのか?

― 財務構造から見る再生可能性の判断基準 ―

前回までの4回シリーズでは、当社の基本的な考え方である「出口戦略」についてご紹介しました。

<出口戦略(当社の取組)について>

第1回「なぜ今、当社の事業内容を再整理するのか」はこちら

第2回「経営改善と事業再生は何が違うのか」はこちら

第3回「出口戦略診断とは何か」はこちら

第4回「出口戦略を実行に移す」はこちら

出口戦略とは、再生・M&A・廃業を別々に考えるのではなく、同じ土俵に並べて比較し、最も合理的な選択肢を見極めるという発想です。

本稿からは、その考え方をより具体的に掘り下げていきます。

今回のテーマは、「赤字が3期続いた会社は、まだ再生できるのか」です。

赤字3期の意味を正しく理解する

3期連続赤字は、金融機関の格付け上、明確なシグナルになります。

一般的に、

・1期赤字:要注意

・2期赤字:改善要請

・3期赤字:格下げ・管理対象

という流れになります。

しかし、重要なのは「赤字年数」ではなく、財務構造の変化です。

確認すべきは次の3点です。

(1) 営業赤字か、経常赤字か

再生可能性を判断する第一歩は、営業利益の状況です。

営業黒字・経常赤字の場合、原因は金利負担や一時損失である可能性があります。

一方、営業段階から赤字の場合、事業モデルそのものに問題がある可能性が高くなります。

再生とは、本来「営業黒字への回復」を意味します。営業赤字が固定化している企業は、構造改革が不可欠です。

(2) 債務償還年数の確認

次に見るべきは、債務償還年数です。計算式はシンプルです。

有利子負債 ÷ (営業利益+減価償却費)

一般的な目安は、

・10年以内:改善余地あり

・15年以上:再生難易度上昇

・計算不能(赤字):要抜本対応

赤字3期でも、償還年数がコントロール可能であれば再生余地はあります。

逆に、黒字でも償還年数が20年を超える場合、実質的には再生局面です。

(3) 資金繰りの可視化

再生可能かどうかは、損益よりも資金繰り予測が決定します。

最低でも次の分析が必要です。

・12か月資金繰り予測

・運転資金回転期間

・月商倍率(借入総額 ÷ 月商)

月商倍率が6か月を超え、営業キャッシュフローがマイナスであれば、金融機関は慎重姿勢になります。

ここで重要なのは、再生とは「黒字化」ではなく「資金ショートを防ぎながら体質改善すること」だという点です。

再生可能企業の特徴

赤字3期でも再生可能な企業には、共通項があります。

1 粗利率が維持されている

2 固定費削減余地がある

3 不採算部門が特定できている

4 経営者が現実を認識している

特に、粗利率が崩れていない企業は、販売戦略や固定費見直しで回復する可能性があります。

一方、粗利率そのものが低下している場合、市場競争力の低下が疑われます。

延命と再生の分岐

金融機関とのリスケジュールは、再生の手段であって目的ではありません。

次のような状態は「延命」に該当します。

・リスケ後も営業赤字

・改善計画が数値根拠に乏しい

・投資と回収の因果関係が不明確

再生とは、

・数値根拠のある改善計画

・利益構造の再設計

・債務バランスの調整

を伴うものです。

出口戦略視点での整理

赤字3期の段階で考えるべきは、再生一択ではありません。

同時に比較すべきは、

・再生した場合の回復可能性

・M&Aした場合の企業価値

・廃業した場合の保証人リスク

この3つです。

例えば、営業赤字でも特定顧客基盤が強ければ、M&Aの方が合理的なケースもあります。

逆に、再生に5年以上を要する場合、保証人の負担が過大になる可能性があります。

判断のタイミング

赤字3期目は、単なる悪化ではなく戦略再設計のタイミングです。

多くの企業が、

・4期目に入ってから相談

・資金が逼迫してから検討

・銀行主導で再生開始

という流れになります。

しかし、最も合理的なのは、まだ選択肢が残っている段階で整理することです。

当社の立場

私たちは、

・再生を前提としない

・M&Aを前提としない

・廃業を勧めない

その代わり、財務構造と事業実態を分析し、3つの選択肢を同時に比較します。

それが出口戦略診断です。

結 論

赤字3期は、「終わり」ではありません。

しかし、

・財務構造を分析せず

・資金繰りを可視化せず

・選択肢を並べず

に進むと、再生の難易度は急激に上がります。

赤字が続いているのであれば、「改善できるか」ではなく、

「どの選択が最も合理的か」

という問いに変える必要があります。

次回は、「借入が多い会社は、本当に再生できないのか?」について、債務構造から掘り下げます。

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