人手不足倒産が加速!要因を整理
人手不足倒産の状況
2024年10月4日に帝国データバンクから、
「人手不足倒産の動向調査(2024年度上半期)」が公表されています。
これによると、人手不足倒産は、下図に示すように加速的に増加しています。
業種では、「2024年問題(残業規制・働き方改革)」に関連する「建設業」「物流業」が多くなっています。
また、規模別では、「従業員数が10人未満の小規模事業者」が多い状態です。
これまで在籍していた企業から、より給与水準が高い「規模の大きい」企業への労働者の移動があったことが要因の可能性があります。
また、公表資料では「飲食店」の人手不足倒産が増えていることも報告されています。
人手不足倒産の要因
人手不足倒産の要因をChatGPTの協力を得て、大局的にまとめましたので紹介します。
人手不足倒産が増加している背景には、複数の要因が絡み合っています。以下に、各観点ごとに要因を説明します。
(1) 社会的な面(少子高齢化など)
少子高齢化が深刻な影響を与えています。日本では出生率が低下し、労働市場に参加する若年層が減少しています。一方で、高齢化が進み、退職者が増加しているため、労働人口が年々減少。特に中小企業では、新規採用が難しく、経験豊富な従業員の引退に伴う労働力の減少が顕著です。
また、地方から都市部への人口移動も影響しています。地方の中小企業は特に若者の流出が激しく、働き手の確保が困難です。さらに、家庭内のケア(介護、育児)などの負担が増加しているため、労働市場に出ることが難しい人々が増えています。
(2) 経済的な面(給料など)
賃金水準が相対的に低いことも人手不足倒産の要因です。特に中小企業では、大企業に比べて賃金や福利厚生が劣ることが多く、優秀な人材を確保しにくくなっています。また、コロナ禍以降の経済の不安定さが拍車をかけ、従業員に十分な賃金や待遇を提供できず、結果的に労働者が他の企業へ流れる傾向があります。
さらに、物価上昇やインフレによって生活費が増大している一方で、企業が賃上げに対応できないケースも多く、これも労働者の離職の一因となっています。
(3) 人(労働者)の意識の面
労働者の意識も変化しています。若者を中心に、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっており、長時間労働や過度な責任を負わされる職場を避ける人が増えています。また、働き方の多様化やフリーランス、リモートワークの普及により、固定された職場での勤務を希望しない人も増えています。
職業観の変化も見逃せません。終身雇用制度が崩れ、安定した雇用を前提とする考え方が弱まった結果、労働者は自分にとって最適な条件を求めて職場を頻繁に変えるようになり、企業が人材を長期的に確保するのが難しくなっています。
(4) 技術的な面(IT、AIなど)
技術の進化により、特に単純労働やルーチンワークは自動化が進んでいますが、これには逆説的な側面があります。例えばITやAIの導入に対応できる技術者が不足しているため、これらの技術を効果的に活用できない企業が多い状況です。特に中小企業では、デジタル化の遅れが人手不足倒産に直結しています。
また、技術が進んでも人間による対面サービスや細やかなケアが必要な職種(介護、教育、サービス業など)では、人材の代替が難しいため、依然として人手不足が問題となっています。
(5) その他の要因
・労働環境の悪化: 長時間労働や過重労働が続いている企業は、従業員の離職が相次ぐため、結果的に企業の倒産に至ることがあります。特に人手不足が慢性化すると、少ない人数で過度な業務負担がかかり、さらに離職者が増える悪循環が生じます。
・外国人労働者の依存: 人手不足を外国人労働者で補う企業も多いですが、在留資格の取得や管理にコストがかかり、制度的な制約も多いため、外国人労働者を安定的に確保することが難しいケースもあります。また、外国人労働者を受け入れる体制や文化の違いへの適応が不十分な企業もあり、それが原因で労働力を十分に活用できない場合もあります。
以上のように、社会的、経済的、労働者の意識、技術的な要因が複合的に絡み合い、特に中小企業においては人手不足が深刻化しており、最終的に倒産に至るケースが増加しています。
人手不足を解消するには、次の2つの観点があります。
(1)必要(優秀)な人材を採用する
(2)人の作業を自動化やIT・AIで代用する
いずれにしても、良い企業(企業風土が良く、利益が出る)になる必要があります。
次回は、人手不足への対応について紹介します。
前後の記事
- 前の記事
- 松本社長の経営に役立つ話(20)代位弁済後の対応
- 次の記事
- 自己破産と個人再生の比較