企業経営における付加価値とは?
先の投稿で紹介したように、現在、中小企業庁からいくつかの補助金が募集されています。
この補助金での「付加価値の定義」は次のようになっています。
付加価値=営業利益+人件費+減価償却費
「付加価値」という言葉は経済学・会計・政策など様々な文脈で使われており、それぞれ目的や用途に応じて定義が異なります。以下に主な定義とその背景・目的をご紹介します。
各目的での付加価値の定義
1.補助金など政策目的での定義
❖ 定義
付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
❖ 背景と目的
この定義は、中小企業庁の「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」などで使われるもので、「企業がどれだけ経済社会に価値を生み出しているか(経済貢献)」を測る指標です。
・営業利益:利益として残る部分
・人件費:雇用を通じて社会に還元する部分
・減価償却費:将来の投資や設備の利用価値
これにより、「企業が創出した経済価値(生産性)」を定量的に捉え、補助金による成果を評価しやすくしています。
2.会計・財務の視点での定義
❖ 定義例1:売上高-外部購入費(仕入+外注費など)
これは「企業内で新たに生み出した価値(内部付加価値)」を表します。
❖ 定義例2:粗利益(売上総利益)
製造業や小売業では、販売額から原価を引いた「粗利益」を付加価値と近似的に捉えることがあります。
❖ 背景と目的
・原材料や外注など、外部から買った価値ではなく、企業内で新たに創出した価値に注目
・生産性や労働分配率(人件費÷付加価値)を計算するため
3.マクロ経済学での定義(GDPとの関係)
❖ 定義
付加価値 = 総生産額-中間投入額
→ これはGDPの構成要素のひとつ。
❖ 目的
国内の経済活動の総量を測るため。
企業単位ではなく、産業や国全体の経済指標として使われます。
4.マーケティングや経営戦略での「価値」
これは数値でなく定性的な付加価値であり、次のように語られます。
・商品・サービスにおける「他社にない強み」
・顧客に提供する「独自の価値」(例:ブランド力、カスタマー体験)
・差別化要因としての「知的財産」「デザイン性」「UX」など
「価値創造」や「競争優位性」の源として使われます。
経営戦略での付加価値の高め方
上記のマーケティングや経営戦略における「付加価値」を構成する主な要素について、それぞれを高めるための具体的な方策を提示します。
1.他社にない強み(独自性)の強化
➤ 価値の意味
競合と差別化できる、自社ならではの要素。製品、サービス、技術、ノウハウなど。
2.顧客に提供する独自の価値(顧客ベネフィット)
➤ 価値の意味
価格やスペック以上の「顧客が感じる利便性・感動・安心」など
3.ブランド力
➤ 価値の意味
「信頼」「好感」「安心」といった無形資産。価格競争に巻き込まれにくくなる。
4.知的財産・デザイン性・UX(ユーザー体験)
➤ 価値の意味
特許・商標・デザイン・UI/UXなど、商品・サービスの完成度や洗練度。
まとめ:各価値要素と強化策
こうした各施策を組み合わせることで、**価格ではないところで顧客に選ばれる「高付加価値型企業」**としての位置づけを築くことが可能です。