新規事業は、こうして考える
コロナ禍や直近の資材・原材料・エネルギー等の高騰、そして、DX、GX推進などの大きな変化の中で、既存事業を見直して、新しい事業に取り組んでいる企業も多いかと思います。
<DX:デジタルトランスフォーメーション>
企業がデータとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
<GX:グリーントランスフォーメーション>
企業や産業構造、社会を変革することで、カーボンニュートラルと経済成長を両立させ、環境負荷を最小化した持続可能な世界、循環型社会を実現すること。
当社にも「事業再構築補助金」の申請支援を含めて、新規事業の相談が多く入っています。
では、どうやって新規事業を考えていけば良いでしょうか?
今回は、新規事業のアイデア(タネ)を導き出す方法について紹介します。
なお、これまで、中小企業の新規事業に関して、2件、投稿していますので、そちらも参考にして下さい。
新規事業の創出に関して、中小企業は、大企業やスタートアップ企業に比べて良いポジションにいることを紹介しています。
これは、日経トップリーダー(日経BP社発行・月刊誌)の2023年2月号に掲載された「新規事業家・守屋実氏」の記事の「新規事業をカタチにする9つのプロセス」を紹介しています。
新規事業の考え方
以前にも示しましたが、新規事業を検討する場合、「市場・顧客」と「商品・技術・サービス」の2つの軸で検討する必要があります。
考える際のヒント
新規事業を一から考える(発明~のは難しく、考える時間だけを消費してしまいます。
多くの成功事例は、「発明」ではなく「発見」によるものが多いのが現実です。
今は、ネットで検索(ググル)することにより、様々な情報が入手出来ます。更に「チャットGPT」の活用により、関連の情報を系統的に入手することも可能になりました。
現在の新規事業の検討は、この「発見」見つけ出すことにより、効率的に検討することが可能になっています。
★ 執念を持って取り組む
★ 情報を集める(勉強する)
この2点が重要です。
発見のための手法について紹介します。
新規事業のタネを生む3つの方法
これは、日経トップリーダー(日経BP社発行・月刊誌)の2023年1月号に掲載された「新規事業家・守屋実氏」の記事から紹介します。
(1)「日常の不」を考える
日々の活動、暮らしの中で、困ったな、こんなの欲しいなと思うことがあったら記録しておく。
特に、自社のターゲットの顧客様を想定して、その顧客様の「不」を考えて、自社のビジネスと組み合わせることにより、新しい商品やサービスを供給することができます。
経営支援を行っている金属加工メーカーでは、現場の作業での課題から新製品の開発に取り組んでいます。
(2)挑戦者からの学び
国内では、起業・スタートアップが盛んに行われ、投資家からの資金調達のための説明会(ピッチ イベント)が多く開催されています。その中には、自社の新規事業のタネになるものがあるかもしれません。
知識の幅を広げる、視点を変える面でも参考にしてみたらいかがでしょうか。
(3)国が示す方針
毎年、国(各省庁・機関)は事業計画を策定し、それに伴う予算を確保しています。
先に示した「DX」や「GX」の新規取組みだけでなく、デジタル化に伴い従来の規制を緩和する動きもあり、その中で新規事業(ビジネスチャンス)のタネが見つかる可能性があります。
経済産業省では、毎年、予算編成に合わせて、重点課題を公表しています。その内容と自社の業務内容を比較検討し、取り組むべきテーマが抽出できる可能性があります。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストは、下図に示す「9つの視点」からアイデアを生み出す発想法です。
(1)転用
転用は、「他に使い道はないか」という視点でアイデアを考えます。
最初に示した新規事業の進め方で、既存商品・サービス等を他の市場・顧客に適用できないかを考えることはこれに当てはまります。
・改善・改良して新しいみちは?
・そのままで新しいみちは? など
(2)応用
従来の商品・技術が他に応用できないかを考えます。
・他にこれに似たものはないか?
・何か真似できないか?
・保有技術を他の製品にも使えないか? など
金属の精密加工を行っている企業が、その技術を他の材料加工に適用して、より付加価値(利益)が高い新たな市場・顧客を開拓した例があります。
(3)変更(修正)
従来の商品・サービスの一部を変更することを考えます。
同じ商品でも色やデザインを変えることにより、ターゲット顧客が変わり、売上が変化することもあります。
・意味、色、動き、音、匂い、形などを変えられないか?
・表示の仕方を変えてみたら分かりやすくなるのではないか? など
(4)拡大
従来の商品・サービスを検討し、大型化した場合、他の価値を加えた場合、新規の商品・サービスや新たな市場・顧客が得られないかを考えます。
・何か付け加えたらどうか?
・長くしたらどうか?
・強度を強くしたらどうか?
・他の価値を付け加えたらどうか? など
(5)縮小
従来の商品・サービスを検討し、小さくしたり、軽くしたりすることによって、新規の商品・サービスを生み出し、新たな市場・顧客が得られないかを考えます。
・小さくしたら、薄くしたら、軽くしたら?
・製造・販売ロットを小さくしたらどうか? など
(6)代用
従来の商品・サービスの構成(材料・部品)や販売方法を他のものに変更することを考えます。
・他の材料、部品を使えないか?
・他の作業方法にしたらどうか?
・他のコマーシャル方法を行ったらどうか?
・他の販売方法、ECサイト、サブスクを行ったら? など
(7)再配置(アレンジ)
従来の商品・サービスの中の一部を取換えることを考えます。
・要素を取換えたらどうなのか?
*パンの要素を小麦粉から米へ取換える
・他のアレンジ(パターン、レイアウト)にできないか? など
(8)逆転
従来の商品・サービスを逆の視点で検討してみます。
・反対にしたらどうか?
*富士通ゼネラルのエアコンの商品名
AIRCON(エアコン) ⇒ NOCRIA(ノクリア)
・順序を逆にしたらどうか?
・裏返しにしたらどうか?リバーシブル
・上下を逆にしたらどうか? など
(9)結合
組み合わせたらどうかという視点で考えます。
・従来の商品・サービスに連携先の要素を加えたら?
・商品の一部に違う材料の部材を加えたら?
・事業計画書に補助金を加える など
経営者の決意と継続性
新規事業は、簡単に収益を得ることが難しく、時間の経過とともに、経営者の熱意が薄れてくることがあります。
新規事業はうまくいかなくても当たり前。だから新規事業の場合には、失敗しても手を挙げた時点で「マル」、うまくいったら「ハナマル」というくらいの気持ちでなければ、挑戦に向けた前向きな風土はつくれません。
中小企業の場合の新規事業の取組みは、大企業と比べて、その成否は企業存続に影響を与える可能性があります。そのためには、実施の前に、できる限りの調査が必要になります。
特に、市場・顧客のニーズを的確に取らえることが重要で、方向性を間違わないことです。
★ 執念を持って取り組む
★ 情報を集める(勉強する)
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