外部環境と内部資産(強み)の整理 - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

外部環境と内部資産(強み)の整理

先の記事で、事業再構築において、事業ドメインの再設定が重要であり、的確な事業ドメインを設定するためには外部環境分析が必要であることを示しました。

外部環境分析の重要性はこちら

外部環境の分析と自社が保有する資産(強み)の整理は、事業ドメインの再設定において非常に重要です。これを効果的に行うためには、外部環境と内部資源を体系的に整理し、両方の関連性を明確にすることが必要です。以下の手法を活用することで、効果的な整理が可能です。

SWOT分析で外部と内部を統合的に整理

SWOT分析は、外部環境と内部資源の関係性を把握し、戦略を考えるための最も効果的な手法の一つです。

S (Strength)

自社の強みが持っている優位性や、競合先と比較して差別化できる資産を整理します。例えば、技術力、ブランド力、特定の市場でのシェア、優れたチームやプロセスが該当します。

W (Weakness):弱み

改善が必要な領域や、競合先に劣っている部分を特定します。リソース不足、技術的な遅れ、マーケティングの弱さなどが含まれます。

O (Opportunities):機会

市場や技術動向、規制の変更など、外部環境における新たな機会を探ります。新しい市場の開拓、デジタル技術の活用などが該当します。

T(Threat):脅威)

外部環境から自らのリスクや、競争上の脅威を特定します。

このように、SWOT分析では、外部の機会や客観に対して、自社の強みや弱みがどのように関連しているのか明確にし、戦略の方向性を決めるための基本情報を整理できます。

VRIO分析で内部資産を評価

自社の強みを評価する一つもう重要なフレームワークがVRIO分析です。自社が持っている資産が、どれだけ持続的な競争優位性を提供できるか評価するための手法です。

V (Value):価値

その資産が市場で価値を生み出すかどうかを評価します。顧客ニーズに応えられるか、収益性が高められるかが重要です。

R (Rarity):希少性

その資産が競合先にとっても容易に取得できるものなのかどうかを判断します。希少性が高いほど、競争優位性が生まれます。

I (Imitability):模倣困難性

その資産が競合先に模倣されにくいかどうかを確認します。模倣が困難であれば、長期的な優位性を保ってます。

O (Organization):組織の活用

その資産を効果的に活用するための組織能力があるかどうかを評価します。組織内で適切に資産を運用できる体制が整っているかが問われます。

この分析をしながら、自社が保有する資産が持続的な競争優位性を提供できるかどうかを見極め、どの資産に重点を置いた経営戦略を立てるべきか明確にできます。

バリューチェーン分析で内部資産を検討

バチェーンリュー分析とは、自社の価値創造プロセス全体を俯瞰し、どの部分が強みとなり得るかを分析する手法です。 具体的には、製品やサービスが顧客に届くまでの各ステップ(購買、生産、マーケティング 、販売、サービスなど)を詳細に分析し、それぞれの段階での競争優位性を評価します。

・主な活動(Primary activity:製造や物流、販売、マーケティング、顧客サービスなど、直接的に価値を生む活動。

・支援活動(Support activity:調達、技術開発、人事管理、インフラなど、主な活動を支援する活動。

この分析により、事業運営全体のどの部分が自社の強みとなっているのか、また改善が必要な領域がどこにあるのかが明確になります。この分析結果を基に競争戦略を構築することができます。

経営資源の分析で強みをつかむ

自社の内部資産を整理するために、4つの経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を基礎とした分析を行うことも効果的です。

・ヒト:従業員のスキルやリーダーシップ、組織文化、人のネットワークなど。

・モノ:製品、設備、特許、技術などの有形資産。

・カネ:資本力、資金調達力、キャッシュフローの健全性。

・情報:市場データ、顧客データ、技術情報、ブランド力などの無形資産。

これらの要素を一つ一つ評価することで、自社の強み改善や点がより具体的に把握でき、それを基に経営戦略を立てることが可能になります。

TOWSマトリックスで外部環境と内部資源を連携

TOWSマトリックスは、SWOT分析の結果を基に、外部環境(機会・脅威)と内部資産(強み・弱み)を連携させた戦略を考える手法です。

・SO戦略(積極戦略)

 今後の可能性・チャンスに、自社の強みを活かした戦略

・ST戦略(差別化戦略)

 今後の脅威があり、競合先も手を引く可能性があるので、自社の強みを活かして徹底した差別化を行うナンバーワン戦略

・WO戦略(改善戦略)

 今後の可能性・チャンスがあるのに、弱みがネックになっているので、それを改善してチャンスをつかむ戦略

・WT戦略(致命傷回避・撤退縮小戦略)

 今後の脅威やリスクがあるのに、自社の弱みが災いして、危険な状態になっている。それを打開するための戦略

これにより、外部環境と内部資産を統合し、実現可能な戦略を立てることができます。

 

まとめ

外部環境と内部資産の整理は、SWOT分析、VRIO分析、バリューチェーン分析などを活用することで、システム的に行うことができます。これらの手法により、自社の強みや弱みを把握し、外部環境の関連性を明確にするため、戦略的な意思決定を行うことができます。

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