松本社長の経営に役立つ話(19)税・社保の滞納時の借入
連載として、当社「(株)事業パートナー九州」の連携先の「(株)事業パートナーの松本光輝社長」のコラムを紹介しています。今回は第19回目です。経営のヒントとしてご活用下さい。
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税金や社会保険料を滞納していても借入ができるのか?
こんにちは、松本光輝です。今回は、多くの中小企業経営者が直面しがちな「税金や社会保険料を滞納している場合、新たな借入ができるのか?」というテーマについてお話しします。
結論:状況次第では借入が可能
税金や社会保険料を滞納している場合、一般的には銀行からの融資は難しくなります。なぜなら、銀行としては貸付金の回収が難しくなるリスクが高まるためです。具体的には、滞納が原因で差押えが行われると、銀行の貸付金を回収できなくなる可能性があるため、融資に慎重になります。また、差押えが行われると、融資時に交わした契約に基づき「期限の利益を喪失」し、即時の返済を求められることがあります。
しかし、状況によっては借入が可能な場合もあります。それでは、どのような場合に融資が可能なのかを見ていきましょう。
1 税務署との交渉
税金を滞納している場合でも、税務署との交渉により1年以内の分割納付を認めてもらえることがあります。銀行がその分割納付計画が現実的であると判断すれば、新たな借入が可能になる場合があります。
そのためには、税務署としっかりと交渉を行い、分割納付の承認を得ることが重要です。そして、その承認書を銀行に提出し、差押えのリスクがないことを説明しましょう。これにより、銀行は借入の返済に対して確実に対応できると判断する可能性があります。
2 社会保険や地方税の場合
社会保険料や地方税を滞納している場合も同様です。滞納金を定期的に支払っていて、差押えの危険性が低い場合は、銀行が融資を検討することがあります。社会保険事務所や役所との交渉履歴を銀行に伝え、滞納解消に向けた具体的な取り組みを説明することが重要です。
ただし、一部の都市銀行や地方銀行では、完納証明書の提出が融資の必須条件となっている場合があります。この場合は、完納していない限り借入はできません。したがって、完納が難しい場合は他の金融機関や資金調達手段を検討する必要があります。
借入が可能な状況を作るための対策
(1)税務署との交渉を重視する
滞納が発生した場合、できるだけ早く税務署と分割納付の交渉を開始しましょう。早めの行動が、差押えを回避し、借入のチャンスを広げることにつながります。
(2)銀行に分割納付計画を提示する
分割納付が認められたら、その承認書を銀行に提出します。このとき、滞納解消に向けた取り組みが現実的かつ計画的であることを示すことが重要です。これにより、銀行は融資に対して前向きな姿勢を取る可能性があります。
(3)社会保険や地方税の交渉履歴を銀行に伝える
社会保険料や地方税の滞納も、役所との交渉履歴をしっかりと銀行に説明することが必要です。差押えのリスクがないことを理解してもらうことで、融資の可能性を高めることができます。
最後に
税金や社会保険料の滞納があるからといって、すぐに融資が絶望的になるわけではありません。大切なのは、税務署や社会保険事務所との交渉を適切に行い、滞納解消に向けた具体的な対策を講じることです。そして、それを銀行に正確に伝えることで、新たな借入が可能になる場合もあります。
中小企業の経営は常に順風満帆とは限りませんが、日々の努力と計画的な対策で困難を乗り越えることができます。どんな些細な問題でも、経営に悩んだらご相談ください。
当社「(株)事業パートナー九州」にご相談頂ければ、案件によっては「(株)事業パートナーの松本社長」と連携して事業再生・事業承継等に取り組みます。
<松本社長の紹介>
1948年生まれ。40年間飲食業を中心に7業種の会社を経営。
バブル崩壊時に「25億円」の負債を抱えるも5年で解消。自ら事業再生を経験。その時の知識・経験を活かして事業再生請負人として活躍中。
18年間で「600社以上」の事業再生に取組み、多くの苦悩する経営者を救済してきました。
また、「7,000名を超える税理士」が松本社長の「経営改善セミナー」を受講。
「危機に陥らない経営手法」を伝授しています。
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