松本社長の経営に役立つ話(23)相続放棄の実効性
連載として、当社「(株)事業パートナー九州」の連携先の「(株)事業パートナーの松本光輝社長」のコラムを紹介しています。今回は第23回目です。経営のヒントとしてご活用下さい。
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相続放棄の実効性と中小企業経営への示唆
こんにちは、株式会社事業パートナーの代表、松本光輝です。今日は「相続放棄の実効性」についてお話ししたいと思います。相続放棄は、相続人が相続財産を引き継ぐかどうかを決める際に重要な選択肢の一つです。
経営者の皆さんにも、こうした法律知識を知っておくことは、個人的な資産管理だけでなく、企業経営にも大いに役立つ場面があるかと思います。
相続放棄とは?
相続放棄とは、相続が発生した際に、資産や負債といった相続財産を一切引き継がないという決断です。相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に、以下の3つの選択肢のいずれかを選ぶ必要があります。
(1)相続放棄 – すべての資産・負債を放棄する
(2)限定承認 – 資産の範囲内で負債を引き継ぐ
(3)単純承認 – 資産・負債のすべてを引き継ぐ
相続放棄を選択する場合、特に注意が必要です。例えば、相続財産の処分行為、つまり預貯金の解約や不動産の譲渡は、相続を承認したとみなされてしまいます。また、葬儀費用は一定範囲で認められますが、未払金や病院代などの支払いは単純承認と見なされる可能性があるので注意が必要です。
ケーススタディ:相続の選択肢
相続には、いくつかの典型的なケースがあります。以下に例を挙げて説明します。
・ケースA:負債が資産を上回る場合
相続放棄が最も有効です。これにより、負債の引き継ぎを避けることができます。
・ケースB:資産と負債が不明確な場合
この場合、限定承認が適しています。資産の範囲内でのみ負債を引き継ぐため、リスクを最小限に抑えることができます。
・ケースC:資産が負債を上回る場合
この場合は単純承認が有利です。資産を引き継ぎつつ、負債も清算することが可能です。
相続放棄のポイント
相続放棄の際には、被相続人の債権者に「相続放棄申述受理証明書」を提示して対抗する必要があります。また、遺産分割協議で「相続しない」という合意も可能ですが、相続人としての地位を失うわけではないため、債権者には対抗できない点に留意する必要があります。
また、相続放棄をしても、生命保険金の「受取人」に指定されている場合は、その保険金を受け取ることができます。生命保険金は固有の財産とみなされ、相続財産とは区別されますが、税法上は「みなし相続財産」として扱われるため、相続税が発生する可能性があることにも注意しましょう。
中小企業経営者へのアドバイス
経営者として、こうした相続に関する知識は、自身や家族のためだけでなく、企業の財産や負債の整理にも役立ちます。特に中小企業の経営者は、日々の業務に追われ、将来のリスク管理や財務計画に十分な時間を割けないことが多いかもしれません。しかし、資産管理や事業継承の際には、早期の判断が必要です。特に債務超過に陥る前に適切な指導を受けることで、企業を守り、経営の安定化を図ることができます。
弊社では、こうした相続問題を含むあらゆる経営課題に対するアドバイスを行っています。もし、何か問題やご相談があれば、いつでもご連絡ください。皆様の経営をサポートし、健全な事業運営の実現をお手伝いいたします。
当社「(株)事業パートナー九州」にご相談頂ければ、案件によっては「(株)事業パートナーの松本社長」と連携して事業再生・事業承継等に取り組みます。
<松本社長の紹介>
1948年生まれ。40年間飲食業を中心に7業種の会社を経営。
バブル崩壊時に「25億円」の負債を抱えるも5年で解消。自ら事業再生を経験。その時の知識・経験を活かして事業再生請負人として活躍中。
18年間で「600社以上」の事業再生に取組み、多くの苦悩する経営者を救済してきました。
また、「7,000名を超える税理士」が松本社長の「経営改善セミナー」を受講。
「危機に陥らない経営手法」を伝授しています。
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