松本社長の経営に役立つ話(34)中小零細企業のM&Aと第二会社方式のポイント - 事業パートナー九州 北九州市(福岡県)経営コンサルタント

松本社長の経営に役立つ話(34)中小零細企業のM&Aと第二会社方式のポイント

連載として、当社「(株)事業パートナー九州」の連携先の「(株)事業パートナーの松本光輝社長」のコラムを紹介しています。今回は第34回目です。経営のヒントとしてご活用下さい。

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中小零細企業のM&Aと第二会社方式のポイント

こんにちは。株式会社事業パートナーの松本光輝です。

今回は、中小零細企業におけるM&Aの中でも特に活用される「事業譲渡型」の特徴と、事業再生の手段として注目される「第二会社方式」について、その実務上のポイントを解説します。

■ 中小零細企業に多い「事業譲渡型」のM&A

中小零細企業のM&Aでは、「株式譲渡」よりも「事業譲渡型」が多く採用されています。これは、譲渡対象を事業単位で自由に設計できるという柔軟性があるためです。とくに、経営者が債務の整理や再出発を図りたい場合においては、「第二会社方式」が効果的な選択肢となります。

■ 第二会社方式の概要と特徴

第二会社方式とは、現在の会社とは別に新会社(第二会社)を設立し、そこへ選別した事業資産と必要な負債のみを譲渡する方法です。譲渡元企業が抱える過剰債務などは移転されず、新会社は健全な状態で事業の再出発が可能となります。

この方式の最大の利点は、「契約内容の自由度の高さ」です。会社分割や株式譲渡といった包括承継とは異なり、譲渡する資産・負債を契約によって個別に指定できるため、経営状況に応じた最適な再構築が可能となります。

■ 事業価値の評価方法

事業譲渡時における評価は、主に以下の3通りで検討されます。

1. 企業の純資産を基準とする方法

 帳簿上の純資産に基づいた評価で、最もシンプルです。

2. 将来利益に基づく評価

 向こう5年間程度の将来収益性を見込み、それを反映した価値を算定します。

3 同業他社の売買相場を参考にした方法

 市場動向を踏まえた相場感に基づく実務的な評価方法です。

これらに加え、企業の「のれん(営業権)」をどの程度加算するかが、譲渡価格の調整要素となります。ただし、第二会社方式では、必ずしも現金を伴わずに、借入金の引き継ぎなどで代替するケースも見られます。

■ 移転資産と移転負債の選定

第二会社方式では、次のように譲渡対象の資産と負債を精査します。

【移転資産】

現預金:基本的に移転しません(ゼロに等しい)。

売掛金:旧会社との取引を終了後、以後は新会社との取引に切り替え。

在庫・設備:必要なもののみを時価で買取。

不動産:必要な場合は事前に資金手当を行い時価で取得。

【移転負債】

借入金の一部:代金の一部または全部を債務引継ぎで調整。保証人は金融機関と交渉。

買掛金の一部:基本的に移転しないが、時間的制約がある場合は例外的に一部引き継ぐこともあります。

このように、必要最小限の資産と負債のみを第二会社に移すことで、再建のスタートをスムーズにする設計が可能です。

■ まとめ:第二会社方式は再建の有効な選択肢

経営悪化の中でも、従業員の雇用や取引先との信頼関係を維持しながら、事業の継続を図る方法として、第二会社方式は非常に有効です。特に、借入金の返済に困難を感じている中小零細企業の経営者にとって、出口戦略としての価値が高く、事前の計画と実行がカギとなります。

当社では、こうした第二会社方式を含む再建型M&Aについての支援実績が豊富です。お悩みの際は、ぜひご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なスキームをご提案いたします。

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<松本社長の紹介>

1948年生まれ。40年間飲食業を中心に7業種の会社を経営。

バブル崩壊時に「25億円」の負債を抱えるも5年で解消。自ら事業再生を経験。その時の知識・経験を活かして事業再生請負人として活躍中

18年間で「600社以上」の事業再生に取組み、多くの苦悩する経営者を救済してきました。

また、「7,000名を超える税理士」が松本社長の「経営改善セミナー」を受講。

「危機に陥らない経営手法」を伝授しています。

 

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